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STUDIO-T

■山小屋日記■

■キングギドラ■
gidora

その化け物を初めて見たのは、布団干しで小屋の屋根に上がっている時でした。雲が出てきたので布団をとりこもうとしていると、突然まわりが薄暗くなり、なにごとかと空を見上げると、小屋のすべてを被うほどに巨大で真っ黒なものが”そこ”にありました。最初飛行機かと思ったほどにばかでかい”それ”は小屋の上をゆっくりゆっくりと何度か旋回し、やがて雲の中に消えていきました。

/ 今の キングギドラ? /

”こうゆう雲のでかたすると出てくる化け物ワシだ”
と先輩に教わりました。その後も何度か見ましたが、なるほどそうゆう雲のでかたでした。










■カミナリ■
kami

山小屋の資材を荷揚げ中に雪渓(雪の谷)上で雷雲に包まれ避難する場所もなく
雪面にそのまま倒れこんで雷雲が通り過ぎる迄じっとしていたことがあります。
やはりカミナリには身を低くするのが1番だと思います。
 山での落雷による事故のニュースに”大きな木と45度のあいだ”とかなんとか解説していますが
それって避雷針の理屈ですよね。理屈は分かりますけど山歩いて良く見るまっぷたつに割れて
内部が黒焦げになってる大木を思い出すと、そばになんか絶対いたくないと思います。










■夕暮れの山■

yugure
夕暮れの山をひとり見ていると胸の奥にある遠い遠い記憶がよみがえる、それはきっと---

”お--い なに きどってんだ 酒なくなるぞーー”

”うそーーー  ”















■風の音■

kaze
大沢小屋は樹林帯の中
ざー がさがさ 
木の音 葉の音 風の音
けっこうにぎやかです




















■半透明のビニール合羽■

kappa


登山中の雨ははムレとの戦いです。現在はゴアテックス等の新素材を利用した快適(?)な雨具が一般的ですが、100%ムレから開放!!--とゆうわけにはいかないようです。

歩荷(※)中は雨が降っても荷が邪魔で傘は使えません。かといってムレるのは厭なので、私の場合よくパンツ1枚に雨合羽て登っていました。一般登山にもお薦めとはいきませんが、これが実に快適。仲間内でもけっこうはやりました。ただひとつだけ注意しなければいけないことがあります。半透明のビニール合羽は避けなければいけません。雨の雪渓上でボーーーっと肌の色が透けてみえるとゆうのはかなり無気味です。 

※ 歩荷(ボッカ)--山小屋の食料や備品の荷揚のことで,背丈よりも高い荷を担ぎ上げる姿があたかも”荷が歩いている”ように見える事に由来します。

















■埋蔵金伝説■
itirin


越中富山と信州の国境にある針の木峠は日本最高峰の峠であり
戦国大名の佐々成政が厳冬期この峠を通過した話やそれにまつわる埋蔵金伝説が有名です

私が大沢小屋で小屋番していた時、男性が1輪車を背負ってやってきました。
彼はしばらく犬を預かってくれと言い残しひとり峠へ登っていきました。
いわゆる”山師”です。いまでも埋蔵金をもとめ代々、山に入っていく人っているんです。
あと1mあと50cm掘れば その先には金銀財宝がザクザク 
考えようによっては、1番幸せな人生かもしれませんね
 
犬君は小屋番仲間のひとりに”顔”がにてるので、彼のニックネームにちなみ”スーチャンケン”と名付けられました。登山客にも人気でしたが、ある日首輪を残して消えてしましました。
飼い主を追って峠に向ったのしょう。彼もまた”山師”だったのかもしれません。


















■ドラム缶風呂■

drum

3000m級の山では湿度は非常に低く、汗も風が吹けばあっとゆうまに乾いてしまい、それほど風呂が恋しいとゆうことはありません。それでもさすがに、月1くらいにはドラム缶風呂を湧かして入りました。これがなんとも贅沢であります。文字どおりの超露天風呂、雲海の果て遠く漆黒のシルエットを描く山並から次第に頭を天空にむけると、無数の星ぼしの中でひときわ明るく淡い雲のような天の川が漂っています。宇宙のリズムが聞こえ、自分が宇宙の中に浮かんでいるのを感じることができました。


















■爆 発■

bomb
山小屋で出る可燃物ゴミはドラム缶で焼却してました。
ほとんどは登山客の持ち込む新聞や雑誌、弁当屑とかですが、時々使い残しのガスボンベ等が紛れ込んでいることがあり
注意して選別しなければなりませんでした。

ある時”ボカン”とゆう音で小屋が揺れ何事かと飛び出すと
ドラム缶の側で、仲間が呆然と立ち尽くしていました
こちらを振り向くと マユゲとまつげが なくなってました



















■大沢小屋■
lamp

大沢小屋は定員20人の小さな小屋です。扇沢から何本かの沢を渡った樹林帯の中にあり、針の木大雪渓の末端まで数分とゆう場所です。6、7月の雪の多い頃は時々春スキーで来る人もいますが、夏場のシーズン中でも登山客のほとんどは休憩で立ち寄る程度で、身支度を整えそのまま峠に向けて登っていきました。そんなわけで、小屋の仕事といっても峠の小屋との定時交信と掃除と布団干しくらいで、1日大雪渓の沢音と蓮華(岳)の稜線をみてるだけ。とゆう日がほとんどでした。1日が終わって日記をつけるにも、なんにもないので、日付けと天気だけのページがつづきます。でも今思うと、文字にならないいろんなことがいっぱいあったように思います。

暇だとか退屈だとゆうのは、見えなくなったり見ようとしなくなることかもしれません。



















■カンテラ■

kante

当時(1970代)私が小屋番のアルバイトをしていた山小屋の夜間の灯りは、カンテラ(カーバイドランプ)でした。カーバイドは黒色の岩石で,水をたらすとアセチレンガスを発生しそれに点火して灯りとするものです。小屋番の最初の仕事はこのカンテラの準備点検でした。そして先輩からの最初のカミナリは
”こら!! 一斗缶の蓋はすぐ閉めろ!!” でした。



















■月の色■

moon

 月の色って何色なのかと思います。以前雪の稜線上で用足しにテントを出ると、目の前に”断末魔の線香花火”みたいな満月を見て、恐ろしくてチビリそうになったことがあります。高度が低いと月も太陽もまっかっかになるみたいです。ただ天上高くなるにしたがって色が落ちて黄色とか青とかになるんでしょうね。
 一瞬 虫の音も風の音もやみ 時が動かなくなって月だけが煌々と輝いていることがあります。誰もが押し黙って息をこらしているみたいに。そんなときの月は白くみえます。あまりに明るくて色もとんでしまうんでしょうかね ウサギなんか どこさがしてもいません。都会から星がなったけど月は昔とあまりかわらない。 未だに満ち欠けの順番とかがよく分からないので、突然昼間に月みるとびっくりします。けっこうヒョウキンです 月って












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