2004/08/19(木)22:20
シルエット
昨日の"shadow"から、今日はシルエット"silhouette"を取り上げてみます。
"shadow"が「影」なら"silhouette"は「影絵」、ほかに「輪郭」「影法師」の意味。綴りからも発音からもフランス語の借用語なのがわかります。
シルエットは18世紀フランスの政治家"Etienne de Silhouette"(エチエンヌ デ シルエット)のことです。
-すみませ~ん。"de"の読み方「デ」でいいんでしょうか?フランス語の素養がないので、エリジョンとか何とかわからないのです。間違ってたら教えてくださ~い!-
このシルエット(1709~67)さん、蔵相として極端な節約政策を取りました。これが貴族の反感を買って失脚。晩年肖像画の費用を省くために影絵を描かせ、これが流行して「シルエット」の名が広まったそうです。シルエットさんの倹約にもかかわらず、その没後1789年、フランス革命。
奇遇なことに前後して日本でも享保の改革、寛政の改革。将軍吉宗や老中松平定信が倹約に努めたのでした。
えっと歴史の話をするつもりではなかったのです。シルエットから私は、ある人物を思い出して、それで今日取り上げたいと思ったのです。前置きが長くなりましたが、その人物とは、
"Freddie Mercury"(フレディ・マーキュリー)
イギリスのロックバンド"Queen"のリードヴォーカル。
嗚呼、わが青春よ。
二度目の来日公演、1976年。場所は大阪厚生年金会館(現ウェルシティ大阪)大ホール。
舞台は一面、巨大な白のスクリーン。暗闇の中、丸く浮かび上がったスポットライトに人影、フレディのシルエット。オープニングを歌いだす。確か「キラークイーン」
なんと華麗な登場だったろう。
そのフレディも今は亡い。
ジョンがいなくても、ビートルズのナンバーは聴ける。ポールの「イエスタディ」には涙した。ミックは変わらない。
エアロスミスやキッスも元気だ。もうすぐ、イーグルスもやってくる。
でもクイーンは来れない。ロッドスチュアート張りのハスキーボイス、ドラムスのロジャーだってロック魂溢れるヴォーカリストだけど、フレディの代わりにはなれないもの。
絶望と溜息と郷愁。
仏和辞典によるとシルエットが僅か数ヶ月で辞職に追い込まれたことから、 "silhouette"は「不完全なもの」の代名詞でもあるそうな。