2005/07/19(火)18:52
異界に生きる
私の本を読んだ方から、「生きにくい子どもたち」(岩宮恵子著 岩波書店)という本を紹介されました。
本のはじめの部分を引用させていただきます。
「サンタクロースをいくつまで信じることができていたのかというのが、その人の幼少期の幸福度を示すバロメーターになる、といわれることがある。」
子供がサンタクロースという異界の人物を永く信じられるということは、まわりの人たちが信じること大切に扱った証明になるという考察に共感しました。もちろんサンタクロースに限ったことではなく、こどもが異界に浸ることを阻まないことが大切なのです。
ほのぼのとした教育論かと思ったら、異界に生きる子どもたちとの真摯な遣り取りが綴られていました。サブタイトルは「カウンセリング日誌から 今ここに生きる子ども」、臨床心理士の診察室に訪れた「生きにくい子どもたち」の生き様が描かれています。
同年代の子供を持つ親としては、興味を感じつつ、触れるのが怖い部分でもありますが、彼らが生きる異界にぐいぐい引き込まれていきました。反抗期を終えつつある高校生の娘から、ぽろっと小さい頃の気持ちを聞くと彼女なりにいろいろ考えていたんだなと感じることがあります。今もサンタクロースのいる世界を大切にしている彼女には、異界は欠くことのできない存在でしょう。
本を読みながら、私自身も異界に生きる子どもだったことを自覚しました。少なくとも2つの異界を私は持っていました。私の異界には残念ながらサンタクロースはいませんでしたが、治療を要するものでもなかったのです。