週刊口先通信 「壁ぎわ徴収官」壁ぎわ税務官小学館から出版されているビッグコミックオリジナルで連載をされている漫画の名前です。 内容は市民税について固定資産税とか自動車税、住民税などの取り立てをする徴収官の話しです。キャリア出身の若い徴収官と、初級公務員として市役所に勤務し続けている叩き上げの「しわい公務員」の二人のコンビが繰り広げる、巷で起こる税金徴収の話しを毎号のせています。単庫本でも出ていますから、読まれると面白いと思います。 私は職業が税理士ですので、市税、県税、国税といろいろな税金に携わる公務員の人との出会いがあります。たまたま、税金の漫画を見つけたので、この辺の話しなどを少し。 税務署に勤務する公務員も沢山いますが。平均的に石頭で一つの方向からしか見ることが出来ない「しわい公務員」が多いです。 もちろん、私個人の意見ですから、他の税理士の意見とは違うと思います。 私個人の今までの経験では、税務調査の立ち会いの時もそうですし、窓口でのやり取りとか、税金取り立てについての徴収官との話しでも全体的に「しわい」話しが多いです。 「なんで、こんなに「しわい公務員」が多いのかなぁ。」と考えますと、やはり彼らは公務員が体に染み付いてしまって、公務員としての考え方がいつのまにか擦り込まれているのだと思えました。 随分前にアドラー心理学で聞いたと思うのですが。 例えば、第二次大戦中にアウシュビッツで行われたユダヤ人の大量虐殺の時に、この収容所に勤務していたドイツ人は全員が極悪非道の悪人だったかと言うと、そうではなかったのです。 このドイツ人達は仕事が終わって自宅に帰ると、子供達には良き父であったし、妻に対しては良き亭主だったはずで、近所の人達にも紳士的な付合いをしていたそうです。 おそらくは収容所をはなれて一人の人間とて日常生活をしている時には、普通に生活をし穏やかな日々を過していたのだと思える。 でも、ひとたび収容所の中に入ると彼らは「国家の正義」の名の元に、なんらの躊躇いも無く一切の自分の判断を入れないで、言われるままに冷淡に国家の命令に従っていた軍人が多かったのではないか。と言う内容でした。 これも以前に国税徴収官から聞いた話しですが。その徴収官の仲間が税金の取り立てをしていたが、なかなか税金を払ってくれないので、徐々に厳しい取り立てに変わり差し押さえなどを行った結果、その滞納をしていた納税者が自殺をした話しを聞きました。 この徴収官は「後味の悪い話し」として、教えてくれましたが。その事件については特に問題としては考えている様子もなく、単なる一つの事件として割り切っている感じでした。 その話しを聞いていまして、私は「大きな問題だと思うのだが、そんなに簡単に一つの話しにしてしまっていいのかなぁ。」と思い、この徴収官の考え方に疑問を持ちました。 しかし、国の為とか、正義の為、世界平和の為等などを大儀名分を理由にして、「現場での行動」と「自分の良心」がいつのまにか離れてしまって、個々「人としての心」が作用しなくなっている話しは多いですね。 一つの大きな仕事に取り組む時には、個々の真心とか良心は大きな目的の為に消されがちになります。個々の自立があって始めて次の課題が見えてきて、本来の全体の問題解決に向けて動き出すと思うのですが、どうもそれは綺麗事なのでしょうか。 話しが横道にそれていますが、元々公務員の場合には適正試験などで個性的な人間は外されて、出来るだけ自分を外に出さない人を好んで採用しているところもありますから、公務員としての考え方が比較的早くに擦り込まれて、順応していくのだと感じました。 恐らくは、その方が仕事を淡々とこなして行けますので、役所の中では活きていくには便利が良いのでしょうね。 そんな土壌が、私の思い込みとなり「しわい公務員」と付き合って行かねばならなくなっているのでしょう。そう思わなければ意外と人間味ある部分が見えて来るのかも知れないけれど。 この辺の税務署の人達との付き合いの解決策は分かりませんが、ともかくは公務に関する私の仕事については、相手に「しわさ」を出させない様に一つ一つを注意深く働かねばなにらないと思っています。 まわりに税務職員の知人、友人がいたら御免なさい、あくまでも私個人の私見です。 |