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今年は春が遅いけど、それでもやっぱり春は来る。
ついに本格的に花粉症になったみたいだ。 室内にいる時は落ち着いているが、一歩外に出ると、鼻の奥が痛み頭がとたんに重くなる。 目もゴロゴロし始めた。 電車の中での出来事だ。 2駅しか乗らない私は乗降口の脇に立っていた。 そこへ、小柄で丸顔の男がやってきて言った。 「さ、降りるよ」 気っ風が良くて愛嬌もある声と口調だ。 私の連れではないし、私以外に周囲には人がいない。 独り言だろう。 男は、再び口を開いた。 「ジュースは買わないよ。今日は電車を降りてもジュースは買わないんだ。 だってさ、さっき電話に使っちゃただろ。電話とジュースと両方ってわけにはいかないよ。 なっ、ジュースは我慢しようや」 聞いていて、可笑しさ半分、腰が引けるのが半分の心境だった。 見た目はごく普通の中年男なんだけど、大丈夫かな? 春だからいろんなのが動き出しているようだ。 やがて、電車が停まりドアが開くと、男はもう一度「降りるよ」と声を出して歩き出した。 私も男の後から降りたのだが、間違いに気付いたのは、男の姿が改札に向かう人混みに紛れた後のことだ。 私の降りる駅は、もう1つ先だったのだ。 男の催眠術にまんまとはまってしまった。 今になって考えてみれば、あんな風体の咄家がいるような気もする。 電車の中で落語の稽古をしていたのかもしれないな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年03月31日 14時35分23秒
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