だだもれ堂筆記

2007/10/17(水)23:19

なぜ悪口を言いながらインドが好きなのか?

旅行けば(377)

インドっていうととにかくインド人が旅行者を騙そうと手薬煉引いてる、 というイメージがあるけど、それは必ずしも間違いじゃないというのは 確かなんだよね。ぼったくるとか賄賂を要求するとか荷物をかっぱらうとか 睡眠薬を飲ませて身ぐるみ剥がすとか殺すとか強姦とか、旅行者が そういう目に遭ったという話を聞いても、あるいは自分がそういう目に遭っても またか、としか思わなくなる。 「だって、インドだもん」の一言で終了。カルマだわなあ、とか。 ただそうするインド人にもそれなりの理屈があって(泥棒にも三分の理)、 持てる国からわざわざインドまで来てるんだからそれなりに金を出せ、とか 騙される方が悪い、とか。だからこっちもどんどん人が悪くなって インド人が信用できなくなったりして何かと身構えることになる。 インド人全てがそういう人間ばっかりかというともちろんそうじゃない。 もちろん正直なインド人の方が数としては多い。 要はてめえふざけんじゃねえ的インド人があまりにも目立ちまくるから インド人は信用できない、って話になる(他の国でも言えることだけど)。 こりゃ真っ当なインド人には迷惑な話ではある。 真っ当なインド人にもたくさん出会っている。 コーチンの宿のすぐ近くにあった傘工場は手作りで傘を作っていて、 販売もしていた。そこで傘を買ったけど、すごく安くてびっくり。 安いのにちゃんとした作りでまたびっくり。2本買ったら安くしてくれた。 何だか申し訳ないぐらいだったなあ。その傘、まだどこかにあると思う。 カニャークマリからマドゥライ行きのバスに乗った時、小さなバッグを ターミナルの待合室に忘れてきた。 私はそれに気付いていなかったが、待合室で近くに座っていた女性が 走って追いかけて来て、バスに乗っている私にバッグを渡してくれた。 夜行列車の中で、向かいの席に座っていたちょっと身なりの良い老夫婦は 「荷物が取られないように気をつけなさい、鍵とチェーンを持っているなら 私たちのように網棚に結び付けておきなさい」と忠告してくれた。 カタカリダンスの小さな劇場。 踊り手の顔につける飾りの準備をしているのは聾唖の青年。 にこにこと微笑みながら、身振り手振りで付ける場所を指し示す。 毎日の仕事なので手際は恐ろしく良い。 一言も英語の分からないニューデリーの老いたリクシャワーラー。 乗ったものの、走り出してすぐ、何かのパレードで通りを渡れなくなった。 じっちゃんは、パレードを指差し、ここで降りろ、と身振りで言う。 リクシャを降り、ここまでならいくらだ、と怪しいヒンディで訊くと 激しくかぶりを振り、いらない、と言う。乗っていないからいらない、と 身振り手振りで言う。そして、あっちの乗合馬車に乗れ、と指差す。 感動して5ルピーを彼のしわくちゃの手に押し付けた。 バラナシの裏通り。 小さいがずいぶんと地元の人で流行っている店でチャイをしばいた。 さて、と立ち上がり、2人分のチャイ代2ルピーを置いて店を出る。 ぶらぶら歩いていると、チャイ屋の店の子供が何か叫んで追いかけてきた。 あれ、チャイ代が足りなかったか、と足を止めて振り向くと、 その子は20パイサのアルミ硬貨を2枚私たちに手渡し、駆け戻って行った。 ああ、チャイは1杯80パイサだったのか。 子供の背中に「Thank you!」と叫ぶ。彼は振り返り、手を振った。 だからインドが嫌いになれないんだよなあ。 行ったらどうせ毎日何かで腹を立てるんだろうけどさ。 インドはまだちょっと遠い。

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