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空想世界と少しの現実

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緋褪色

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カテゴリ:オンナ心
「ちょっとちょっとっ!!此処ってホストクラブじゃんっ!!」「あ?それが何?」
事も無げに言い切る美香。

「ホストクラブで、ぱーっとやるのよっ!ホスト達と遊ぶの、楽しいよ~!奴らプロだからね!いい男に囲まれて、甘ーい言葉をいっぱいもらうと、元気が出るぞ~!ほらっ!!行くよっ!!」

*゚Д゚)*゚д゚)*゚Д゚)エエエエェェェ「って早っ!!美香~!置いていかないで~!」んも~!私の制止なんて聞いちゃいないしっ!!看板を見ると、店の名前は「Blue moon」蒼い月か。ホストクラブなんて、入った経験ないのにな。

これでも、純粋培養バリバリの生活を送っていたあたし。旦那以外の男と、付き合った経験も皆無。無論、浮気なんてしたこともない。


「いらっしゃいませ、お嬢さん方!当店に足をお運び下さり、心より感謝いたします」
「皇牙君こんばんは。また来ちゃった!雅夢いる?」

入り口で向かえる男性に一瞥して、彼女は店内を見回す。名前の通り、店内は蒼い照明の光に溢れていた。ちょっと緊張して、私は美香の腕にしがみ付く。 
「どした?怖がらなくて平気だよ!あ、この子、ホスト初めてだからさ、あんまり虐めないでね!あっ!!雅夢っ!!美香、友達連れて来たよ~!」(´∀`*))ァ'`,、

「美香さん、いらっしゃい!もう、全然電話しても来てくれないんですもの、寂しかったですよ!俺、嫌われちゃったのかと想いました!あ!お友達連れてきて下さったんですね!嬉しいな!
お嬢さん、初めまして。俺、雅夢って言います。貴女のお名前、伺っても宜しいですか?」


はああっ!!なんつーイケメンっ!!返事もできず、緊張が更に強くなって、美香の背中に隠れるようにして彼を見つめる!

「あれ?俺怖がらせちゃってます?ごめんね!」「雅夢はカッコがね、ヤンキーみたいだから怖がってんのよ~!茶髪、前みたいに黒髪に戻しなよ~!」

「この子、真里菜って言うの。あたしの大親友!可愛いでしょ?ホスト初めてだから、おとなしい子に席につかせてね!笑ロも駄目よ!免疫無いから。行こう!真里菜。大丈夫だよ、此処のホスト、皆プロだからね!」

美香の宥めにこくりと頷いて、男ばっかりの花道の中、私は彼女にしがみ付いたまま、足をもつれさせながら歩く。雅夢さんに通されたのは、一番店の奥のL字席。これって一番、上客の席じゃなかったっけ?促されるまま、私達はソファーに腰掛けた。

美香は綺麗な足を組んで、ゆっくりと雅夢さんに視線を注ぐ。彼との会話から、もう彼女が、この店の常連だとすぐに理解できた。

堂々と振舞う女王様のような美香と、対照的におどおどとしている自分。しがみ付いたまま「美香~!」泣きそうな声を出すと一瞥して苦笑顔。
 
「情けない声出すんじゃないの!女は堂々と振るまいな!私らは客だよ?精一杯彼らに尽くしてもらって、最高の時間を過ごすんだからね!」

゚。・゚ヾ(゚`ェ´゚)ノ。゚・。でたっ!!女王様美香の本領発揮!羨ましいくらいにかっこいい!「でも怖いんですけど~!」やっぱり小心の自分!つくづく嫌になっちゃう!つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚

「真里菜さん、初めまして!僕、皇牙って言います。まだホストになって三ヶ月なんで、至らない部分たくさんありますが、今日は楽しんでいって下さいね!」
席についてくれたのは、出迎えてくれた、いかにも若そうな男の子。男の子と表現するあたり、いかにも自分、おばさんじゃんっ!!(>д<;) 彼は屈託の無い微笑をあたしに投げかける!

「真里菜さんはお酒OKですか?」 「あっあたし全くの下戸なんです!ごめんなさいっ!!」 
「あはは!謝らなくていいですよ!内緒ですけど、僕も、ほぼ下戸です!」
共通点を言う長身の彼。目元は二重で唇は少しばかり薄い。どちらかというとクールな印象。きりりとした眉が素敵!いくつなんだろう!見つめる私に微笑みかける青年。カラーコンタクトのブルーの瞳が神秘的! 

「真里菜さん、可愛いですね!飲めないなら、フレッシュジュースとかの方がいいですよね?」「あ・・・もうお任せします~!」おどおどした態度の私に、営業スマイル。何でこんな空間に、自分はいるのかと問い掛けたくなる!微笑を投げかけ、席を後にする彼に視線を注いで、隣でタバコを吸う美香に問う

「美香~!何でホストクラブなの~?」

「今のあんたには荒療治が必要なの!女としての魅力、自分で磨かないと駄目なんだからね!」

「うええっ!!旦那に知られたら、マジ怒られそうなんですけど~!」

「んも~!黙ってれば済む事じゃん!しっかりしなよ!真里菜っ!あ、雅夢、この子もいることだし、今日のあれ、最大級に盛り上げて!」
「もちろん!美香さんの為ですもん!任せて下さい!今日は貴女だけの為の俺ですよ!十二分、お尽くし致しますとも!」

ちょっと~!なんなの?この会話っ!!まるで女王様と僕みたい!美香は満更でもなさそうな微笑を浮かべて、美味しそうにタバコをくゆらせる!はあ~!やっぱ、かっこいい!
彼女がrespectしてる、女優の米倉 涼子さんみたいっ!!


「どーした?真里菜。ボーっとしちゃって!今日は私の誕生日だから、一番自分にとって楽しい所に来たんだよ!親友のアンタにも楽しんでほしいんだから、ね!」

「盛り上がる前に、化粧室行こうか、女力を上げる為にテク、教えてあげる!」


彼女は私の返事も聞かず、右腕首を掴んで席を立つ。抵抗もできず黙ったまま従う。
行った先は、パウダールーム。少しライトが明るめなのは何でだろう?


「ほら真里菜、顔貸しな!アンタのメイク、一昔前のメイクみたいだよ!もっと女なんだから最新メイクにも敏感になりな~!自分を磨かないと、男にもてないよ~!」

いいにくい事、はっきり言う。でも、かなーり図星。(>д<;) 旦那以外の男性に声すらも掛けられた経験無いと、この時気がついた。(´ω`ι)美香は私にメイクを施しながら、きっぱり言い切る。

「ね、女はね、自分の魅力をまず知らなきゃいけない。どこがチャームポイントで、どこがウィークポイントなのかをね。そうじゃなきゃ男、落とせないよ!」

「葛西君だって、アンタが魅力的になったら、惚れ直すって!大丈夫だよ!あたしが保障するよ!自信持ちな!」


言いながら目元にアイラインを入れていく。なんだかメイクさんみたい!「あたしでも変われる?美香みたいにかっこよくなれる?」

「なれるよ!真里菜なら!時に女は女優であり、娼婦にならなくちゃ!男を落とすのは女なんだからね!いつまでも受身でいちゃいけないよ!葛西君、落とした時の気持ちになってごらん。あの時の真里菜、最高に綺麗だったよ!」

「そうなの?気がつかなかった」そうだったんだ、あたし。いい女の美香に言われると、なんだか自信が持てる様な気になっちゃう!女優か、悪くないかも!あたし、綺麗になーれ!今、この場所から、この瞬間から変わりたいって心底願う!


オンナ心 美香へ





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Last updated  2008/09/01 05:51:41 PM
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