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キャナルのまったりRS日記

キャナルのまったりRS日記

番外編 メイドが食逃げ

宝玉の守護者を訪ねるべく、古都を離れたキャナルとエステルはロマ村を目指していた。
通常ロマ村に向かう為には、ハノブ、ブリッジヘッドを経由する。
二人は、最初の町ハノブに差し掛かっていた。

エ)     やっとハノブに付いた。

キャ)    ええ、予定より早く付いたわね。

エ)     まずはお昼ご飯をお腹いっぱい食べるのよね♪

キャ)    お昼は後からね。
       ハノブの警備隊長に会ってからゆっくりと食べましょう。

エ)     えええぇぇぇぇぇぇぇ
       やだ、やだ、やだー。
       今すぐ食べたいー。

キャ)    子供じゃ無いんだから、わがまま言わないの。

エ)     お腹すいた、一歩も動けない。

キャ)    ・・・・・・
       はー、何でこんなの連れて旅してるんだろ。
       分かったわ、こうしましょう。
       お昼代を渡すから貴方はお昼を食べに行って、私は隊長に会いに行く。
       後からハノブ銀行前で落ち合いましょう。

エ)     やったー。

キャナルはエステルにお昼代を渡す。

エ)     これっぽっち?

キャ)    あのね、それだけあれば十分に食べられるでしょう。
       グルメツアーに来ている訳じゃ無いのだから。

エ)     仕方ないか。
       じゃ食べに行ってきまーす♪

エステルはレストランを探すべく、走り出した。
ハノブは鉱山都市として栄えた町であり、鉱山で働く人達のベットタウンとなっている。
特に名産と言う物は無いが、鉱山から切り出した岩石を使った石版焼きが有名である。

エ)     ええと、この店は・・・・・

エステルは店の入り口に書かれた、おすすめメニューを見る。
メニューの説明にはこう書かれていた。
「極厚のステーキを石版の上で焼きながら食べる石版ステーキ、これを食べなくしてハノブに来たとは言えない!」

エ)     へー、なかなか良さそうね。
       ここにしようかな。
       でも・・・・
       何でメニューを食い倒れ人形が持っているのかな?

エステルが迷っていると、男がぶつかって来た。

男)     気を付けろ、こんな所でぼーと突っ立てるんじゃねー。

エ)     あんた目が見えないの?
       私は人形の側に立っていたのよ。
       私が居なかったとしても、人形にぶつかっていたってわけ。
       つまり、悪いのはアフォ面した貴方。

男)     何だって!
       黙ってきいてりゃ好き勝手言いやがって。

男は懐からナイフを取り出す。

男)     へへっへ。
       今更泣いて謝っても許さないぜ。

エ)     あっそ。

エステルはウルトラノヴァで男を吹っ飛ばす。

エ)     おーほっほっほほほほほほ。
       口ほどにも無いわね。

エステルは倒れてぴくぴくしている男を踏みつけ高笑いをあげる。

男)     うおぉぉぉぉぉ

男は立ち上がり、再びナイフを構える。

エ)     やられ役の雑魚の割には粘るわね。

男)     俺だってちょっとは名の知れた盗賊の一員だ、いかれたメイドに負けるわけには
       行かないんだよ。

エ)     無駄な努力ね。

エステルは再びウルトラノヴァで男を吹っ飛ばす。
完全に沈黙した男を再び踏みつけると、エステルは勝利宣言した。

エ)     何処の盗賊かしらないけど、田舎盗賊ごときが私に敵うわけ無いじゃない。

遠くの方から声が聞こえる。
「警備隊の皆さんあっちです。」
「何処のどいつだ、こんな街中で魔法をぶっ放すやつは」
騒ぎを見た誰かが警備隊を呼んだようである。

エ)     やば。
       取り敢えずこいつ一人悪者にしないと。

エステルは男の服を脱がしてパンツ一枚にすると、ナイフを持たせ近くにあった食い倒れ人形に抱きつかせる。

エ)     これで完璧ね。

エステルは慌ててレストランの中に逃げ込む。
そこに警備隊が駆け付けてくる。
「うわ、なんだこいつ」
「食い倒れ人形を襲っているぞ」
「魔法をぶっ放していると言う話と違うが、こんな変なやつほかって置けない」
「連行しよう」
などと言う会話がドア越しに聞こえてくる。

エ)     危なかったわね。

エステルが振り向くと、ウエイトレスが変な物を見る様な目でエステルに近づいてくる。
「あのー、当店では店員の募集はしておりませんが・・・」

エ)     え?
       仕事探しじゃなく、食事に来たんだけど。

「えっ、お客様でしたか」
「大変失礼しました」
「メイドの格好をなされていたので、てっきりメイドを首になって職を探しているのかと」

エ)     何かもの凄く失礼だけど。
       まあいいわ。
       それより席空いてる?

「ご案内致します」

エステルは案内されて席に着く。
メニュー表を一通りな眺めたが、興味を引く様な料理が無かったので名物の石版ステーキを注文する。

「お待たせ致しました」

ウエイトレスが料理をテーブルに乗せる。

エ)     お待たせされました。

ウエイトレスは嫌な顔をするが、エステルの目は料理だけを見ていた。

エ)     いただきまーす♪
       ふむふむ。
       これはなかなかいける。

エステルは料理を食べ終えると紅茶を注文し、肉で満たされたお腹をさする。

エ)     うーん。
       満足、満足。

紅茶を飲みながら、懐に手を入れお金を出そうとする。

エ)     あれ。

お金を入れたはずのポケットにお金が入っていなかった。

エ)     えぇぇぇぇぇぇぇぇ
       にゅぉぉぉぉぉぉぉ
       めぎょぉぉぉぉぉぉ

「お客様どうかなされましたか?」
ウエイトレスは気の毒そうな目で、エステルを見ながら声をかけて来る。

エ)     何でも無いわ。

「でしたら他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願い致します」
そう言うとウエイトレスは席を離れていった。

エ)     まずい、まずい、まずーい

ウエイトレスがエステルの方を睨む。

エ)     紅茶うまーい♪

ウエイトレスは迷惑そうな顔をしたまま仕事に戻る。

エ)     お金を落としたとは思えないから・・・・・
       さっきの男にすられたのか。
       服を脱がした時に財布貰っとけば良かった。
       うーん。
       こうなったら逃げるしか無いわね。

エステルは席を立つとトイレに向う。
その店のトイレには小窓が付いていたが、子供が何とか通れるかどうかの大きさしか無かった。

エ)     このままじゃ通れないわね。

エステルは呪文を唱えるとウサギに変身する。

エ)     これで良しっと。
       ・・・・・・・・
       窓まで届かないぃぃぃぃぃぃ。

窓は上の方に付いていた為、ウサギに変身したエステルでは窓まで届かなかったのだ。
変身を解きトイレから出ると、席に戻り考える。

エ)     だめだー。
       うわー、ウエイトレスの人が怪しそうにこっち見てる。

その時、店の扉が開かれ警備隊が入ってくる。

「あの人だな」
「はい、そうです」
「うむ、ご苦労」

三人の警備隊が近づいてくる。

「貴方が盗賊の一人を倒した人ですね」

エ)     盗賊?
       あー、あのナイフ持をにいちゃんね。
       確かに倒したわよ。
       倒すのに魔法使ったけど正当防衛よ。

「確かに街中で魔法を使ったのは行き過ぎですが、あの男は指名手配中の盗賊でしてね」
「少し経緯をお聞きしたいので警備隊隊舎までお越し願えませんか」

エ)     かまわないわよ。

「では行きましょうか」
警備隊と店を出ようとするエステルをウエイトレスが呼び止める。

「お客様、お勘定をお願いします」

エ)     うぅぅ
       あははははははは
       お金無いんです♪

「食い逃げとは感心出来ませんな」
「食い逃げの件も含めてお話を伺いましょうか」

エステルは警備隊に連行されて行った。
警備隊隊舎では、キャナルとハノブ警備隊長が話を終えようとしていた。

キャ)    では宜しくお願いします。

「了解しました」

キャナルは敬礼をすると部屋を出る。
警備隊長も見送りにと部屋を出てくる。
その時、隊舎の入り口から警備隊員に連れられて一人のメイドが入ってくる。

エ)     ああ、ちょうどいい所に♪
       キャナル隊長助けて。

キャナルは警備隊員に聞く。

キャ)    何があったんだ?

「盗賊を捕まえるのに協力して貰ったので、話を聞こうとしたらどうやら食い逃げらしくて」

キャ)    ・・・・・・

隊長がキャナルに話しかける。
「キャナル隊長のお知り合いですか?」

キャ)    いいえ。
       初めて会いました。

エ)     えっ!?

キャ)    他に用がありますので失礼します。

エ)     ちょっとー。
       助けて、お願い、プリーズ。

「さあ、話を聞こうか」

エ)     いやぁぁぁぁぁ
       ぐぉぉぉぉぉぉ
       ぴぎゃぁぁぁぁ

隊舎を出たキャナルは振り向いて呟く。

キャ)    明日まで牢屋に居れば宿代が浮くしね♪

こうしてハノブの町は、夜の帳に包まれるのであった。



           完


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