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キャナルのまったりRS日記

キャナルのまったりRS日記

番外編 そこに在るワンコ

古都の公園の一角にある犬小屋からこの物語は始まる。

わ)    ぐふーーーん。
(訳:ふーーー)

犬小屋の主、わんわんこは小屋から出ると背伸びをする。
その時、不意にわんわんこのお腹が鳴る。
ぎゅるるるるる

わ)    ぐっふぅぅぅ。
(訳:腹へった~)

小屋に戻ったわんわんこは食べ物を探す。
しかし、小屋の中には何も食べ物は無かった。

わ)    ぐぅぅぅぅ。
(訳:はぁぁぁぁ)

「ちゃんとゴミはゴミ箱にすてるのよ」
「はーい」
わんわんこが声のする方を見ると・・・・・
公園のベンチでフライドチキンを食べていた子供が、親に言われてゴミ箱に骨を捨てるところであった。

わ)    ぐふっー。
(訳:やったー)

親子が立ち去ったのを確認すると、わんわんこはフライドチキンの骨を目指して走り出す。
しかし、わんわんこがゴミ箱に辿り着く前に一匹の犬が骨をくわえた。

犬)    ばうばう、ばうーん。
(訳:悪いね、だんなー)
      ばうっばうばうばう。
(訳:早いもの勝ちですぜ)

わ)    ぐふーーー
(訳:あぅーーー)

わんわんこは骨をくわえて去り行く犬を涙目で見送るしかなかった。



その頃、古都のメインストリートでは。

エ)    うーん。
      探しても簡単には見つかるわけないか・・・・・

道行く人々を眺めながらエステルは呟く。
人々の中に見知った顔を見つけ、エステルは声をかける。

エ)    ファストーーー。

ファ)   エステルさん。
      何しているんですか?

エ)    ふっ!
      良くぞ聞いてくれました。
      実は今日もキャナルさんに昼ご飯たかろうとしたら、誘拐犯の捜査で忙しいとか言うのよ。

ファ)   それで何か食べようとしていたと?

エ)    違うわよ。
      その誘拐犯には賞金がかかってるのよ♪

ファ)   あはは・・・
      何となくわかりました。
      捕まえて賞金を貰う気ですか。

エ)    うんうん。
      そうしたらキャナルさんにたからなくても贅沢し放題!

ファ)   頑張って下さい。

ファストはジト目でエステルを見ながら応援の言葉をかける。

エ)    それよりファストはこんな所で何してるの?

ファ)   お姉ちゃん用事があるとかで出かけていて、一人しか居ないから外食しようと思ったの。

エ)    それならお勧めのお店があるわよ♪
      古都に最近出来たお店なんだけど、そこのフライドチキン美味しいのよ。

ファ)   へー、何て名前のお店です?

エ)    その店の名は!
      オタッキー。
      クウネル・ヨンダースが考案したスパイスが決めてなのよね。
      場所は公園の近くで、お店の外にクウネル・ヨンダースの人形が立っているからわかると
      思うわ。

ファストはエステルから聞いたお店に向かう事にする。
立ち去ろうとするファストをエステルが呼び止める。

エ)    誘拐犯に気を付けなさいよ。
      一人で遊んでいる幼女が狙われ易いらしいから。

ファ)   はい、気を付けます。

ファストは敬礼のまね事をすると駆け出した。

エ)    大丈夫なのかしら。

ファストを見送るとエステルは再び誘拐犯探しを始める。



場所は戻り公園。

わ)    ぐっふぅぅぅ。
(訳:腹へった~)

わんわんこは頭だけ小屋から出すと周りをぼんやり見ている。
その目にオタッキーと書かれた箱を持つ幼女の姿が目に入った。
幼女はベンチに座ると箱を開く。
ぎゅるるるるる
食べ物を目の前にしてわんわんこのお腹が再度鳴る。
よだれを垂らしながら見ていると、幼女の後ろから近づく二つの影があった。

ファ)   うーん、良い香り。
      さて、いただきまーす♪

フライドチキンに手を付けようとした瞬間、何者かに口を押さえられた。
抵抗しようとしたがすぐに袋が被せられる。
体の浮く感覚。
ファストは袋詰めされて何処かに運ばれて行った。
そしてベンチにはフライドチキンの入った箱だけが残された。

わ)    ぐっふふぅ!
(訳:大変だ!)

わんわんこは誘拐された幼女を助けようと追いかける。
公園の出口まで走ったわんわんこは、何かを思い出した様に足を止めベンチを振り返る。
ベンチまで戻ると、オタッキーの箱をくわえ再び走り出す。

誘拐犯A) 今回も楽勝だなー。

誘拐犯B) 兄貴は天才ですぜ。
      これでまた身代金たっぷり。

誘拐犯A) おおよ。
      下手に銀行襲うより確実に儲かるぜ。

誘拐犯二人は水路近くの廃屋に入って行く。
誘拐犯達はファストを袋から出すと、手足を紐で縛り床に転がす。

誘拐犯B) さーて、お譲ちゃん。
      お家の住所教えてくれると、おじさん達嬉しいんだけどなー。

ファ)   ・・・・

ファストは口をつむったまま首を振る。

誘拐犯A) ガキだと思って酷い事しないと思ったら間違えだぜお譲ちゃん。
      さっさと言いな!

怯えるファストに誘拐犯Aが手を上げようとした瞬間、扉が勢い良く開けられ一人のウルフマンが入って来る。

わ)    ぐぐふっふ
(訳:助けに来たぜ)

わんわんこは一言発すると、フラッシュタックルで誘拐犯達の目をくらませると、流れる様な動作でチェーンドクローを放つ。

誘拐犯A) ぐあ。
      覚えてやがれ。

誘拐犯Aは敵う相手ではないとわかると、一目散に逃げ出した。

誘拐犯B) あにきー、待って下さいよ~。

その後に続き誘拐犯Bも逃げ出す。
誘拐犯達の逃げ出した廃屋には、ファストとわんわんこの二人だけとなった。
縛られたファストの縄を解こうと、わんわんこがファストに近づいたその時!
エステルが廃屋に飛び込んで来る。

エ)    見つけたわよ、誘拐犯!
      聞き込みの結果、この廃屋が怪しいと言う事だから見に来たら幼女を監禁してるじゃないの。
      ってファスト!
      今助けるから。

わ)    ぐふ?
(訳:何で?)
わ)    ぐふふぐふっふぐ
(訳:わんこ何も悪くないよ)

エ)    ぐふぐふ五月蝿いのよ。

ファ)   あっ!

ファストが止める間もなくエステルはウルトラノヴァを放つ。
上空から舞い降りた光の矢は、床に突き刺さり爆発を巻き起こす。

わ)    ぐふーーーーーー
(訳:ぎゃーーーー)

爆発によって吹き飛ばされたわんわんこは、廃屋の壁を突き破り水路に落ちる。

わ)    ぐふふぐ~
(訳:助けて~)

わんわんこは水路を流されて行った。

エ)    ちっ逃げられたか。

エステルは舌打ちするとファストの縄を解き助ける。

ファ)   ありがとう、エステルさん。
      でも、あのわんちゃん・・・・

ファストを助けたと思い込み、胸を張るエステルにファストは本当の事を言う事が出来なかった。
ファストが廃屋から出ると、入り口にオタッキーの箱が置かれていた。

ファ)   エステルさん、私ちょっと行く所があるから。

ファストは箱を拾うと駆けて行った。
夕暮れの公園にわんわんこは戻って来た。
訳のわからないまま吹っ飛ばされた挙句に流され、気が付くと古都の外れまで流れていた。
そこから空腹のお腹を抱え、重い足取りで公園まで帰って来たのであった。
住処である犬小屋を見ると、入り口に箱と手紙が置かれていた。

わ)    ?

わんわんこは手紙を読む。
しかし、わんわんこは人間の文字がわからなかった。
小屋の入り口に置かれていた事から、自分にくれた物だと判断したわんわんこはフライドチキンを食べる。
そしてわんわんこの胸には一つの決意が生まれる。
今度あの幼女に会ったらお礼を言おうと。
今日もわんわんこは公園で待つ、あの幼女を。
明日もわんわんこはこの公園に在り続けるであろう。

          完


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