赤城山は「全山冷房中」―都会よりマイナス10度の世界へ
暑さが続く中、先月(2013年7月)群馬県にある「赤城山」へ行ってきました。まずは、「山と水との競演」と言うべき景色が一番でした。(地蔵岳山頂から見た大沼と黒檜山)(地蔵岳中腹から見た小沼と長七郎山)(覚満淵の景色)赤城山は、日本百名山であり、その眺望も素晴らしいです。さらに、いくつかの湖(沼といいます)や湿地帯もあって、登山やハイキングに最適です。その上、東京はじめ首都圏から近いという立地。「避暑」にはもってこいです。何日か宿泊するのがベストですが、日帰りで登れる山も多いです。私は数日間滞在したのですが、何といっても「都会との温度差-10℃」は、まさに「全山冷房中」の世界、涼しさは何物にも代えがたい魅力でした。のんびりと「大沼(おの)」を散策するもよし(一周のコースがあります)、体力勝負で登山に挑戦するもよし(黒檜山は1828メートルあり、山頂までほぼ直登で90分コースです)、しばらく都会の喧噪を離れて「心の洗濯」が出来ます。さて、この「赤城山」ですが、実はついこの間まで深刻な問題がありました。福島の原発事故後に、湖のワカサギから基準値を超えるセシウムが検出されたのです。ワカサギ釣りで賑わっていた赤城の湖でしばらく釣りが出来なくなったのです。ただし、現在はほとんど影響がないです。昨年は釣りがOKとなり、釣り客も戻ってきました。赤城山の「大沼」は、関東で最も早く全面結氷する湖として、ワカサギ釣りのメッカです。かつては、氷の切り出しが盛んであったそうです。冬はそれだけ寒さも厳しいわけです。しかし、風評被害も含めて、旅館をはじめ観光業に与えた打撃は計り知れない大きさです。そこで、漁業組合の組合長である「青木旅館」のご主人をはじめ、役場や観光協会などが何とか観光客を呼び戻そうと努力を重ねてきました。そこで、今回のキャッチフレーズ「全山冷房中」です。もとはというと…「赤城やる気塾」というグループが考えたコピーだそうです。赤城の老舗旅館(何と創業144年とか)「青木旅館」のご主人にお話を伺いました。県内にある大学と地元とでタッグを組み、「赤城やる気塾」を結成。観光客を取り戻すために、地元の活性化とともに学生の研究を組み合わせた試みが始まったのです。学生と協会との会議はほぼ毎月、欠かさず行っているそうで、立派なものです。だからこそ、楽しい、おいしい名物が出来て、これからの活性化につながっていくのでしょう。一例は、次の写真を見て下さい。(「やる気塾」が作った「全山冷房中」のTシャツ)結構格好いいです。青木旅館で私も購入しました。また、最近人気の「白樺バーム」も美味しかったです。こちらもお土産に購入しました。(「赤城白樺クーヘン」は、甘さ控えめでボリュームもたっぷりです)お土産や登山、ワカサギ釣りの情報は、「青木旅館」」のHPで見られます。「青木旅館」は、歴史を感じさせる風格があるだけでなく、最近部屋を改装して新しくてきれいです。とにかく、静かで落ち着いた感じは、まさに「文豪の宿」にふさわしい趣があります。旅館の中には、赤城山の歴史を解説した展示コーナーもあり、目で赤城を楽しめます。ご主人や奥さん(女将さん)、おじいさんたちがご親切に解説して下さることもあります。私は数年前におじいさんからじっくりお話を伺いました。今年は、ご主人から、赤城の復活にかける思いを拝聴しました。こうして、厳しい現実をたくましく乗り越えていく「赤城山」で暮らす方々に接し、私も元気を頂きました。東日本大震災や福島の原発事故で未だ苦しい生活を余儀なくされている方々を思うと言葉もありませんが、「赤城山」に興味を持っていただけたら、との思いで書いてみました。とにかく、「赤城山」は都会に近くて涼しい、そして山と水、さらに人が素晴らしい所、これで十分でしょう。上毛三山ゆえ、知名度は高いですが、まだ「赤城山」に行ったことがない方、「猛暑の今」に一番のお勧めです。