レイモンド・カーヴァーの短編。
誰か(または多くの人)にとってはは「たいしたことない」「よくみえる」「問題ではない」ことが、他の誰かの気持ちをとても変化させるし、その変化はとめられない。・・・というような、文章にするとえらくチープで、そりゃそうだ的なかんじになるようなことではあるのだが、カーヴァーの文章で読むとそう言ってられなくなる。
真実はなんだかぼんやりしていて、ひどいイライラに襲われる。
主人公のクレアはとても人間らしくてとても正直な人なんだと思う。
でもその正直さやまっすぐさはなんだか余計なものに見える。
So Much Water~、と一言でいっても人によって違うのだ。
足元までの水量でもそれに気づいて、溺れたくない~ひ~!って思う人もいれば、
水がフルタンで窒息しそうにみえても楽しそうにしてる人だっている。
それが、「ひとそれぞれ」ってことなんだと思うが、
世の中ではその違いを発見して、親切や愛情から
「水、クビの下まできてますよ~ん」って教えてあげるという行為は
えらいおせっかいで、余計なことでもあるのだ。
運が悪ければ、「あなたの方が溺れてるようにみえるけど?」とか思われちゃうのがオチでもある。