『ef - a fairy tale of the two.』。幸せの場所。
…いつまでも泣いちゃ居られんか。『ef - a fairy tale of the two.』。悲劇を乗り越える力、幸せを掴む生き方、俺が今必要としているそれらの物は、全てこの作品から受け取り済みだ。思い返せば、これほど主題の解り易いゲームもあまり無い。五つの物語を用いて、繰り返し同じことを主張しているのだから当然と言えば当然だが。震災の傷跡が深く残る街。不幸の雨の中で、幸せを求める人々の物語だ。「もう消えてしまうのは嫌。あたしはここにいるのに、無視されるのは嫌」「あたしは、あたしの料理を温かい内に食べてもらいたかったの」「かまってほしいの。誰かに触れてもらいたいの」「どんなにみっともなくてもいいから……しがみついていたいよ!」「ずっと一人で苦しんで、先が見えなくなってたわたしが……こうしてここにいるのは」「みんながいてくれたから」「それになによりあなたが――」「あなたに引っ張られて、わたしは自分を取り戻せたの」「私はもう大丈夫です」「私は……もっと大切なものをもらいましたから」「好きな人に好きだと言えることは、本当に、びっくりするくらい幸せなことでした」「未来、あなたはひとりじゃありません。ひとりになんかなりません」「わたしだけじゃない」「心を開けば……応えてくれる人はきっといますから」「どんなに大事にしていても、人も物も、いつか必ずなくなります。それも絶対に絶対です」「絆も、想いも、記憶も、心も、命も」「この世になくならないものはありません」「壊れないものはないです」「幸せなんて作り物で、絵空事で、偽物です」「だから」「大切にしましょう」寂しいのは、楽しかったから。不幸なのは、幸せだったから。感情は表裏一体、二つ揃って初めて意味を為す。それがわかれば、正と負の両方を翼にして進んでいける筈だ。この作品が「対」に拘った理由も今ならわかる。片方だけでは飛べないからだ。満足したから、そろそろ纏める。『ef』は幸せの場所を探し求める超大作エロゲ。人々のつながりの物語。終わってしまったように見えても、きっと何処かで繋がっている。