仙燐眼

昔勤めていた会社の大先輩。
彼女は3人の子持ちで30代後半の働くキャリアウーマン。

その夫は確か土木業の雇われ人で
あまりは稼ぎは少ないと・・

確か集合団地に住んでいて
下の子供さんが
小学生だった。

同じ職場の４つ年下の独身男性と恋仲のウワサがあった。


彼女は土日の会社の休みに
なぜか、
事務所に出てきて
平日にやり残した仕事をこなしていた。
（私も何度か休日に事務所でいることを見かけていた）
そして、
その後か
その年下の男性と車に乗っているのを何度も目撃されていた。

当然にウワサは広まり、
3人の子持ちの働く主婦が
実は、、休みにいい事をしているなんてね。

ウワサは一人歩きをするもんだ。


実際のところの真相なんかは
当人以外には
全く分からないもの。


そのウワサが少し静かになった年
職場に若いバイトの新婚女性が入ってきた。

慣れない仕事で戸惑うその若い彼女に
その年下男性はかいがいしく世話をやいていた。

彼は誰にでも優しい。

私も自宅に帰るときに車で送ってあげようと誘われたこともあるし、
私の仲いい同僚の子も同じだった。

しかもその同僚なんかは
既にバツイチだったので
気軽に車に乗せてもらい
なぜか、靴を買ってもらったとのこと。
（下心か？　　誰でもいいのかぁ？　　
人に感謝されたい病か？
　　やっぱ、下心だろうな～～
　　　　そういえば、若い割りに
　　　　　　少し頭が・・テカってたか？関係ないか・・）


しかし、みんな
その大先輩の隠れ彼氏かと思っていたので
怖くてあまり彼と親しくしすぎないように努めたというのが
通常だった。


なんでも、
彼女の一番下の小学生の子供さんは
よくお母さんが遅いから
ご飯がないと言って
夜にパンを買っていて団地の階段に座り
食べているのをいろんな人に見られていた。


お父さんは一体何をやっているんだぁ？？！


それから一年くらいして・・
その若いバイトの新婚さんは
会社を休むようになった。

1ヶ月位の休みが続き
久々に出社した彼女。


妊娠していて、
切迫流産になりかけていたのだと。

嬉しそうに
子供が欲しかったと、みんなに自慢していた。

体に気をつけて
あまり無理しないように
又仕事に復帰してね、なんて話していた。


でもね、
又その後休むようになり、
彼女はいつしか、来なくなってしまった。

でも、
時々事務所に来てなにやら総務の人と話している。


後になって分かったのが、
その妊娠した赤ちゃんについてだが、
大先輩の若いツバメ・・じゃなかった・・
年下の隠れ彼氏の子供さんだったんだってさぁ。

いやぁ、大スキャンダルで
と～～～ってもびっくししたです。


おまけに
新婚だっていうのに、
他の人の子を身ごもり
しかも産むという話だから当然に離婚することになったの。

それも驚きだったが、
私たちは冷静な大人だもの。

驚嘆ばかりしてはいられない。

ずっと独身を貫いてきたその隠れ彼氏は
とーーとーー結婚なんだ、と祝福の言葉を述べ
しかも出産祝いと結婚祝いの意味で
僅かにみんなで出し合って
金一封を贈ってあげた。

何だか複雑そうな顔で受け取っていたのが印象的だった。


さて、
赤ん坊の誕生で、とにかく認知だけを急いでした
隠れ彼氏だったのだが

その後いつまでたっても
肝心の籍を入れない。

しかも同居もされず、
その若い彼女は実家に戻ったまま。



・・・
その後


バリバリ働いていた大先輩が会社を辞めてしまった。


私たちは
きっと、元カレが若い奥さんと幸せそうにしてるのに
耐えられなくなったのね、
なんて話していたのだが。


結果は全く違った。


その大先輩は3人の子供を置いてゆき
新しくアパートを借りて
その隠れ彼氏と同棲を始めてしまったの。

もう、その頃は下の子供さんも中学生になっていて、
上のお子さんは高校生だった。

でも、
お母さんが出て行ってからは
学校も行かなくなり
みんなてんでバラバラになってしまったと。


この大先輩は
実に
年下の隠れ彼氏をとっても愛していて
若い女にとられてしまうのがとても気に入らなかったよう。

結構修羅場があって、
それを見た人も。

かと言って
その当の彼氏は、というと、
どっちでもいいみたいなんだわ。

いつも鼻であしらわれて
「ほら、帰るよ」
なんて一言、大先輩が言えば、
　
「あ、はいはい・・」
なんて、猫のように体を丸めて彼女の後をついてゆく

そんな年上の彼女は彼にとって、
どんなに大きく感じられたのだろう？

彼にとって、
年上の大先輩は一体何だったのだろう？
と考える。


生涯に一度だけの
自分の血を分けた新しい命を捨て
そこで新しい家庭を作ることなく
年上の彼女に養われることを選んだ彼。

そんなに大事なものなのか？


しかも年上の彼女には
別の家庭があったし、
小さな命を守るべくの使命もあり、
それを捨てさせることにもなったのだ。

周りのことが目に入らないくらいの大恋愛だったのか？

もう、10年もの付き合いだったはず・・

それでも・・？


もし、そうだとしても
それって違うでしょ～～！！


無責任な人が増えてる

その場だけ楽しくできたらそれでいいなんて
お茶漬けみたいな生活する人が多すぎる。

もっといろんな伝える事があるはず。

本当は心にいろんな雑感があるはず。

それをさておき
その場の流れに流されてばかりじゃぁ、
本当の幸せは見つからない。

人生に克つ！を。

もっと気合入れてメン玉大きく開けて
未来を予測してみない？？

この話だけではなくて、

本当に腹を割ってとことん話し合い
とことん問題に向き合う
悩み抜いて

自分がボロボロになるくらいに
闘うことも必要だって。

醜い修羅場になってもいいじゃない。

人間なんて
キレイ事ばかりじゃ、片付けないのは当然で

みんな欲の固まり。

さらけ出して
めいっぱいに汚れてるとこ
みっともないとこ
出して
そっからやり直せばいい。

間違ったまま、そのまま記憶の奥に閉じ込めて
やりすごせば、
必ずや、また大きく踏み外す。

だから、
気付いたらチャンス、と思って
やり直し、仕切りなおし。

今からでも遅くないから

いつからでも遅くないから


失敗は誰にでもある。

失敗のない人生なんてないんだから。

最後に笑えばいいだけなんだ。


でもね、

6年ほど前だが、
この大先輩は脳溢血で倒れたんだ

まだ、４０代だってのに・・その後は不明・・。