京都歴史裏のコラム・711年伊呂具が伏見稲荷大社の御神体を発見・お茶屋で稼いでお山の整備・7話
伊奈利神社直営のお茶屋 (現在は国の重要文化財)
元々この伊奈利神社の御神体は山岳信仰で山そのものが御神体になる。とりわけ山の中腹にある大きな白い岩があるが、この岩に夕日が反射しているのを見つけた伊呂具が「あの光が俺を呼んでいる」とこの光を目印に奈良からこの深草の地にやってきた経緯もあった。つまり、もし伊呂具がこの光を偶然発見していなければこの伏見稲荷大社そのものがこの世になかったことになる。
この白い大きな石こそ御神体だとその御神体への参拝道を整備していた。しかし、それには莫大な資金がいる、そこで伊呂具は山崎屋が寄進してくれた大鳥居への見物者が増えてきたことでこの客相手の茶店を神社直営で出すことになった。そのころ深草の原住民の若い娘を巫女として十数名雇っていたが、その巫女を巫女の姿のまま客を接待したものだが、これがまた大評判になって近郊の集落からは当然、1日以上歩かなければならない奈良の都からも若い男を中心に連日参拝客が押し寄せてきた。
これは今でいうコスプレ喫茶でしかも茶店の中に神楽舞台を作り雅楽の演奏と巫女の舞も日に5回上演していた。茶店とはいうが、もちろん料理も酒も提供していたのだからやがてコスプレ喫茶というより祇園の高級クラブに近い店になっていた。当時、伊勢神宮という有名神社があったが、この参拝は皇族と貴族しか認められなかった。一方、この伊奈利神社は誰でも参拝できることからこの茶店の巫女の舞を目当てに全国各地に伊奈利参りの講ができていた。
こうなれば伊奈利神社の門前にはお土産屋さん、お茶屋さん、そして旅籠まで進出してくるのは世の習い、それがまた人を呼び、伊奈利神社の信者も増えて社殿もこの地の氏神というより大家さんの藤森神社より大きく立派になっていた。その藤森神社としては同じ大和街道にあるのに参拝者は伊奈利神社に取られて経営も相当苦しくなっていた。
そんな折、藤森神社の宮司の奥川徳之進が伊呂具に、
「あなたに貸した藤社を勝手に伊奈利神社と社名を変更していいのかと」抗議をしてきた。それに対して伊呂具は、
「いや、藤社は藤社でこの伊奈利神社の祖神様として立派にお祀りしています。その藤社の末社として伊奈利神社があります。その藤社さまの許可を得ていますから勝手に社名を変更してはいません、つまり、御社からすればこの伊奈利神社は孫社になります」
「し、しかし、あの大鳥居には「伊奈利神社」と書いてある」
「それは、お寺でも山号、寺名、院名、堂名とあるが、どの通称名を使うのは寺の勝手になります。それと同じで我社は藤森神社の末社の藤社の末社で伊奈利神社になりますが、たまたま伊奈利神社が有名になっただけです…」
「そ、そんな屁理屈を…それなら土地代を払ってほしい…」
「たしかに、土地を借りて土地代を払うのは当然になる。しかし、その土地代の価格をまだ決めてはいませんので今暫く待ちください」
「あい、わかった」
この会話があったのが西暦750年の春、それから1266年も経つがまだこの話し合いは続いているようです。ちなみに藤森神社のお祭りの神輿がこの伏見稲荷大社の前を通るが、未だにその神輿の行列が稲荷大社の前で立ち止まり「こら!稲荷神社、土地代を払え!」と叫ぶそうです。そうすると稲荷側は「まだ、土地代の価格を交渉中ですのであと少しお待ちください」というのが恒例になっているそうです。
国の重要文化財のお茶屋
このコラムにある直営のお茶屋は本殿と同じ国の重要文化財になっています。ちなみに現在は巫女さんは接待してくれませんので期待しても無理になります。
![0001288_2M.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/716281bc890bf37fa6f9808ccd15f9456ba9cb2b.67.2.9.2.jpeg)
![0001287M.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/e32e06262f02642580194dd2e3a6fd22bb81aec8.67.2.9.2.jpeg)
![0001288M.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/db69cf2af8636cbb8a6fa8616377be886a25180e.67.2.9.2.jpeg)
![0001286M.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/6b82984737c062e39d88ea7d3940e189d9d538cb.67.2.9.2.jpeg)
新電子書籍…このブログの記事をまとめた無料の書籍になります。
「伏見稲荷大社の物語・大石内蔵助と白狐の恋など7話…更新随時」
http://p.booklog.jp/book/108339/read
母と息子の大文字山登山…五山の送り火
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607130000/
![o0350031513393333260.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/a1fd2d8db08ef30ce204f522dcc63f121a5cfb67.67.2.9.2.jpeg)
関連…京都歴史裏のコラム
忠臣蔵と伏見稲荷、その2・大石内蔵助と白狐の白藤との子供は「東丸」と命名された。東丸神社・夏の野菜、万願寺とうがらし
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607110000/
「外人観光客の一番人気の「伏見稲荷大社」のお話 忠臣蔵の大石内蔵助もお百度参りをした。」
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201605240000/
「京都歴史裏のコラム・吉祥院天満宮・政所公園の白狐、北政所御墳墓、吉祥院稲荷・キュウリの糠漬け」
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607090000/
夏の怖い体験談~美人幽霊 真弓
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607070000/
「さあ~夏だ、祇園祭だ~・山伏山、浄蔵貴所の人形・歴史裏の小説・サンダル3か月履いて16、8キロ痩せるダイエット、インチキ詐欺商法・清行山 三善院 浄蔵寺」
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607010000/
京聯、破産手続きへ、運転手・京聯タクシー倒産、160名解雇・(京聯自動車が破綻、8月29日)
http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201504020000/?scid=su_369
続・京のいけず石・物を道路に置いてはいけません・専守防衛の京のいけず石・先制攻撃の京のいけず石はダメ!?(シリーズの1) http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201410050000/
無料の電子書籍 長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理絵」...1部(31話) http://p.booklog.jp/book/103886/read
無料の電子書籍4冊できました。それぞれの題名で検索もできますから読んでください。 http://p.booklog.jp/book/103886/read
無料の電子書籍4冊できました。それぞれの題名で検索もできますから読んでください。
「小説 働く女性たち」~16話
http://p.booklog.jp/book/103226/read
「小説 スーパーの女性たち」~10話
http://p.booklog.jp/book/102965/read
「愛の人妻ウォッチング」~10話
http://p.booklog.jp/book/102977/read
「京都歴史裏の小説」~8話
http://p.booklog.jp/book/102990/read
既存の無料の電子書籍は
天使の恋~美幸...明美...真弓...梨香...4名の恋~全24話(読切り)
http://p.booklog.jp/book/19028/read
天使の恋~美雪...早苗...香奈~3名の恋の物語
http://p.booklog.jp/book/18492/read
音川伊奈利の電子書籍がすべて無料で読めます。
http://p.booklog.jp/users/sakura64
「人気ブログランキング」に参加しています。このブログが少しでもおもしろければ↓の画面をポッチンして清き一票をお願いいたします。↓↓↓
![](https://plaza.jp.rakuten-static.com/api/Proxy.php?a=http%3A%2F%2Fbanner.blog.with2.net%2F%3Fid%3D1707750%26amp%3Bseq%3D17&b=3294273e51764ee0b88dd686cbba5d27)
小説家ランキングへ