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2019年12月02日
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小説西寺物語 ６話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅
長岡京遷都の大引越し作戦の総責任者は貴族の正四位藤原種継であった。そして種継の子の従七位藤原忠成は平城京の宮殿など建造物以外の国文書や国宝など天皇家、公家の家財道具すべての引越しの責任者となっていた。その忠成が東大寺寺領25ヶ寺の代表村長の伊助、25ヶ寺代表僧侶の貝本、比叡山の工作僧侶の3名を忠成の屋敷に招き入れていた。これらの3名は貴族の屋敷なんてものは初めてでただただひれ伏していた。忠成はこれらの農民が計画している平安京予定地への秘密の開拓移住を知っているのか、忠成は、 「年明けの784年3月1日から東大寺の大法要とお水取りが執り行なわれる。そうなると25ヶ寺の住職も招集されるが、その中の坊主一人でも裏切れば比叡山との宗教戦争になる。さすれば3月1日までに25ヶ寺、農家すべての引越しを終えてほしいが、いかがか?」 この忠成の急な申し入れに3人は顔を見合わせていたが、伊助が、 「25ヶ寺と1250戸の農家のすべてですか?、しかし、2月の中旬まで長岡京遷都の労役があります…」 「なるほど、しかし、中旬から3月1日までは半月もあるが…」 「しかし、各村には荷車が3～4台しかありません、京までは10里片道約15時間はかかります」 「なら、荷車があればいいのか、それなら朝廷の荷車500台を貸し与える」 この忠成の無理な申し入れに3人はただただ「承知しました」と頭を下げるしかなかった。 こうして朝廷からの荷車500台、各村所有の100台で2月15日から平安京予定地への引越し大作戦が決行されていた。各村で一番大きな建物は寺になるが、そもそも使っている材料はまだ末寺では瓦葺屋根などはなく柱と板、それに礎石などの石類、御本尊の仏様だけで寺一つ分は5台も荷車があれば十分足りる。寺の解体や組み立ても何十年もの奈良仏教寺院の労役作業で宮大工級の腕は身についているのでさほどの時間はかからない。 ましてや農家なんていうものは小屋に等しいもので荷車2台もあれば昨年収穫した食料の米も種籾も農具も積めていた。それでも一つの村は約50戸ほどあり、各村1日に約20台もの隊列を組めば何かと目立つので早朝、深夜と分散した引越しで10日ほどかかっていた。この引越しの前には寺の位置や各農家の敷地や田畑の割当は決まっていたので3月1日の各移民農家の夕方には米を炊く煙が立ち上りこの寺と村が突然現われたと原住民の農民は驚いていた。 同じ784年3月1日から東大寺の大法要とお水取りが始まった。東大寺の末寺は全国に752寺ある、すべての末寺はこれに参加をするのが決まり。平城京に近い25ヶ寺の住職が集団欠席するのは異変事態になるが、なんせ半月も宗教行儀があるので東大寺の別当の権操も守敏も身動きでなかった。 やがて大法要も終わり権操の一番弟子の守敏にこれら異常事態の調査を命じていた。守敏は20名の僧侶を選び25ヶ寺の調査に乗り出したが、その調査の報告では、 「25ヶ村の寺も農家も墓石だけを残して先月の下旬に平安京予定地に引越しをしたそうです。それぞれの寺領の村に隣接した農民らの話しをまとめますと朝廷から借りた荷車で京の都の農地開拓地まで5～6往復して引越しを完了したそうです」 この報告を聞いた守敏は、 「なに～荷車を朝廷から?、その橋渡しをした貴族は誰だ!」 「そこまでは分かりませんが、長岡京遷都の労役の最終日に各村は荷車を持ち帰りそのまま引越しをしたそうです」 平城京から長岡京への引越しの責任者は藤原忠成だと分かり、権操と守敏と忠成の屋敷に抗議の面会をしていた。権操は、 「東大寺の寺領の農民を集団移民させたのはどういう意味があるのか?」 「さて、私にはそのような話しには一切関与していない」 「なら、東大寺寺領の農民に朝廷の荷車を貸し与えたのは?」 「それは大僧正もご存知の通り、桓武天皇が全国の農民に平安京造成地の労役のための未開拓地移民募集のおふれを出されたが、それに希望した農民に長岡京遷都後に不要になった荷車を貸し与えたものであり、なんら東大寺に抗議される筋合いのものではない。もうすでに平安京造成地への移民は全国から申し入れがあり荷車は順番待ちだが誰でも荷車は貸し与える」 この忠成の釈明に権操も守敏も引き下がるしかなかったが、権操には桓武天皇の第一皇子の安殿親王(後の平城天皇)と深い繋がりがある長岡京の宮殿に行く旅したくを始めていた。長岡京への正式遷都は11月11日だが、もうこの時期には桓武天皇も公家、それに貴族も引越しを終わっていたが、残された旧宮殿や貴族の屋敷を管理するために忠成は残されていた。 権操と守敏は護衛の僧兵20名を引き連れて新しい都の長岡京へと向かっていた。奈良から長岡京までは約10里だが、その街道は長岡京遷都への引越しの牛車や荷車が数万回通ったのか踏み固まれていた。一行は東大寺の末寺のある山崎で一泊して次の朝まだ完全に完成していない宮殿に入った。 権操と守敏は宮殿には入れるが、天皇への面会は従四位以上で従六位の権操はその資格はなかった。この階級を決める位階は天皇だけが決められるもので本来なら奈良仏教六宗派七大寺院の代表でもある権操などは天皇に面会できる従四位以上でなければならない。しかし、歴代天皇は仏教の暴走を抑えるために奈良仏教の代表には従六位という位しか与えなかった。 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 ３話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 ５話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦   おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」～８５話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在５～７位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。１位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック３姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…３１話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…｢働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉｣ １話２分で読める、５１話まで書けている、少しＨだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋～美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈～７名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋～美雪、早苗、香奈…３人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2019年12月02日 10時09分53秒
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