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小説西寺物語 12話 神野親王武家源氏を旗上げ
東大寺の権操が威勢よく奈良仏教の僧兵1000名を京の都に派兵するというが、10年前の稲荷神社焼き討ち未遂事件でも被害寺は東大寺だけで今回の十二神将を略奪された被害者は東大寺だけであった。しかもこの派兵の大将を大安寺の明正に任命されたが、大安寺の僧兵は一応250名登録されている。しかし、それは名目だけで前回僧兵の派兵は50年前の野盗退治で僧兵の戦闘衣装の山法師衣は武器蔵の中で虫に食われてボロボロで武器の太刀、薙刀などは赤錆びていた。 これは東大寺を除く六大寺院もそうで戦闘服や武器を揃えるには半年はかかるというが、その資金さえ六大寺院は出すのを拒んでいた。そこで権操は僧兵は東大寺単独ではなく奈良仏教の連合軍という名目で大将のみを大安寺の明正にしていた。806年2月1日早朝に東大寺を出発した明正率いる300名の僧兵はその日の夕方宇治の東大寺末寺の3ヶ寺で宿泊していた。 これら僧兵300名の進軍の情報は西寺の守敏僧都はもちろん、比叡山や稲荷神社の伊呂具にも届いていた。そして宇治までの僧兵の行軍を農民らも目撃しているのに農民らは野良仕事の手を休めて見ているだけだった。先の稲荷神社焼き討ち事件では農民らが行軍の様子などを逐一走って稲荷神社に報告している姿があったと稲荷神社焼き討ちに参加していた僧兵から聞いていただけに明正は不気味さを感じていた。 この部隊より先に情報を集める僧兵を京の都に潜入させていたが、宇治の明正に届いた情報では稲荷神社も比叡山、それに西寺もいつもと同じで何の動きもないという。2日の朝、僧兵を宇治で待機させて明正と12名の僧兵だけで西寺に向かった。この12名とは十二神将を背たろうて持ち帰るための人員になる。 明正らは稲荷神社の参道前からさらに北進して九条大路に入るが、これより東の東山からは荷車に山と積まれた西寺東寺の瓦と思われる荷車が列をなして西に向かっていた。明正らの僧兵の隊列もこの流れで行進しているが、人夫らの誰一人も山法師姿を気にもしていなかった。これには明正らの僧兵も我々の挙兵や目的を京の都の誰にも知られていないことに愕然としていた。 東寺の南大門から建造中の金堂を明正らは見ていたが、宮大工の指示で労役の農民ら約200名が働いていた。明正らは西寺の南大門から入り元の岩渕寺京都別院に入る前に門の上の真新しい寺額を見るとそこには「源光寺」と書いてあった。そして本堂にもやはり源光寺の寺額があった。 明正は守敏僧都に面会を申し入れたが、守敏は現場にいるということで僧侶が守敏僧都を探しに行くから本堂で待っていてほしいと明正と12名の僧兵は待たされていた。その本堂には薬師如来とその薬師如来を守るように右と左に十二神将が祀られていた。僧兵らはこの静かで気味の悪い展開にかなり動揺していた。 やがて守敏僧都が本堂に入り座ると同時に明正が、 「本日は奪われた十二神将を持ち帰るために来ました」 「それだけならなんのために宇治に僧兵を待機させている」 「それは守敏僧都が十二神将を返さない場合に備えてになる」 「そか、それならいいがもしお主が率いる僧兵300名が宇治橋を渡りこの官営の西寺に武器を持って土足で入っていれば国賊として官軍が出動していた」 「なに~そんな馬鹿な…天皇の官軍は宗教戦争には中立で口出ししないことになっている」 「西寺も東寺も官営の寺院になるがそこに武器を持って侵入すれば国賊になる。さらにこの源光寺は将軍正二位源神野親王さま源氏の御菩提寺になる」 「なに~神野親王さまの御菩提寺?…」 正二位将軍源神野親王(後の嵯峨天皇)とは桓武天皇の第二子で若くして攘夷大将軍左大臣坂上田村麻呂の筆頭武将となり日本国官軍の総指揮官になる。政治的には第三位、軍事的には第二位の地位になる。(この神野親王が源氏の祖となり、源氏物語、平家物語になる)守敏僧都はさらに、 「この寺名の「源光寺」は神野親王さまに賜った、寺額の文字も神野親王さまの揮毫になるが明正殿はそれでも私の命と十二神将を奪う考えか聞きたい?」 明正は守敏僧都のこの問に答えることができなかった。そこで明正に、 「お主が宇治橋を渡らずに宇治に僧兵を待機させたのは十二神将さまの御導きになるが…」 明正はこの問にも答えられずに心の中で…当初の計画では一気に西寺を襲撃して守敏を殺して十二神将を奪い返す予定だったが、京に近付いても余りにも静かで不気味を感じて僧兵を宇治に留め置いたことが十二神将の御導きだという守敏にも反論ができなかったからだ。 さらに明正は源神野将軍は年貢の米や各地の名産を奪う山賊や野盗、それに国賊と烙印を押された者には情け容赦なく一族郎党皆殺してしまうという残虐性を持つ皇族の近衛兵だということを知っているからこそ守敏僧都の問に下手に答えたら首が飛ぶことになる。だが答えなければならない…そして明正が悩みに悩み考えたのが、 「私は本日奈良仏教七大寺院の代表の使者として守敏僧都さまの破門を取り消すという奈良仏教の決定をお知らせに来ました」 「おお、そうか~明正殿、それはそれはご苦労さまでした。それで十二神将の仏様はどうなさるのか?」 「それは守敏僧都さまの源光寺さまにお祀りいただけるのが自然になります」 この明正の苦肉の策に守敏僧都は、 「これで私も奈良仏教の一員となりこの西寺を盛り上げなければなりません。それには西寺境内に30もの塔頭が必要になるが、明正殿には大安寺の筆頭塔頭の住職になっていただき、残りの塔頭29ヶ寺の建造及び宗派寺院選びの責任僧になっていただきたいが?」 「わ、私がですか?」 「そうです。明正殿がこのまま奈良に帰れば破門は元より、命の危機にもなりかねません。幸い昨日朝廷から私に西寺官主の内定がありました。その私が明正殿を指名したのですから奈良仏教から異論が出るはずはありません」 明正は守敏僧都の心ある配慮に涙をこらえながら守敏僧都に深々と頭を下げていた。 ★★★★★新連載小説をはじめました。 小説盆栽物語 1話 空海唐から盆栽50鉢持ち帰りへ 小説盆栽物語 2話 宗景造園業に弟子入りで盆景和尚となる 小説盆栽物語 3話 盆景(盆栽)のルーツ、雅山少年が発見 小説盆栽物語 4話 宗景、玉林の禁断の恋から若者たちが盆景を爆買い 小説盆栽物語 5話 玉林、宗景皇帝に祝福され結婚…豆盆栽 小説盆栽物語 6話 日本茶のルーツは武夷岩茶の盆景になる ★★★ 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 3話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 5話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦 小説西寺物語 6話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅 小説西寺物語 7話 東大寺僧兵300名稲荷神社と戦へ 小説西寺物語 8話 農民稲荷神社炎上を救う 小説西寺物語 9話 守敏僧都、都を代表する名僧に! 小説西寺物語 10話 最澄、空海唐へ、守敏奈良仏教から破門 小説西寺物語 11話 僧侶不足で奈良から僧侶引抜き大作戦 おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」~85話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在5~7位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。1位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。 小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…31話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…「働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉」 1話2分で読める、51話まで書けている、少しHだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋~美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈~7名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋~美雪、早苗、香奈…3人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月13日 08時34分12秒
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