|
カテゴリ:カテゴリ未分類
小説西寺物語 22話 西寺東寺塔頭60ヶ寺建造工事着工へ
明心は改めて官営西寺塔頭建造建設工事の見積り書を作っていた。それによると金額は当初見積り通りの60万貫になります。しかし、当初工期を5年としていたが、これは木材の原木を丹波から大井川、保津峡、嵐山へと流して陸揚げまでの時間とさらに木材を乾燥させるために3年ほどかかるためだが、新たに近江屋木材に見積り依頼したところすでに乾燥した木材が大量にあり、すぐに板、柱に加工できるために工期がその分早くなる。屋根瓦についても当初は淡路島から海上輸送で2年の予定だったが、これも東山瓦店から購入することで工期が短縮できます。 さらに現在官営西寺東寺の建設工事が中止されているために宮大工を西寺塔頭のために数百名押さえていますが、奈良からの返事が遅れますと次なる寺院の建設工事に取られてしまいます。次なる建造寺院とは征夷大将軍正二位坂上田村麻呂さまが寄進されます「清水寺」になります。この清水寺の建設が始まりますと京の都の宮大工、木材、瓦のすべてが取られます。さすれば西寺塔頭建造はかなり難しく予定がまったく立たなくなります。 一方の東寺塔頭建造建設工事はもう木材も瓦も現場に到着しています、これに遅れを取らないようにこの見積り書が届くと同時に建造費の60万貫を西寺に輸送していただくことをお願いいたします。この見積り書を弟の順守に託してその場から奈良へと走らせた。順守は大安寺の貫主に渡してすぐに奈良仏教の幹部会が招集された。 この幹部会に順守も参加するが、いつもの末席ではなく道慈の横に座らせている。これは幹部の質問に答えるためだが、質問らしき質問はなく。もう、60万貫分の金銀の手配は終わっていたのか、明日の早朝に60万貫は二台の荷車に分散して運ぶ手配になった。これには僧兵50名の警備を付けていたので京の都までわずか10里だが、沿道には農民らが集まりこの60万貫を見送っていた。 60万貫もの大金を積んだ二台の荷車は順守を先頭に奈良街道から大和街道に入っていた。順守は歩きながら、昨日の幹部会を思い出していた。奈良仏教代表の道慈も前代表の権操も70歳を過ぎている。一寺院から3名の幹部が選ばれるが、すべて年功序列の年寄りばかりで私はたまたま大安寺の幹部が次々亡くなり30代で末席の幹部になった。こうして奈良仏教の全権大使にはなったが、それは奈良と京の都をもはや歩けない老人ばかりで歩ける幹部では私の他にはなかったからだ。 この幹部会の下の中堅は次の幹部を狙う中年だが、これらも幹部の顔色ばかりを伺うゴマすり集団にしかならない。その下の若手には改革派で老害に批判的な僧侶もいたが、それらはすべて九州や東北に飛ばされている。今回の西寺塔頭建造工事の派遣僧侶に選ばれた350名は各寺院の若手から選ばれた僧侶でいわば奈良仏教の将来を担う僧侶になるが、その僧侶のすべてを守敏僧侶憎しで破門してしまった。これで奈良に残る僧侶は中年以上かまだ未成年の見習い僧侶しかいない。 いわば奈良仏教で修行させてやっと一人前にした僧侶350名を比叡山にくれてやったのと同じになる。幸い私がこれらの破門を助けたが、もし奈良仏教が60万貫を出さなかったら奈良仏教は空海に一気に潰されたと思うと背筋が寒くなるほど奈良仏教の無知無能の歴史が順守には怖かった。しかし、この60万貫で西寺塔頭を建造したとしても今の奈良仏教の幹部の知能では空海の真言宗全国制覇は阻止できないと順守は思ってはいるが、さりてと守敏僧都や兄の明心のように空海を認めることはできなかった。 順守の隊列は稲荷神社の参道の入口で西寺塔頭建造の僧侶だと思われる50名に60万貫が積まれた荷車の引き渡し式をしていた。西寺側からは明心が参加して立会人は稲荷神社の伊呂具で順守は明心に60万貫を引き渡していた。そこで順守ら僧兵は奈良へ帰り、明心ら僧侶50名は二台の荷車を引いて西寺に帰ったが、大和街道九条から一台は西へ、もう一台は大和街道を北へと向かっていた。この一台を引いていたのが比叡山の僧侶で30万貫は比叡山に納められていた。 こうして官営西寺東寺の塔頭60ヶ寺院の建造工事は始まり完成は2年後の809年5月を目指していた。そして西寺塔頭30ヶ寺院各寺院の寺の名前と住職を明心が内定していたが、これらの住職のすべてが、若手で塔頭建造工事に携わった僧侶になるのは当然だが、この若手より僧歴も寺の順位も高い中堅僧侶がこの西寺塔頭住職の人事を認めないと各本山の貫主や幹部僧侶に詰め寄っていた。その理由が、そもそも西寺塔頭建造工事の責任者は明心だが、それは塔頭完成までのことで完成後の住職らの人事の決定権はないので明心の内定案は白紙撤回になった。 たしかにこれらの中堅幹部の言い分も分かる。若手の僧侶は宗派から派遣され任務を遂行しただけで、我々中堅幹部も奈良で与えられた任務を遂行してきた。たまたま仕事の違いだけで西寺塔頭の任務をしたからと言って若手がそのまま住職になるのは奈良仏教の慣例から考えても間違いだという。 僧侶の出世といえば宗派の本山の貫主になることだが、貫主になろうと思えばそれなりの別格本山や有力寺院の住職になってまず幹部にならなければならない。幹部の下の中堅はそれぞれ住職の集まりだが、住職といってもどこかの田舎の山寺から都で公卿や貴族の菩提寺もあり貧富の差は激しい。そこにいくと京の都の官営西寺の塔頭の住職となると公卿や貴族の菩提寺になり大商人の檀家も期待できるので中堅住職は若手に今の寺を譲って都に進出したいと思うのは誰でも同じになる。この下に寺を持たない本山の修行僧がいるが、これは所属している宗派が大きく発展して寺が増えれば住職も増えることになる。 西寺の塔頭建造工事に赴任している僧侶350名はこの寺を持たない各本山の僧侶で塔頭が完成すれば明心の内定では30名の住職が誕生することになり、また住職になれなくても京の都に宗派の寺が増えれば必然的に住職にもなれる希望があった。だからこそ修行という名目で土方仕事までもこなしてきた。その西寺塔頭の住職と所属僧侶の座を奈良仏教の中堅僧侶が狙っていることに350名の僧侶はかなりの衝撃に打ちのめされていた。 ★★★★★新連載小説をはじめました。 小説盆栽物語 1話 空海唐から盆栽50鉢持ち帰りへ 小説盆栽物語 2話 宗景造園業に弟子入りで盆景和尚となる 小説盆栽物語 3話 盆景(盆栽)のルーツ、雅山少年が発見 小説盆栽物語 4話 宗景、玉林の禁断の恋から若者たちが盆景を爆買い 小説盆栽物語 5話 玉林、宗景皇帝に祝福され結婚…豆盆栽 小説盆栽物語 6話 日本茶のルーツは武夷岩茶の盆景になる 小説盆栽物語 7 話 椿の盆景が明懸尼寺を再興させた 小説盆栽物語 8話 玉林(ユーリン)に赤ちゃんが! 桓武天皇崩御 小説盆栽物語 9話 空海屁理屈禅問答で盆栽は戦争をなくす 小説盆栽物語 10話 玉林、盆景和尚長安での最後の別れの夜 小説盆栽物語 11話 最澄、空海官位剥奪の上5年間謹慎処分 小説盆栽物語 12話 遣唐船嵐でニ隻難破、空海長崎で説法会 小説盆栽物語 13話 空海真言宗を開山、1月7日は「盆栽の日」に制定 小説盆栽物語 14話 盆栽無事京の都に、その夜、比叡山燃える 小説盆栽物語 15話 東寺、日本大観覧盆栽・植木市へ 小説盆栽物語 16話 第一回東寺盆栽展、大植木市大盛況 ★★★ 小説西寺物語 1話 守敏と空海の因縁の争い・西寺跡発掘調査・女装小説家 オカマのイナコ 小説西寺物語 2話 九条葱が西寺を救った 小説西寺物語 3話 守敏、芹と葱で大僧正に! 小説西寺物語 4話 稲荷神社のお告げで長岡京遷都決定 小説西寺物語 5話 寺と村落ぐるみ乗っ取り大作戦 小説西寺物語 6話 東大寺権操、守敏長岡京へ抗議の旅 小説西寺物語 7話 東大寺僧兵300名稲荷神社と戦へ 小説西寺物語 8話 農民稲荷神社炎上を救う 小説西寺物語 9話 守敏僧都、都を代表する名僧に! 小説西寺物語 10話 最澄、空海唐へ、守敏奈良仏教から破門 小説西寺物語 11話 僧侶不足で奈良から僧侶引抜き大作戦 小説西寺物語 12話 神野親王武家源氏を旗上げ 小説西寺物語 13話 巨大権力(奈良仏教)には経済封鎖を 小説西寺物語 14話 皇太子の不倫…人妻・薬子の変 小説西寺物語 15話 平安時代の美魔女薬子の野望 小説西寺物語 16話 平安時代のスーパースター光源氏誕生 小説西寺物語 17話 薬子の限りない野望…その1 小説西寺物語 18話 807年空海真言宗を立ち上げる 小説西寺物語 19話 最澄罪人ながら凱旋門から入城、比叡山へ 小説西寺物語 20話 即戦力になる奈良仏教の僧侶改宗大作戦 小説西寺物語 21話 奈良仏教稲荷神社の仲介で金銀三十万貫を比叡山へ おかげさまで、この「伏見稲荷大社の物語」が大ヒット中で連日100ほどのアクセスで読まれています。さらに100話まで書く予定です。 無料の電子書籍…お笑い歴史コラム…「伏見稲荷大社の物語」~85話まで書けています。目次機能で好きなタイトルを探してゆっくりお読みください。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在5~7位どす。。。あなたの愛のワンタップが私に生きる勇気を与えてくれます。1位まではあと少し…よろしくおねがいいたします。 小説家ランキング ★★★…完全無料の大人気の電子書籍…ダウンロードしてゆっくり完読してください。 http://p.booklog.jp/book/108339/read ★…長編小説「トラック3姉妹・ダンプ姉ちゃん理恵」…31話・運輸・建設の職場には賃金の男女差別はなく高賃金でもう男なんどに頼らなくても子育てできる運輸業界、建設業界を確立した理恵社長の物語。女性に大人気の小説になっています。 ★…「働く女性たち 駆け込み寺居酒屋ポン吉」 1話2分で読める、51話まで書けている、少しHだが女性に大人気。目次機能がありますから好きなタイトルを探して読んでください。 ★…中編小説「天使の恋~美幸…明美…真弓…梨香…美雪…早苗…香奈~7名の恋の物語」…すべて京都のタクシードライバーが主役になっている少しHな若い女性のドラマ、女性に大人気で静かなヒット作になっている。二つの書籍から ★…天使の恋~美雪、早苗、香奈…3人の恋の物語も大人気 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年03月23日 08時47分56秒
コメント(0) | コメントを書く |