カテゴリ:DIY
今回の修理は、ヤマハの機械式メトロノームだ。昭和50年/1975年製造と、私が修理した機械の中で最も古い。故障の症状としては、まったく動かないとのことだった。 外観は大きな傷もなくきれいだ。丁寧に使われていたことが察せられる。しかし、確かにまったく動作しない。ぜんまいを巻いてみると、既にいっぱいまで巻かれている感じだ。とりあえず分解してみる。
メトロノームの分解は初めての経験なので、機械部を取り出し、機構を観察する。 動力はぜんまいバネ、歯車とカムを介して振子の付いた針を左右に動かす仕組みだ。拍子用のベルを鳴らす歯車も繋がっている。昔の円盤オルゴールを思わせる形状の歯車だ。 極めてシンプルな機構で、見たところ破損や部品の脱落はなさそうだ。手の力で動力を補助してやると振子が動く。 潤滑用に赤茶色いグリスがあるが、これが硬化している為かと思い触ってみたところ、硬い。松脂のようになってしまっている。動作不能の原因は、これだ。 早速硬化したグリスを洗浄する。使用したのは自動車用金属部品の脱脂に使う溶剤だ。いつも自転車部品の洗浄に使っている。
角度を変え30秒ほど噴射洗浄すると、徐々に動き出した。どうしても落ちない固着グリスは竹べらでこそげ落とした。快調に歯車が回る。 新しいグリスを塗布し、ケースに収め直す。見事に動き、拍子用のベルもチンチンと鳴ってくれる。
念のため、動作精度を確認。テンポを60に設定したときの秒数をキッチンタイマーで測定。OK。誤差は1秒未満。 機械式のメトロノームは、現在でも少数種が数社から販売されているが数千円から数万円の価格だ。一方、乾電池で動く電子式メトロノームは、千円を切る価格からあるようだ。機能も後者に軍配が上がる。 何でもかんでも電子式の現代、電気を使わず、ぜんまいを動力に動くメトロノームは、極めて「エコ」だと思う。私は迷わず「ぜんまいバネ式」を選択したいと思う。 かくて、私が小学生の頃に製造されたメトロノームは再び動作するようになり、早速息子がリコーダーの練習に活用している。ちょっと嬉しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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