テーマ:小説(1360)
カテゴリ:本の紹介
先日の兵庫県公立高校入試の国語で取り上げられた小説『水を縫う』。
図書館で借りて、読んでみました。 『水を縫う』 (寺地 はるな、集英社、2020/5、1760円) ==================== 【内容情報】(上のリンク先の「BOOK」データベースより) 「男なのに」刺繍が好きな弟の 清澄(きよすみ)。 「女なのに」かわいいものが苦手な姉の 水青(みお)。 「愛情豊かな母親」になれなかった さつ子。 「まっとうな父親」になれなかった 全と、その友人・黒田。 「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・ 文枝。 普通の人なんていない。普通の家族なんてない。 世の中の“普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。 ==================== 非常に、よかったです。 なにげない日常の中にある意味を切り取った、見事な描写に感動しました。 家族や、それに近い人たちの視点を章ごとに切り替えながら、それぞれの思いや悩みを綴る内容。 僕だったら、こういう小説は書けないなあ、と思いました。 繊細で宝石のような小説でした。 僕が書くとしたら、非日常的な事件がどんどん起こって、誰が何した、そしたらどうなった、みたいな、出来事を追っていくような小説になってしまいます。 日常のありふれた物語にフォーカスを当てて、掘り下げることは、一番難しい。 見る角度を変えたり、遠目から見たり、近づいて見たりして、同じものの別の側面を感じさせること。知っていると思い込んでいたものの気づいていなかった値打ちに、気づかせてくれるような、ハッとする描写。 そういうものが、巧みに書かれているなあ、と非常に感銘を受けました。 日常のやりとりは、ある意味、漫画みたいでも、ありました。 『海街diary』みたいな。 『海街diary』(1) (flowers コミックス) (吉田 秋生) 何気ない日常の中にある密度。 めぐりめぐる考え・思考・心配ごとのリアル。 こういう小説を読むことは、自分の日常に意味を与えたり、色彩感を増したりすることになると思います。 新しく高校生になる人たちから大人たちまで、広く、オススメできる小説です! (関連する過去記事) ▼2021兵庫県公立高校入試問題速報 (2021/03/13の日記) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年03月22日 20時00分08秒
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