テーマ:タブレットPC新時代(96)
カテゴリ:教育改革
コロナ急拡大の中、学校現場も先が見えない中での学習を模索しています。
しかし、「先が見えない状況下で何を考え何をなすか」こそ、学びの本質なのかもしれません。 それができれば、今後どんな環境やどんな状況に変わっていこうとも、自分で考え、自分で行動して、道を切り開いていくことができます。 今回は、前田康裕先生の『まんがで知る未来への学び』を紹介します。 前田康裕先生は教育者でありながらマンガが描けるというすごい方です。 しかも、そのマンガの内容が、とても学びにあふれているのです。 これまでも、読むたびに感動してきました。 少し前に読んだ最新シリーズ『未来への学び』の3冊組では、「インターネットでの画像の一部引用もかまいません」(同書3巻p3)と言っていただきましたので、実際のマンガも交えながら、「これからの学び」について考えたいと思います。今回は1巻目のみ、取り上げます。 『まんがで知る未来への学び これからの社会をつくる学習者たち』 (前田康裕、さくら社、2019、税別1800円) 『まんがで知る未来への学び』第1巻では、新学習指導要領の理念が分かりやすく提示されています。 そのキーフレーズが、「社会に開かれた教育課程」です。 前田先生の『未来への学び』3巻組では、その具体的な「教育」の姿が、ひとつの物語として描き出されています。 社会に出たら、当然ですが、「国語」の時間というものはありません。 ですが、たとえば「国語」で身につけた言葉の力は、様々な場面で、生きて働く力となります。 もちろん、それは「国語」の時間だけで身につくものでもありません。 教科のみを見る狭い視野から脱して、もっと広く「学習」というものを捉える必要があるでしょう。 下の図のように、教科・領域を横断的に、広くとらえ、様々な場面で力をつけていったり、つけていった力をそれぞれの場面で発揮したりすることが、求められています。 (同書p52より) これまでの教育でもそういったことは言われていましたが、今回の指導要領改訂で、その色がより一層濃くなったと思います。 上の図では、育成される「能力」が4つ示されていますね。 その中の「情報活用能力」の具体例として、今一番注目されているのが、タブレットの活用です。 全ての小中学校で児童生徒1人1台の端末が実現しました。 それをどう活用していくのか。 今年度は、そのビッグバン元年とも言えます。 『未来への学び』3巻組では、子どもたちが思いっきりタブレットを活用している姿が描かれます。 もちろんそれは、タブレットを活用しながら学んでいくことを本気で応援する、教師の姿があってこそです。 (p102より) 学校というのは急な変化についていけないところがあって(笑)、 タブレットが急に入ってきたので、大人たちはあわてている、というのが、もしかすると今の状況下もしれません。 むしろ、子どもたちのほうが、急な変化にすぐに対応して、新しいものでもどんどん使っていく力にあふれています。 大人は、「よく分からないから制限する」という発想をやめて、今こそ、子どもたちを信頼して任せていくというスタンスをとりたいものです。 ところで、前シリーズ『まんがで知る教師の学び』3巻組の主人公、吉良先生は、本シリーズでは一歩引いたところから主人公を見守っています。 「困ったときに順番に開けなさい」といって5つの封筒を渡す場面など、なんだか『三国志』の中の天才軍師、諸葛孔明みたい。 ちなみにその5つの封筒、1つめには、こんなことが書いてありました。 「学習者にミッションを与えよ ~授業者は自らの志を語れ~」(p105より) 前回のブログで、「こどものやる気を引き出し、その気にさせる!」という講演を紹介しましたが、まさに、「何のために学習をするのか」という、「学ぶ意義の明確化」です。 (前回のブログでは詳しく触れていませんが、前回紹介した中村文昭さんの一番の口癖が、「何のために」。そのタイトルで本も出されています。) 「教科書に書いてあるから」でやっている学習は、教えている方も、学んでいる方も、面白くありません。 人はそれぞれ、自分なりの願いや思いを持っています。 まずは、そこからのスタート。 目的を押しつけても、人は本気で動かないのです。 そのためには、授業者が、まず自分を語ること。 オープン・ユア・マインドです。 そうすれば、結果は、後から、ついてきます。 (p114より) マンガの中で主人公が大事なことに気づかされる場面で、読者も同時に気づかされます。 マンガは疑似体験ができる大変優れたメディアです。 マンガを読むことを通して、主人公の学びを自分のこととして吸収し、いま自分の周りにいる人たちに還元していく。 そういった連環が生まれれば、素晴らしいな、と感じます。 これぞ、連環の計。(本来の意味と違った意味で使用しています。) 大人たちの学びは、子どもたちの学びにも、つながっていきます。 子どもたち同士も、大人たち同様、影響し合いながら、学んでいく。 僕は、「学び合い」はこれからの学習のキーワードだと思っています。 このマンガの中でも、子どもたちが学び合う姿があり、「これこそ、めざしている姿だな」と思いました。 (p135より) タブレットなどのICT機器も、単なる手段に過ぎません。 子どもたちが自分でしっかりと目的を持ち、手段を使いこなして、目的に近づいていく。 こんなステキなシーンをマンガの中で見せてくれた前田先生に、感謝したいと思います。 最後に、本書の「あとがき」から、次の1文を引用します。 「自ら問題を発見し、 自ら問いを立て、 自ら情報を集め、 様々な知識や技能をもった人々と協働して問題を解決していく という『資質・能力』が必要とされるのです。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月19日 10時03分03秒
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