カテゴリ:教育改革
昨日の第2巻に続き、『まんがで知る未来への学び』第3巻を取り上げます。
『まんがで知る未来への学び3 新たな挑戦』 (前田 康裕、さくら社、2020、税別1800円) 第1巻・第2巻で出てきた多くの無理難題を、新しい時代の新しい手法で次々と解決していくカタルシス。 本のオビに出てくる「一人一台情報端末」ですら、その一部分でしかありません。 前時代の遺物のような人はついて行けないかも。 しかし、ついて行けないのが早めに分かることが大切なのです。 本の中だけでなく、時代は実際に新しく変わっていっているのです。 この本はきっと、あなたの「新たな挑戦」を後押ししてくれます。 僕はかなり、背中を押されました。 新しいことをやりたいと思っていても、なかなか行動できないとき、他の誰かがやっているのを見ると、「じゃあ、僕も」と行動しやすくなりますよね。 不安に思って足が動かないときでも、他の誰かがモデルになると、足がすっと前に出たりするものです。 実際の人物でなくても、マンガや小説、映画の中の登場人物に背中を押されることは、往々にしてあります。昨年の大ヒット映画「鬼滅の刃」も、きっとそうだったんじゃないでしょうか。 「新たな挑戦」をしたいと思っている人なら、教育に関わる関わらないにかかわらず、読まれることをおすすめします。 では、ここからはマンガの引用を含めて、具体的な内容に踏み込んでいきます。 1つめは、子どもたちがどんどん主体的に学んでいっていることが分かるシーン。 (p54より) 先ほど、「このマンガのストーリーから背中を押される」というようなことを書いたのですが、そういったストーリーへの気づきは、主体的に関わることによって、生まれます。 マンガや小説、映画の場合は、主人公への感情移入がしやすいので、自分を重ねて、主体的に関わることを知らず知らずのうちにしています。 しかし、学校での学習内容の場合、なかなかそうならないことが多いです。 「教科書を読んで涙した」っていう子は、なかなかいませんよね?(笑) ところが、「自分で調べる」という行為を通して、主体的に関わることが実現できれば、そういうことも起こりうるのです。 総合的な学習で地域のことを学習している学校は多くあります。 その中では、子どもたちが主体的に学び、自分たちの調べたことをまとめて発表する、という形式をとっているところも、多くあるでしょう。 しかし、それが本当に子どもたちが主体的に取り組むものになっているでしょうか? 形式的にではなく、本当に主体的に取り組んでいる子どもたちの姿は、胸を打ちます。 それは、学校を超えて、子どもたちが所属しているコミュニティを変革するエネルギーにも、なるのです。 本書の中のエピソードは、地域創生、地域おこしの具体的なアイデアにもなっています。 「子どもは受け身的に学ぶ人であって、主体的に社会を変える人ではない」とみなす考え方は、前時代的です。 これからは、子どもだって社会を変えるのです。 自分たちが生まれ育った地元のまち・地元の村のことなら、なおさらです。 僕たち大人は、そういった子どもたちの主体性を、本気で応援できるでしょうか? 次の、教頭先生と校長先生のやりとりは、大人のスタンスが問われているシーンです。 (p90より) 第2巻に出てきた「対立を対話で乗り越える」シーンの具体的な姿が、ここにも描かれています。 「新たな挑戦」は、失敗を怖れるところからではなく、失敗を怖れずに行動するところから始まるのです。このシーンの校長先生、とてもステキですね。 子どもたちの「新しい学び」の具体的な姿も、衝撃的です。 (p113より) 強みを活かし、貢献する。 1人1台のタブレット端末は、その1つの手段です。 「なければ 作る」 タブレット端末により、「作る」ための材料が得やすくなりました。 なにしろ、データ上なら無料ですぐに手に入るものも、いっぱいありますし、自分で作り出すことも遙かにやりやすいのです。 実は僕は子どもたちに「なければ 作る」の精神を一番訴えたいと思っています。 自分の子が「面白いゲームを探しているんだけど、みつからない」と言ったときには、 「自分で作ればいい」と言っています。 自分が一番満足できるのは、自分が作ったものなのです。 消費者に留まるな、 生産者であれ。 ゲームをただ消費するだけのゲーマーになるのではななく、どうせならゲームに触発されて新しいゲームを作るクリエイターになってほしいと願っています。 ちなみに僕自身も、曲を作ったり、ゲームを作ったりしてきました。 自分の子には、その姿を見せています。 ただ、学校の中ではあまり見せられていないかな・・・。 何であれ、次のシーンで語られる、「実践者」になることが、求められています。 (p116より) 僕は、基本的にはマンガには線は引かないのですが、ここには思わず引いてしまいました。 ここまで振り返ってみて強く思いますが、このマンガ自体が、前田康裕先生が「実践者」として見せてくれた「新たな挑戦」そのものでも、あります。 僕が最初にこのマンガを読んだとき、 「教育者なのにこれだけドラマチックなストーリーのマンガが描ける前田康裕先生は、とんでもないなあ!」 と驚かされました。 でも、改めてこうやってこの作品を俯瞰してみて、「教育者なのに」というとらえ方自体が、前時代的であったことに気づかされました。 むしろ、「教育者こそ」こうあるべきだという、新しい時代の新しい学びの姿を、率先して体現してくれているのだと思いました。 まさにこのマンガのストーリー同様、新たな挑戦を率先してやって見せてくれている。 それは、ご自身のためというよりは、みんなのため、マンガを読む、僕らのためです。 やはり前田先生は、教育者だったのです。 「教える人」でありながら、教えるよりも気づかせることを重視するためにマンガという手法で僕らに「実践」をして見せてくれているのです。 僕は、そのことに気づかされました。 気づいてしまったら、もう、後には戻れません。 僕も、後に続きます! みなさんも、ぜひ!! ↓シリーズ第1巻、第2巻はこちら。 全3巻をまとめて読むのがオススメです! 『まんがで知る未来への学び これからの社会をつくる学習者たち』 (前田康裕、さくら社、2019、税別1800円) 『まんがで知る未来への学び2 教師も変革を起こす時代 』 (前田康裕、さくら社、2019、税別1800円) (関連する過去記事) ▼前田康裕『まんがで知る未来への学び これからの社会をつくる学習者たち』 (2021/04/19の日記) ▼前田康裕『まんがで知る未来への学び2 教師も変革を起こす時代』 (2021/04/24の日記) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月25日 07時46分47秒
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