歌手さだまさしさんのコンサートに行くと、トークがとても面白いです。
さだまさしさんは、高校時代・大学時代ともに落語研究会(いわゆる「おちけん」)に所属されていたそうで、落語家としての腕前もかなりのものです。
思い出話のディテールを見事に再現するその話の奥深さとおもしろさ。
「話をすること」に少しでも関係のある人は、この方のトークはぜひ一度聞いておかれたほうがいいんじゃないかと思います。
#話し方の勉強になります!
トークの内容は、多岐にわたります。
めちゃくちゃ笑える話もありますが、ある教訓が得られたり、感動を覚えたりすることもしばしば。
歌よりもトークを楽しみにしているお客さんも多い、というのもうなずけます。
そういうわけでトークだけを集めたCDが以前から売られていたりするのですが、なんと、トークだけを集めた本も、出ていました。

『さだのはなし ~さだまさしステージトーク集~』[ さだまさし ]
(絶版につき、リンク先は電子書籍版)
この中に、「安本学級」という話が収録されています。(p79~85)
「安本先生」は、さだまさしさんが高校2年の時の先生だそうです。
とてもすてきな先生だったことが、さだまさしさんのトークの端々から伝わってきます。
ぜひ、みなさん、読んでください。
#もしくは、聴いてください。
トークの最後で紹介されていた「安本先生」の言葉は、次のようなものでした。
・「学校というところは勉強しに来るところじゃない。
勉強というものを勘違いするな、
勉強というのは学校を出てからするもんだ。
学校に通う時間というのは、勉強するための方法を教わりに来てるんだよ、
勘違いするなよ」
(p85より)
さだまさしさんの高校時代というと、ずいぶん昔のことになりますが、これは、今でも通じる、普遍的な、大切なことだと思います。
「学校」というものをどうとらえるか?
「勉強」というものをどうとらえるか?
さだまさしさんのトーク集を読んで、僕は改めて考えさせられました。
さだまさしさんのトークは前振りも含めた全体の構成が本当にうまいので、ぜひ全体を通して聞いてほしいと思います。
トーク集の最後におさめられていた
「『未来』は『希望』の別名」
という話も、とてもよかったです。
さだまさしさんの話は、笑えるところももちろんたくさんあるのですが、じーんとくる話もたくさんあって、それらが絶妙に混じり合っています。
特に、50代以上の方は、さだまさしさんが昔を振り返って話されるエピソードの中のディテールに、共感できるところも多いのではないかと思います。
ところで、この本には、「ファンが選んだBEST10ランキング ○○編」というのが、いくつか載っています。
その中には「この歌詞が好き!」というランキングもありました。
僕はずっと前にさだまさしのファンクラブに入っていたこともあるくらいなので、まあ、だいたいの曲やトークは知っているのですが、僕が知らない曲が、このランキングには何曲か入っていました。
さだまさしと言えば、「詞がいい」ということで、有名です。
さだまさしの場合は「作詞」と書かずに「作詩」と書く、というほど、詞にこだわりがあり、歌詞が胸を打つものが多いのです。
僕の知らなかった曲でランキングインしていたものを調べて聴いてみました。
そして、またまた「心の友」と呼べるような、名曲に出会えました。
その中の1曲に、「祈り」という曲がありました。
曲も詞も、ほんとうに素晴らしいと思いました。
映画「祈り -幻に長崎を想う刻-」の主題歌だったそうです。
長崎出身のさだまさしさんの平和への願いが、この曲に込められていると思いました。
P.S.
トークだけを集めたCD、なんと今年にも出ていました。
比較的近年の録音が集められている気がします。
#ネタは定番の鉄板ネタがおおいかな?

【おまけCL付】2024.05.22発売 歌ってはいけないCD ~さだばなし 迷作集 令和六年版~ / さだまさし

▼コスモス ~群れあった個々が、別の色~
(2016/10/25の日記)
▼さだまさし『アントキノイノチ』(小説)
(2009/09/23の日記)