作文の「書き出し」をプロから学ぶ図書館の活用 ~『学習指導の「足並みバイアス」を乗り越える』その2
昨日に引き続き、以下の本の読書メモをつづけます。『学習指導の「足並みバイアス」を乗り越える』(渡辺道治・フォレスタネット、学事出版、2021、1980円)本書には、いろいろ気になる記述がめじろ押しなのですが、「ここの部分を取り上げるのは、もうちょっと自分でも調べてから」と思うところもあるので、少し飛ばします。今回は、作文の「書き出し」をプロから学ぶ図書館の活用というテーマで本書の中の記述から、あるアイデアを拾いたいと思います。僕が、「なるほど!」と思ったところです。作文において、「書き出し」はとても重要です。そう認識している僕のこのブログ記事の書き出し、まったく工夫がないですね。すみません。もし僕が仮にブログ一本でプロとしてやっていこうとするなら、きっと、今回のようないい加減な書き出しではだめなのだろうと思います。「書き出し」でひきつけてこそ、その続きも読んでもらえるというものです。実際、有料で配信されているプロの方の記事の書き出しを見ると、毎回すごく工夫されているのが分かります。#僕はあるオンラインサロンに入っていて、毎日記事を受け取っていますが、毎回書き出しでまず何らかの仕掛けをされていて、読むのが楽しみになっています。さて、そんな「書き出し」でひきつけるワザを、いかにして身につけていけばいいのか?本書の中で紹介されていた、作文における「書き出し」の工夫を学ばせる指導が、なかなか素晴らしいと思ったので、以下に、引用します。■作文指導の「足並みバイアス」を断捨離する 「書き出し」の指導の実際・図書館に、メモ用紙と筆箱を持って集合した後、 「ここには、プロの書き出しが山のように眠っています。 ノートにできるだけたくさん写してごらんなさい」 と言いました。(p89より)・同様に「書き終わり」「タイトル」など、 局面を限定して練習を積むことで、作文力は格段に伸びていきます。(p91より)「たしかに!」と、僕は思いました。プロの文章がいかに参考になるとはいえ、一冊全部読むのは大変ですし、時間がかかります。ところが、書き出しだけに限定することで、いろいろな本を手に取って、それぞれの書き出しの工夫に触れ、自然と、「プロの書き出し」に共通するエッセンスを、感じ取ることができるだろう、と思いました。軽井沢風越学園などの、新しくできた魅力的な学校は、図書館をベースにしたところがたくさんあります。図書館の活用をこんなふうにおこなっていくのは、新しい時代の学び方にも合致したものだと感じます。「図書館」という言い方で書いていますが、既存の学校の「図書室」も同じです。勤務校でも、なかなか図書室の活用が図れていなくて、子どもたちの読書離れがどんどん進んでいるのですが、図書室を積極的に使っていくことは、子どもたちが自分で学んでいく力をつけていくために、大変重要なことであると思います。また、これは単に作文のクオリティを上げるためだけの考え方にとどまるものではなく、ほかのいろいろなことの習得にも、応用できる考え方だと思いました。自分がプロになりたい分野で、プロの創作物の中から、「局面を限定して」そこだけを見る。それを、いくつものプロの創作物から見つけることを、繰り返す。そして、単に見るだけでなく、まねてみる。こういう手法を実行することで、子どもたちの自己実現力=夢を叶える力が、飛躍的に伸びる気がします。たとえば、教師や芸人の修行でも、同じことが言えて、とにかく「ツカミ」「導入」を勉強しようと思ったら、尊敬する先生の録画の、冒頭だけを、どんどん見る、といったことが考えられます。そうすることで、先達が一所懸命に考えて練りに練って創り上げた「ツカミ」「導入」の工夫を、量をこなすことで、自然と吸収していけるのではないでしょうか。ほかにも、たとえば作曲の場合でも、イントロを勉強する、と決めたら、とにかくイントロだけを聴きまくる。こういったやり方で、「コレ」と決めたところにしぼって情報収集をし、分析をし、まねてみて、気づいたことを自分の実践に生かすことは、自らの学びを自分主導でおこなっていくために、今後ずっと自分を支えてくれる「学び方」のひとつになるのではないかと思います。非常に重要なことを教えてもらった気がしています。ありがとうございます。▼読まずに書ける読書感想文!?~『女王さまがおまちかね』より(2012/08/13の日記)