通級指導教室の担当教員が、通常の学級で研究授業をおこなうよ!
11/29(水)に、勤務校において、僕の研究授業を実施します。「研究授業」というのは、先生の授業を他の先生が見に来る授業のことです。授業の質を上げ、授業の事実から教職員が互いに学び合うことを目的としています。僕の研究授業は、4年生のクラスでおこないます。通級指導教室の担当教員が、通常の学級で研究授業をおこなうのは、もしかすると珍しいのではないかと思います。#「珍百景」にでれるかな。以前も書きましたが、僕は、障害当事者の方に「通級でやっていることは、通常学級でできないのか」と言われたことが、ずっと頭に残っています。通級でやっている「自立活動」と呼ばれる授業の内容は、そのほとんどは通常の授業の中に取り入れることができると思っています。もちろん、通常学級の時間割の中には「自立活動」という時間割はありませんが、各教科の時間の中に、そのエッセンスやメソッド、考え方は取り入れることができるはずです。また、「別室指導でうまくいっていても、普段の授業や生活場面において汎化しない」ということが、別室指導だけをやっていると課題としてよく挙がってきます。ソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼ばれるものは、その最たるものです。別室の個別指導の中でどれだけSSTができたとしても、集団の中でできなければ、何の意味もありません。だから、本人の学校生活全体の改善を考えるならば、「取り出し指導」と呼ばれる別室での特別な指導から、本人が学校生活で困難さを感じているその場・その状況において、困難さを改善する指導(=「自立活動の指導」)へと、スムーズにつなげていく必要があるのです。そのような理由から、今年度は通常学級の中でたまに授業させてもらっています。今回の授業も、その一環です。勤務校ではすでに「児童支援教員」が6年生のクラスで授業をおこなっています。児童支援教員というのは、不登校の子や外国にルーツを持つ子に支援や指導をおこなう先生です。「通級」の先生と同じように、普段は別室指導をおこなうことも多い先生です。でも、研究授業は6年生のクラスでされていました。支援を要する児童に関わる教員が別室指導だけをするのではなく、ここぞというときには、クラス全体にかかわって全体指導をおこなう文化ができてきました。普段、別室指導をしていたとしても、重要なのは、「それだけで終わってしまわない」ということです。学校全体で「支援を要する子」の指導や支援を考えていくには、切り離して考えずに、全体の学校教育の中で包括的に一緒にやっていくことが、必要です。先日おこなわれた勤務市内の特別支援教育に関わる部会のなかでも、僕は次のように発言しました。「普段過ごしているクラスの様子を見ることなく、別室指導に終始してしまわないことが重要です。 通級の場合、通級の終了を別室指導の成果だけで決めてしまうのではなく、クラスでの様子をふまえて通級の終了判断をするべきです。」同じ県内や近隣の他府県でも、通級担当が「同室複数指導」(担当がクラスに入って主指導の先生と一緒に指導する)を必要に応じておこなっているケースは、わりと多いようです。ただ、その場合でもあくまでも主指導はクラス担任や教科担当の先生。「支援教員」という立場の者が、主指導をおこなうことは、きわめてまれです。しかしながら、それをおこなっていくことが、「普段の授業を変えていくこと」につながります。そう信じて、やっています。全国には少数ながら、同じことをしている人がいると思います。そういう人と、ぜひつながりたいです。昨年、国連からの勧告で、日本が真にインクルーシブ教育を進めていくためには、通常学級の授業を変えていくこと、その授業を担当している先生方の研修を実施していくことが必要であると示されました。今こそ、別室指導で専門性をもって指導してきていた先生方のスキルやマインドを、通常学級の中に入れていくべきときです。通級担当だけでなく、特別支援学級の先生や特別支援学校の先生などが、通常学級の中で、その指導を活かすべきときなのです。「特別な支援を担当している先生」は、ぜひ、どんどん通常学級の中に入っていきましょう!ちなみに、今回の研究授業は、僕がそのクラスで月1回指導をおこなっている国語科「漢字の広場」の授業です。漢字を読んだり書いたりすることが苦手な児童が他の児童といっしょに楽しそうに「漢字の広場」の授業を受けている様子が、これまでにも見られています。当日はなるべく子どもたちの活動時間を保障してあげるようにして、僕があまりあれこれ言わないように、子どもたちの活動を邪魔しないようにしたいと思っています。(追記)いちおう研究授業では指導案を事前に配ることになっているので、もちろん僕も指導案を作っています。かんたんなものですが、いちおう公開します。(一般公開用に編集しています。)↓(この画像はAIが作成したものであり、実在の人物団体等とは関係ありません。)▼インクルーシブ教育関係の雑誌記事「国連からの勧告どうするの」(2023/11/06の日記)▼漢字を非常に苦手にしている子のクラスでの漢字の授業実践(2023/10/24の日記)▼【実践】漢字の読み書きが困難な子どもがみんなと共に学び合えるようにする提案授業(小4「漢字の広場」の授業) ~僕は、こう考えたんだ。~(2023/09/17の日記)