記録に残るよりも、記憶に残る「MOTHER3」
おととしの、もとい、おとといの記事。「記録よりも、記憶に残る、というのが、一番」と書いて終わったのですが、このフレーズ、どこかで書いたなあと思っていたら、書きかけの記事の中で書いていたのでした。そういうわけで、書きかけの記事を完成させて公開します。完全に趣味の話です。れとろげーむの話です。興味のある方だけお読みください。ファミコン時代のRPGの名作として後世に語り継がれているゲームが3つあります。「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」、そして「MOTHER」です。#ファミコンRPGの名作3つの、3つめは人によって意見が分かれるらしい。このうち、「MOTHER」は、いわゆる売上本数などの記録上は、たいしたことはありません。記録に残るゲームではなかったのです。ただ、圧倒的に、記憶に残るゲームでした。記録に残るよりも、記憶に残る。大事なことだと思います。今は、成果主義とか、効率とかいうことが、優先されがちな社会です。だからこそ、「MOTHER」のようなゲームの存在が、よりいっそう際立ってきます。「MOTHER」の世界は、「MOTHER」のゲーム内でしか体験できない唯一無二のものでした。糸井重里さんのつくった世界観は、どこまでも自然で、ほっとする空間でした。どこまでもディテールにこだわったその世界観を味わうことは、すなわち幸福だったと思います。「MOTHER」は、3部作です。「MOTHER3」が、ちょうど1ヶ月前、2月21日から、スイッチオンラインの追加パックで、遊べるようになりました。▼「MOTHER3」公式サイト▼いま『MOTHER』シリーズをプレイするためには? (ほぼ日刊イトイ新聞)僕はすでにスイッチオンラインで「MOTHER」の「1」と「2」はプレイしていました。あの世界観をあじわいたくて、「3」も速攻でプレイしました。圧倒的でした。「1」と「2」以上に、圧倒的。音楽、シナリオ、デザインなどを含めた「世界観」が唯一無二であり、圧倒的でした。よくぞここまでこだわり抜いて作り抜いたものだ、と思いました。いまどきの3Dじゃなくて、2Dだったのも、よかったです。ファミコン世代が当時のRPGをなつかしみながらプレイするには、おすすめです。今のスイッチオンライン版なら、「どこでもセーブ」や「巻き戻し機能」が使えます。失敗しても、数秒前に巻き戻してやり直せるのです。とんでもないチート機能ですが、おかげで楽にサクサク進められます。忙しい大人が今ちょっとずつ進めるには、必須な機能です。このゲームのテーマは「家族愛」です。#現代の文明社会への風刺もきいていました。#社会問題の裏側に隠されている本質を見せられた気がしました。ボリュームが膨らみすぎてなかなか製品化できなかった作品というだけあって、使い回しでラクをするような作り方ではなく、ひとりひとり、ひとつひとつに固有のセリフや動き、音楽をつけて、とことんまで細部にこだわってつくられたのが、ひしひしと伝わってきました。それがオープニングからエンディングまでの、長い物語の中で、貫徹されています。シナリオも、音楽も、グラフィックも、すばらしかったです。長い時間をかけて作品を仕上げることのモデルを見た気がしました。このゲーム自体は3Dではないですが、このゲームに感化されたファンによって、3Dアニメーションによるトリビュート動画が作られています。これがまた、すごいクオリティです。こだわりの作品が、こだわりのトリビュートを生むのですね。「MOTHER」シリーズの音楽はどれもすばらしいですが、「3」はゲームボーイアドバンスの作品といううこともあり、音質が上がっています。ホンモノの楽器を鳴らしているとしか思えない、リアルな音色に、これもまた、度肝を抜かれました。「3」のテーマは、後にアルバムが出た時に、大貫妙子さんが歌われていました。大貫妙子さんの歌と、テーマの曲調がとても合っていて、癒されます。▼大貫妙子 We miss you ~愛のテーマ~ 歌詞&動画視聴 (歌ネット)糸井重里さんと大貫妙子さんの対談で、大貫妙子さんが言われていたことを、最後に引用します。大貫でも‥‥めずらしいゲームですよね?糸井そうですか?大貫強くなって勝つっていうんじゃないんだもの。ゲームって、ふつうは制圧していくものが多いでしょ。だから、勝つということに慣れているなかで、こういうゲームは、めずらしいなあと思った。最後の最後に、そういうものが待っている。ずっと遊んでいると、なかなか頭が切り替わらないから気がついたときは、ショックでしたね。(ほぼ日刊イトイ新聞内の対談ページより)「戦って勝てばいいんだ」という概念を覆すRPG。記憶に残る理由が、少しは伝わったでしょうか。▼ファミコン「MOTHER」のテーマ曲のメロディ演奏ガイド動画! (2023/07/19の日記)