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2016年9月27日 10:45 ねこミミ☆ガンダム 第5話 9コマ 終わったぞ、ちくしょう!! 大変だよねぇ……。 お前らKBTITとか言って笑ってるけど……。 ブリーチだってSS編の前あたりまでは天才的な作品だったっちゅーの。 いやぁ、作家って尊敬するわ。 出会いがありきたりというなら自分で書いたらどうですか!!(予防線) 尋問によってアイーシャの居所が明らかになった。 翌日、アイーシャの逮捕と凛音の救出のため、警察による突入作戦が試みられることとなった。 早朝。薄曇り。 アイーシャのアパートは住宅街にある。複数の捜査員が物陰から取り囲んでいた。 アパートの横から真っすぐに延びる坂がある。その上には、警察車両や警官らの姿があった。建物の陰に隠れるようにして数体のマシンドールが待機している。英代の乗るマシンドール〈シロネコ〉、そのバックアップのためにNPOの関係者らもいた。 指揮を取るセラフィムは、坂の上から赤い屋根のアパートを見下ろした。 協力者は「アイーシャはマシンドールを持っている」とも供述している。早朝ではあったが、無理をいって周辺の住民らには退避してもらっていた。 ふいに、均が白い顔をした女性を連れてきた。 「セラフィムさん。母が、どうしても父さんのことが聞きたいって……」 「均の母です」理沙が細い声でいった。「凛音は――夫は無事なんでしょうか……」 「心配されるのは当然のことです」 セラフィムはアパートを指さしていった。「あの赤い屋根の建物。あれが凛音さんが監禁されているアパートです。すでに捜査員が包囲しております。容疑者のアイーシャが仕事に行くために部屋を出てたところで身柄を確保。そのあとに凛音さんを助け出す手はずです」 セラフィムは理沙に向き直っていった。「ご心配には及びません。凛音さんと再会できるのも時間の問題です」 「あ、ありがとうございます……」 理沙は表情をゆるめた。 いつものように早い朝食を食べ終え、アイーシャがいった。 「仕事に行ってくるわ」 アイーシャは玄関で靴を履きながら、「今日で仕事を辞めるから。明日からは海外移住の準備をしないと」と、おどろくことをいった。 「海外って……! 本気か!?」 「前にも言ったじゃない。お互い、外国に行ったほうが落ち着いて生活もできるでしょ」 「僕は外国に行くつもりなんてない!!」 アイーシャは冷たい声でこたえた。 「……あなたは1度、私を裏切ったのだから、1度、私の言うことを聞くこと。それで、やっと対等な関係よ」 「うっ……!」凛音は喉から声を絞るようにいった。「だ、だからって、見ず知らずの土地に行くなんて……」 「あなただってこんなせま苦しいところに押し込められているのは嫌でしょ。外国に行って、対等な立場になってふたりの関係をやり直す。それでいいじゃない」 「でもっ……!」 アイーシャはドアに手をかけた。 「ごめんなさい。時間がないから出るわ。また、あとで話しましょう」 アイーシャは玄関の扉から出ていった。 凛音の心は乱れた。外国に連れて行かれたら、もう2度と家族にも会えないだろう。なんとしても外国行きを阻止しなくてはいけない。しかし、説得に応じるようなアイーシャではない。銃を突きつけてでも連れて行くつもりだろう。なら、どうしたら―― 凛音は部屋の中をうろうろしていたが、ふいに気づいた。 玄関のドアの鍵がかけられた音がしない。 いつもなら、ドアが閉まってすぐに向こうから鍵のかかる音がする。その音がなかった。 慎重なアイーシャが、そんなミスをするとは思えない。 凛音は玄関のドアに近づいた。耳をすませる。物音はしない。気配もないようだ。 音をたてないようドアに顔を近づけた。鼓動が早くなる。のぞき穴をのぞいた。外にはだれもいない。 ゆっくり、ゆっくりとドアノブをまわす。腕がこわばる。わずかな音がしてドアが開いた。 狭いすき間から外をうかがう。薄暗い通路。だれもいない。 ドアを大きく開いた。死角になったドアの裏側を見る。だれもいなかった。 ――ついに、その時がきた。 2階の部屋から外に出るには、通路を進み、階段につながるもうひとつのドアを開けなくてはいけない。 あたりをうかがいながら階段のドアに近づいた。ドアのくもりガラスからは明るい外の光が差し込んでいた。 凛音は震える手でドアノブをとった。 と、ドアがかってに開いた。 目の前には鍵を手に持ったアイーシャが立っていた。 ふたりは目が合った。 「あっ……」 「うっ……!」 凛音は叫びながら駆け出した。「うわあああああッー!!」 アイーシャを押しのけ、階段を駆け下りる。数段を飛ばして地面についた。わき目も振らずに逃げ出した。 アイーシャは凛音に押し倒された際、手すりで体を支えたが、尻もちをついた。 「くッ!!」 すぐに立ち上がり、脚のホルスターから銃を抜いた。 銃をかまえる。が、凛音は階段を降り切り、隣家の塀のうらに消えていた。 「凛音ッ!!」 厳しい形相で叫んだ。 と、物陰から数人の捜査員らが現れた。あっけに取られたように見ていた。 セラフィムのもとに捜査員から無線の連絡が入った。 凛音はアパートを自力で脱出。アイーシャは捜査員に気づいたという。 セラフィムはマイクに向かって声をあげた。 「ひとりは凛音さんを保護! 残った者たちでアイーシャを確保! 状況に合わせて動けっ!!」 アイーシャに向かって捜査員らが銃をかまえた。 「銃を捨てろ!!」 階段の上から見えるだけで、まわりを4人の捜査員に囲まれている。それぞれが銃を向けていた。 アイーシャは持っていた銃を高くかかげた。敷地を越えるほど遠くに銃を投げ捨てた。 捜査員らが階段を駆け上がった。アイーシャに迫った。 と、アイーシャは階段の手すりを乗り越えた。着地すると、すぐ前にある1階の部屋の扉を鍵で開けた。 アイーシャは台所まで走った。床下収納の扉から地下室に入る。地下の鉄扉を開けると、地下放水路まで続くはしごを降りていった。 捜査員たちが1階の部屋に来た時、アイーシャの姿はなかった。 台所からは地下室へ降りれる。地下室の床には鉄の扉があった。扉の奥は真っ暗闇で底が見えない。冷たい風が吹き上がった。獣がうなるような機械の駆動音がした。 ネコミミの捜査員と手をつなぎながら凛音が坂道を駆け上がってきた。 セラフィムは坂道を降りようとした時、異変に気づいた。坂から見下ろせる住宅街の一角が動いた気がした。地鳴りのような音が足元からした。 「地震……?」 気づいた者たちは互いに顔を見合わせる。 ふいに、坂の下の家々がおもちゃのようにふらふらと大きく揺れた。 と、地を割るような轟音とともにアパートを中心に大地がいびつに盛り上がった。目の前に山ができていった。建物は飴細工のように崩れていった。 立っていられないほどの揺れがあった。セラフィムはひざをついた。 人々の悲鳴が轟音にかき消される。 目の前には、見上げるような山ができていた。 土ぼこりが晴れる。と、現れたのは黒い巨人の上半身だった。通常規格のマシンドールとは比べ物にならないほど大きさ。機械の両目が光る。こちらを見下ろした。 アイーシャは巨大マシンドール〈ニャインズ・ニャイン〉のコックピットから街を見下ろした。坂の上には多数の警察関係者の姿や車両が見えた。何体かのマシンドールも待機している。マシンドールは、その10倍はあるニャインズからしたらおもちゃのようだ。 坂道を走る凛音と捜査員がいた。凛音がこちらを振り向いた。その目は恐怖で見開かれている。 「凛音ッ!!」アイーシャは声をあげた。 アイーシャのニャインズは立ち上がった。下半身を覆っていた大地がやすやすと崩れた。地下放水路から脚を引き抜いた。 ニャインズの全高は約200メートル。超高層ビルほどだ。 街のどんな建物よりも大きい右脚が一歩を踏み出した。家々を押しつぶす。 ニャインズは逃げる凛音を追った。 巨大なマシンドールが凛音に迫った。 足が地面につくたびに衝撃で体が浮き上がる。耳が聞こえなくなるほどの轟音があった。 「リオンッー!!」 巨大マシンドールのスピーカーからアイーシャの声がした。 「また私を裏切るの!? 騙すの!?」 ニャインズから発する声は、あたりの空気をしびれさせた 凛音は捜査員とともに坂道を走った。恐怖で全身の筋肉がこわばる。 見上げると坂の上には警察関係者らしき人々の姿があった。おどろいた表情でこちらを見ている。 数体のマシンドール、英代のシロネコもいた。 そして、妻の理沙、息子の均がいた。待っていてくれたのだ。凛音はやっと帰って来れたような気がした。 凛音は足を止めた。一緒に走っていたネコミミ捜査員の手をはなした。 捜査員は声をあげた。 「何をしているんですっ! 早く走って!!」 凛音はいった。 「あなたは行きなさい!!」 近づこうとする捜査員を凛音は押し返した。 捜査員はよろめいて手をついた。ふいに、大きな影が迫る。巨大なマシンドールが見下ろす。捜査員は、ひきつった顔でその場から逃げていった。 凛音は振り向いた。空を覆い隠すほどの巨人が立っていた。 凛音は両うでを広げた。見上げても顔が見えないほど大きな巨人に向かっていった。 「アイーシャ、僕に見せられる誠意はこれしかないんだっ……!!」 ニャインズは、高くあげた右足を凛音に向かって下ろした。 「凛音ッ!!」 アイーシャには、この恋の結末がやっと見えた気がした。 ふたりは手を取り合って地獄へ行くのだ。 ――アイーシャは思い出していた。 はじめて会ったのは雨の夕方。コンビニの店先だった。 お金も傘もなく立ち尽くしていたアイーシャに、声をかけてくれたのが凛音だった。持っていた傘を気にするなとばかりに押し付けてくれた。 あとで聞いた話によると会社の女性社員と間違えていたのだという。でも、嬉しかった。 傘を返すために何日か、同じ時間にコンビニの前で待った。再会した時はおどろいたようすだった。でも、喜んでくれた。 そのあと何度か連絡を取り合い、食事にさそってくれた。雰囲気のいいお店。見たこともない豪華な食事。ゆったりと流れる時間。この星で、はじめて声をかけてくれた優しい男性。 運命以外の言葉で説明したくなかった。 でも、恋はあっさりと終わった。運命は死んだ。 「優しいあなたが好きだった!!」 ニャインズの右足が凛音を踏みつぶした。 ニャインズの右足がわずかに地面に届かない。何かが邪魔をしている。 アイーシャはニャインズの足元を見た。 そこには英代のシロネコがいた。両腕と肩で、自身よりも大きな足裏を支えていた。 英代はいった。 「おじさん! 早く逃げて!!」 凛音はシロネコを見上げながらいった。 「ムチャをするなっ! 英代ちゃんこそ逃げるんだ!!」 ニャインズの巨大な足裏がさらに迫った。シロネコの全身から悲鳴のような異音があがった。 シロネコの足がコンクリートの地面にずぶずぶと埋まっていった。 「だ、ダメだッ!!」 英代は叫んだ。 と、轟音とともにまわりが暗くなった。 ニャインズは凛音とシロネコがいたところを何度も何度も踏みつけた。 全身を震わせる恐ろしい音。地面が形を変えた。 理沙は坂の上からその光景を気丈に見ていた。が、一歩あとずさると、ふいに支えを失って倒れ込んだ。 「母さん!!」 均が駆けよると、理沙は気を失っていた。 均は、巨大なニャインズの足元を見てつぶやいた。 「英代ッ……!!」 アイーシャは、コックピットのシートで頭を落とすようにうつむいた。肩を震わせながらいった。 「凛音……。私もすぐに行く……」 アイーシャがシートから腰を上げようとした時、ふいに鈴の音が聞こえた。近くから、あるいは遠くから。それとも、アイーシャの頭がおかしくなったのか。 気になって、アイーシャはニャインズの右足をどけた。地面にはつぶれたシロネコと凛音がいるはずだった。が、そこにあったのは真っ白な楕円体の塊だった。塊は、糸が絡み合ってできているらしい。 突然、白い塊が立ち上がった。 アイーシャのニャインズは思わずあとずさった。 たまごのような楕円体がブルブルと震えた。と、てっぺんからシロネコの耳が飛び出した。 楕円体の正体はシロネコだった。 風が吹いた。シロネコの全身をおおう糸が、水に溶ける絵の具のように流れていった。 すべての糸が流れる。と、現れたのは傷ひとつないシロネコだった。両手には凛音を抱えていた。 坂の上から双眼鏡でようすを見ていたニアは珍しく声をあげた。 「ほう……。〈モコモコガード〉が発動しましたか」 「モ、モコモコ……!? なんですか、そのふざけた名前は……!?」 夏恵來はニアから双眼鏡を受け取った。たまごのような塊の中から現れたシロネコ。英代も凛音も無事だった。 ニアはこたえた。 「名前を考えたのは英代さんです。モコモコガードとは、シロネコに備わる現状最強の防御兵装です。全身の装甲から生える毛を瞬時に伸ばし、あらゆる熱線や衝撃を防ぎます」 「とにかく、英代ちゃんは無事なんですね!」 「もちろんです。が、モコモコガードは強い攻撃にさらされると自動で発動するようになっています。あるいは危ないところだったかもしれませんね」 夏恵來は、双眼鏡でアイーシャのマシンドール――ニャインズを見上げながらいった。 「しかし、なんですか。あのでっかいバケモノは……」 「あれは〈AMDW(アンチ・マシンドール・ウェポン)〉でしょう」 「アンチ……?」 「セラフィムさん!」 と、ニアはセラフィムに声をかけた。「AMDW(アンチ・マシンドール・ウェポン)で軍の開発記録を検索できますか?」 セラフィムは真剣な表情でタブレット型端末を操りながらいった。 「今やっています……!」 「AMDWとは何なんですか?」 夏恵來の問いにニアはこたえた。 「今や戦場の主力はマシンドールです。そのマシンドールを倒すためだけに開発された兵器がAMDW。まだまだ実験段階のはずです」ニアはニャインズを見ながらいった。「あのデカブツは、通常規格のマシンドールをその巨体とパワーで圧倒するという単純なコンセプトで造られたものでしょう。それがなぜ街中から出てきたのかは、わかりません」 「ありました!」セラフィムが端末に目を落としながらいった。「巨大マシンドール〈ニャインズ・ニャイン〉。開発と試験を経て、すでに廃棄されたとありますが……」 ニアがいった。「開発者のだれかが悪さでもしたのでしょう。私も他人のことは言えませんが……」 「英代さんは勝てるのでしょうか」 「やり方しだいでしょう。無線が通じません。マイクを貸してもらえますか」 セラフィムからマイクを受け取るとニアはいった。 「英代さん! お怪我はありませんか!?」 英代の声がシロネコからした。 「平気です!」 「わかっていると思いますが、相手はパワーも体躯もケタ違いです。しかし、その大きさゆえ稼働時間は10数分ともたないはず。攻撃を避けながら時間をかけてしとめてください」 「……でも、それでは街がボロボロになります! 試してみたいことがあります!!」 「……わかりました。くれぐれも気をつけて!!」 「はい!!」 シロネコはひざをついた。両手に抱えていた凛音を地面に降ろした。 「おじさん! みんなのいるところに行ってください!!」 凛音はシロネコを見上げながらいった。 「英代ちゃん……! 気をつけて……!!」 英代はモニターの凛音に微笑んでいった。 「大丈夫。シロネコは強いですから」 ニャインズのアイーシャはシロネコを見下ろしながらいった。 「どこまでも、どこまでも……! 私と凛音の邪魔をするっ……!!」 シロネコは見上げるようなニャインズに向き合った。ニャインズに指さしていった。 「おとなしくマシンドールから降りなさい! 言うことを聞けば手荒なことはしません!!」 アイーシャは激高した。 「お前が邪魔だああああああああぁぁぁぁッー!!」 ニャインズが走った。高層ビルが近づいてくるような圧迫感がある。シロネコよりも大きなニャインズの右脚が高く上がった。足裏が、こちらをを踏みつぶそうと迫った。 シロネコは後方に大きく飛んで足をよけた。地面に大穴が開いた。 巨大な左足の前蹴りがきた。 シロネコは全身のスラスターを噴かせて飛び上がる。と、ニャインズの左ひざに手を当てて跳び箱のように跳んだ。ニャインズのわきをすり抜ける。 が、そこにニャインズの張り手がきた。シロネコは避けきれず張り手をもろに受ける。すごい勢いで弾き返された。 地面が迫った。激突する寸前、モコモコガードが発動した。 シロネコの全身の装甲から瞬時に白い毛が伸びた。ちぢれた毛はそれぞれが絡みあい、一瞬でたまごのような楕円体になった。 たまごのようになったシロネコは地面や建物にぶつかりながら、あたりを何度も跳ね回った。たまごは何事もなかったように立ち上がる。と、毛が落ちてシロネコが現れた。 英代はつぶやいた。「おお……。あぶなかった……」 アイーシャは苦そうにいった。「やっかいなっ!!」 英代はシロネコのモニターであたりを見渡した。これだけの戦闘で、街はすでに空爆を受けたようにめちゃくちゃになっていた。 「街が……! 人がいないとはいえ……!!」 アイーシャは足元のシロネコをにらみつけた。 「邪魔ものは……許さないっ!!」 英代はいい返した。 「それはこっちのセリフです! みんなを不安にさせて!!」 ニャインズの右前蹴り。高層マンションほど鋼鉄の塊が迫る。 シロネコは姿勢を低くして前に走った。ニャインズの足と足の間に入り、蹴りをよけた。裏側にまわる。と、すぐにニャインズが振り返った。左足を高く上げた。踏みつけ攻撃だ。 アイーシャが声をあげた。 「潰すッ!!」 ニャインズの足裏がシロネコの真上にあった。 シロネコは全身のバネとスラスターで勢いよく跳び上がる。ニャインズの足の裏にもぐり込み、足を押し返した。全身のスラスターを最大に噴かせる。ニャインズの左足が持ち上がっていった。 英代はいった。「全体重がかかってなければ!!」 左足を高く押し上げられ、ニャインズはバランスを崩した。ゆっくりと背後に倒れた。爆発するような轟音と空まで上がる土けむりがあった。 シロネコはニャインズの体の上を駆け抜けた。弱点の頭部を狙った。 ニャインズの腹の上にきた時、巨大な右手と左手がシロネコをつかもうと迫った。 「惜しまず使う! 光る剣!!」英代は声をあげた。 シロネコが走りながら背中に手を回す。〈光る剣〉――ハイヒートソードを引き抜いた。瞬時に発する超高温であらゆるものを斬る武器だ。1度でも使うと熱で刀身が蒸発する。そのために毎回、作り直す必要があった。 以前の刀タイプものは不評だったため、今回は〈魔法少女のバトン風〉のデザインだ。よく考えると剣でではない。 シロネコは〈魔法のバトン〉――ハイヒートソードを振るった。 あたりが光に包まれる。 超高温を発する剣先がニャインズの指先に当たる。と、両手の指を瞬時に斬り落としていた。 シロネコは巨大な両腕をくぐり抜けた。ニャインズの頭部に迫った。もう1本の光る剣を抜いた。駆け抜けながら斬り上げた。 光が収まる。と、ニャインズの顔面は真っ赤な切り口で大きく裂けていた。 メインカメラ、センサー類などを壊されたニャインズは動かなくなった。 均は坂の上から戦いを見ていた。強い光のあと、一瞬で決着がついていた。 英代に怪我がないようだ。均は肩で息を吐いた。 シロネコは、倒れるニャインズの大きな頭を抱え込んでいた。バキバキッとひどい音がして、ニャインズの頭部が首から外れていった。 シロネコは自身の体高ほどもあるニャインズの頭を持ち上げ、高くかかげた。 英代がいった。 「討ち取ったどッー!!」 たぶん、三国志のゲームか何かをやったのだろう。 戦いでテンションの上がった英代はさておき、均は、気を失った母の理沙に近づいた。父の凛音が理沙を抱きかかえている。 ふたりで顔をのぞき込む。と、理沙は重そうにまぶたを上げた。 凛音がいった。 「理沙、遅くなってごめん。やっと帰ったよ……」 理沙はつぶやくようにいった。 「凛音……。おかえり……」 夫婦は固く抱き合った。 警察のマシンドールがニャインズのコックピットをこじ開け、アイーシャの身柄を拘束した。 アイーシャは手錠をされた。警察官に両脇を抱えられながら警察車両まで歩かされた。 均たち家族の前に近づいた。アイーシャは生気を失ったようにうつむいている。凛音は、目の前を通るアイーシャに頭を下げ続けた。 アイーシャは足を止めた。しかし、警察官に背中を押され、つまずきながらも歩き出した。振り向いてこちらを見た。何かを訴えたがるような寂しげな瞳。わずかに開いた口。 やがて、アイーシャは前を向いて歩いていった。警察車両に乗せられた。 こうして事件は終わった。 巨大マシンドール――ニャインズは、開発後に廃棄されるはずのものが違法に横流しされ、非合法組織からアイーシャのもとに渡ったものという。 この戦いで満州(みつす)市北部の住宅街の一角は壊滅的な被害を受けた。が、あらかじめ住民を避難させていたため犠牲者はなかった。 後日、アイーシャは並木凛音を略取・監禁した罪と建造物等を破壊した罪で起訴される。 裁判の結果、陪審員の下した判決は「男が悪い」ということで全員一致の無罪だった。陪審員の多くはアイーシャに同情し、その話に涙を流すものもいた。 また、同時期に行われた民事訴訟では、逆にアイーシャへの損害賠償金、百万円の支払いが並木凛音に命じられた。並木理沙は卒倒するほど怒り狂ったという。 ――が、それはまた別の話だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年09月27日 10時54分16秒
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