慶応大学:英語が死んでいたのに合格
タイトルどおり、生徒A君は英語ができませんでした。まあ、他の科目も特にできるというわけでもなく、簡単に言うと「中の下」。それが、彼の入校当初の成績。彼が入校してきたのは、夏休みの明けた9月半ばでした。志望大学は、慶応大学の理工。私大理系は、国立に比べて科目こそ少ないけれど、暗記がメインの文系とは違って底上げにはそれなりの時間がかかります。また、理系は一般的に「英語ができれば有利」と言われてはいるものの、慶応クラスになると「英語はできて当たり前」なのです。つまり、理系科目に突出した得意科目も無く、まして英語が死!でしたので。まず我々がすべき事は「志望校の相談」からでした。が、彼はどうしても慶応の理工に行きたい様子。浪人は、おうちの意向でNOです。残すは5ヶ月ちょっと。一向に譲らない彼に、担任だったキリエは、英語の偏差値を大幅に上げる事を決意してもらいました。英語は語学ですので、習得には一朝一夕、というわけにはいきません。英国数は時間がかかる。これは受験の定石です。けれど。慶応と言えど、英語は「受験英語」。その気になれば、試験本番で点数を取ることぐらいできてしまいます。彼は、典型的な英語嫌い。中学の時の関係代名詞でつまずいて、そこからはやる気が出なくなった、というありがちなパターンです。当初の英語の偏差値は51。学校から団体受験したマーク模試の成績ですから、慶応の英語になど太刀打ちできるはずが無い事はよくお分かりいただけるかと思います。腹をくくった彼に、「慶応受験生並みの点数を出す」ことを目標とし、他の科目でリードするという作戦を教えました。理系科目は理系志望なので、苦にならないようでした。問題は、英語をやる気が出ない事。まず、偏差値をガバ!っと上げる事を考えました。偏差値が55に届いていない状態といえば、英語なら「語彙不足」です。つまり、単語を叩き込めば、偏差値55くらいはすぐに出せる。正直なところ、センター英語くらい単語を覚えてさえいれば8割くらいかんたんに取れてしまうのです。まして、中学からずっと「キライな科目」。偏差値が上がると やる気も出てきますよね。まず、オススメの単語帳をいくつか紹介し、彼自身に選ばせました。彼が使ったのは、単語王でした。早慶受験生には定番の単語帳です。この単語帳は、分厚く他の単語帳に比べて少し重いので、持ち運びにはかさばると言う難点がありますが、中身は非常にいいです。早慶クラスの英語を出してくる大学の受験生には、必ずコレを薦めています。類義語や派生語、アクセントや発音の注意事項など、まさに受験専用です。また、使い方の具体例が1番「使える英文」になっているのも、他の英単語帳と区別できる点でしょう。この単語帳を一日1ユニット、のようなチンタラした進め方ではなく、1日7ユニット、ぐらいずつ集中的に進めるよういいました。結局、彼は英単語を叩き込み、10月の模試で偏差値56を取りました。これは記述模試でした。たったひとつきで偏差値をガバっと上げる。英語は、実はそれが可能です。ネックだった英語の長文が読めるようになってきたので、(単語を覚えればある程度は読めますものね)前ほど英語を敬遠しなくなり、進んで英語に取り組むようになりました。やる気、というのはすごいものです。英文法もきちんと固め、本番には苦手気味だった化学をカバーするほどになりました。5ヶ月間の追い込みともいえる英語学習が、彼の合格を助ける形となりました。予備校や塾に行っていない受験生で、英語の勉強法に不安のある人は、この本を読んで「他人の英語の勉強方法」を探ってみるとよいです。まるまる真似をしても効果は出ないかもしれませんが、勉強のやり方というものがすこしつかめるかもしれません。本屋さんで見つけたら立ち読みを、是非。この本は、著者の英単語ノートのように作ってあります。受験用の単語帳と違い、ニュアンスが非常に分かりやすいです。入試に英作文が出る大学を受ける受験生。2冊目の単語帳に持っておくと、絶対に有利です。英単語帳を一冊、すでにやりきった人にも薦めます。きっと頭の中で整理ができるでしょう。