上野公園の東京国立博物館で開催されている、『レオナルド・ダ・ヴィンチ -天才の実像』を観てきました。
一応、平日ということと、あまり天気がよくなかったせい?か、普通の企画展なみの混雑でした。
しかし、切符売り場や建物の前のテントをみると、昨日や一昨日、そして3~6日の連休中の混雑ぶりが予想できます。
会場は2ヶ所です。まずは本館の第一会場。
こちらは今回の目玉、『受胎告知』(本物)のみの展示です。
さすがに本物なので照明を落とし、少し離れたところからの鑑賞でした。
警備員は立ち止まらないよう誘導していましたが、絵の正面で立ち止まっている人が結構いました。
さて、この『受胎告知』についてですが、第2会場の3箇所で上映されていたビデオによると、鑑賞のベストポジションは正面ではないそうです。正面から見るとパースが狂っています。(言われてみればそうです)これは、絵を掲示する場所が教会の右側面奥であることを想定しているためだそうです。よって、鑑賞のベストポジションは絵の右斜め下ということです。
これを知ってしまうと、絵の正面で他の人の通行を阻害している人は、まるっきりバカですね。ちなみに、絵の右斜め下で止まっている人はほとんどいませんでした。
さて、第2会場は平成館の2Fです。
エスカレーターを上がると、まず実物大の人力飛行装置の模型が飛び込んできます。当然、当時のものではなく、ダ・ヴィンチが残した書物を元に作成したものです。一目見て重そうなので(普通の木製だし)実際には飛べそうにないなーとか思って解説を見ると、やはり飛べないと書いてありました。
最初のコーナーは、ダ・ヴィンチの年表と『受胎告知』『東方三博士の礼拝』『キリストの洗礼』3作品のデジタル複製画の展示です。デジタル複製画は結構細密で、離れてみると結構良いです。が、近づくと絵の表面がまっ平らなのが分かります。
そして、『受胎告知』の分析の後、今回唯一の本物の彫刻作品、伝ダ・ヴィンチの『少年キリスト像』が展示されていました。
ビデオ上映コーナーと特設ミュージアムショップのコーナーを過ぎると、次は当時の書物や道具などが展示されています。道具は後の世の復元品ですが、コンパスなどは結構複雑な曲線が引けるものでした。
次はダ・ヴィンチが残した資料をもとにいろいろな検証を行ったものです。
さすがに本物は展示されていませんが、CGの映像や、模型などを使って説明しています。
人体の研究に始まり、幾何学、建築、機械などいろいろなことをしています。これは興味深かったです。
本当にいろいろなことを考えています。
でも、人体の動きを研究したわりには人形や人体模型は作っていない?残っていないだけかもしれませんが。(いや、人体図が動くCG展示を観てアクションフィギュアを連想したものだから)
ただ、飛行機械に関しては、“羽ばたく”という動作からは脱却できなかったようです。この辺は当時の発想の限界なのか、それとも考えただけで実験をしていないためか・・・。
でも、当時にベアリングを発想するというのはすごいです。
そして、圧巻は『スフォルツア騎馬像』。
原寸大の馬の前脚部分の模型は大迫力です。
馬を徹底的に研究したデッサンから、大規模な土木工事を要する鋳造工程まで本当によく考えるものだと思います。
ちなみにこの騎馬像、実物大の原型まで完成していたのですが、フランスとミラノの戦争が勃発したために計画は中止、あげくミラノがフランスに占領された折に原型はフランス軍の射撃訓練の的にされて破壊されたそうです。ろくなことしませんね。後にフランス軍がスフィンクスを破壊した、と言われるようになるのも納得です。(実際にはスフィンクスは元々崩れていたらしいですが)
展示の規模に対しては“本物”の展示はあまり多くないですが、模型やCG映像でダ・ヴィンチの発想を再現してあるので、結構面白かったです。
どっかで常設でしてくれないかなー。
あと、平成館の1Fでは『湖畔』をはじめとする黒田清輝の絵画も展示されていました。
こちらも良かったです。
いつものことですが、特別展だけでおなかいっぱい。
常設展まで観て回る気力が残らないのが難点。
近くに住んでいれば、年間パスポートを購入して何度も行きたいところです。
常設展も結構展示変えしているようだし。