カテゴリ:勉強日誌
例えば、論文サブノート55(商標法52条の2の取消審判)の趣旨は、従来の連合商標制度が前提となって説明されています。そこで、連合商標制度について確認してみました。
網野589頁によると、 商標権者は、その登録商標の指定商品または指定役務については専用権を有するが、類似商標の使用や類似商品、類似役務に対するその使用に対しては禁止権を有するのみである。したがって、類似範囲にある商標についても専用権を確保しておかなければ、過誤等により他人がかかる商標の登録を受けた場合には、禁止権の範囲にある商標の使用ができなくなるおそれがあり、商標保護の目的が充分達せられない。 という問題を解決するために禁止権の範囲にある商標の登録を認める制度として誕生したそうです。 そして、連合商標とは、分離して移転できないという相互の結合関係を有するものとして同一人のために登録される商標であって、相互に類似商標同一商品(役務)、同一商標類似商品(役務)、類似商標類似商品(役務)のいずれかの関係にある数個の商標の1つ1つをいう。 なんだか関連意匠の商標板、といった感じです。 で、この連合商標制度は、結局、平成8年改正において、 1.ストック商標の過剰確保、識別力の弱い商標取得等、不使用商標の増大、のための審査遅延、第3者の選択の狭小化につながる。 2.類似範囲は本来経時変化にもかかわらず、登録の段階で固定化することに問題があった。 3.国際的にも特異な制度である。 という理由のために廃止されました(平成8年改正解説書)。 それと同時に類似関係にある商標権の分割移転が認められ、52条の2の取消審判が設けられた、という流れを理解すればよくわかります。 結局、禁止権の使用を確保したい、とする商標権者のニーズよりも、類似関係にある商標権の分割移転を認めることにかこつけて、審査遅延等の問題を解決したかった、ということなのでしょうか? ま、いいか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.08.26 23:02:41
|
|