昼下がりの迷宮~

2010/01/24(日)23:45

『Julie & Julia』

映画・ドラマの話(63)

1949年、ジュリア・チャイルドは外交官の夫ポールの任地パリで、芸術的なフランス料理の洗礼を受ける。好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、大胆にも名門料理学校コルドン・ブルーのプロ養成クラスに飛び込むのだった。 それから半世紀を経たニューヨークで、ジュリー・パウエルは夫エリックに励まされながら、ジュリアの著した料理本の全レシピを1年365日で制覇し、ブログに掲載することを決意する。(goo映画より) 公式サイト:http://www.julie-julia.jp/  実在する2人の女性を描いた映画。 昨年秋、予告編を見て以来ずっと気になっていた映画でしたが、やっと見に行くことができました。 夫の赴任先のパリで、フランス料理の勉強を志したジュリア。 住まいにも、仕事にも、友人関係にも鬱屈したものを抱えて、心の支えを料理に求めるジュリー。 50年の時を隔てた2人の様子が、交互に描かれます。 冒頭、着いたばかりのパリで、ジュリアが夫とともにレストランで食事をします。 供されるムニエルに興奮するジュリア。 彼女の人生を開いた一皿でしたが、スクリーンの中で取り分けられるヒラメと、フツフツと泡をたててとろけるバターのソースに、私も参りました。 次々、彼女たちのキッチンで作られる、フライパンのお肉や、ル・クルーゼの中のシチュー、クリームたっぷりのケーキ… 匂いまで漂ってきそう。 ジュリーとジュリアの共通点は、料理が好きなこと。 食べることも好きなこと。 自分を表現するものは料理なのだ、と、やり遂げようと誓ったこと。 そして、ご主人に愛されて、仲良く暮らしていたことです。 大柄で、豪快ながら、そんなときにジュリアが見せる切ない表情や、負けず嫌いなジュリーが大きな目に涙をたたえる場面。 料理を楽しむ2人の、生き生きした毎日に、目が釘付けになります。 時代の政治に翻弄されるようなジュリアの人生。 ブログに孤独や無力を感じたり、過剰な自信を得た高揚感で書き込みにとらわれてゆくジュリーの姿。 料理は、食べるためだけのものではないのですね。 見終えて、心を込めて供された料理で満腹になったような、幸せな気持ちになる映画でした。 購入したプログラムには、いくつかの料理のレシピも載っていて、楽しいです。 原作本。文庫本で手に入ります。    ジュリー&ジュリア ニューヨークに住むジュリーはまもなく30歳。女優の夢破れてストレスの多い職場で働いている。結婚生活、引っ越し、ホルモン異常...思い通りにいかない人生にいらだつ彼女は、ある挑戦を始めた。 1960年代に主婦のバイブルといわれたジュリア・チャイルドの『フランス料理の達人』にある524皿を一年間ですべて作り、この挑戦をブログに綴ること。魅惑的な料理の数々はやがてジュリーの心を解きほぐし、ブログは意外な出会いを運んでくる─ ノーラ・エフロン監督・脚本映画の原作となった、勇気をくれる美味しいトゥルー・ストーリー。 (「BOOK」データベースより)

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る