父の椅子
むかし、私がまだ小学生だったころ、父が、家を増築して「応接室」なる部屋を新たに作った。カーペットを敷きつめ、重厚なソファとテーブル、サイドボードには洋酒やキラキラしたグラス類カーテンはドレープのたっぷりした臙脂の天鵞絨(ビロード)。時代だったなあ~でも我が家にそんな頻繁に立派な客人が来るわけなく、最後には私たちの友達が来たときの遊び場と化してしまった。家はその後壊し新築しまた壊されて、この椅子は最後に残ったもの。古いけど立派な造りの、ゴブラン織りのソファです。15年くらいずっと叔母が預かってくれてました。螺旋階段の空間の下に収まると何年もずっとここにあったようにしっくりきます。 「おまたせ」。