本棚左2段目前ここ2段目は本当なら違う本達が入っていた。が、入りきれずにジャンル違いのが暫定的に納まっている。 名づけて「頑固爺の棚」 冊数が一番多いのは丸谷才一。 この人はエッセイは本当に面白い。 何というかそこはかとない男尊女卑と意地悪さが見え隠れし、しかも女の私まで笑わせてしまうという恐るべき手腕。 但し小説は感心しない。なんというかエッセイの鋭さが鈍り、薄ぼんやりした印象。 「大きなお世話」「食通知ったかぶり」「女性対男性」「猫だって夢を見る」 「年の残り」「夜中の乾杯」以上文春文庫版 この中では最初の2作品がお勧め。 但し私は基本思想は彼とは違う点が多い。 それでも尚且つ面白く読めた。 「男のポケット」「低空飛行」「軽いつづら」「男ごころ」 以上新潮文庫版 こっちは全品お勧め。 「犬だって散歩する」講談社文庫版 これもよいです。 この方の本のお陰で旧仮名遣いにもすんなり慣れる事ができたと思っている。 正直、これらのエッセイでくすっとできれば大人としての中身は半分大丈夫。 「舌鼓ところどころ」「私の食物誌」中公文庫 吉田健一 所謂食のエッセイを読み漁っていた頃に購入。 読む度にもうここに書かれている中で一体何が残っているのだろうかと暗澹ともなるが、とにかく文章の品格が高く、かつ勝手気ままで優雅。 今更だが、吉田茂元首相の長男。 だが一切政治に関わる事なく、東大→ケンブリッジと出、翻訳、著作で一生を過ごした。 「食卓の情景」新潮文庫 池波正太郎 これは単なる食のエッセイではない。 江戸の人といってもいい作者の心意気と意地が食に事寄せて描かれている。 「本の中の本」中公文庫 向井敏 書評本に凝っていた頃に買った。 どちらかというと刊行当時の比較的新しい本が多く載っている。 これを参考に図書館で借りた本も多い。 新聞連載の短いコラムを纏めたものなので食い足りない部分もあるが、それは著者も同様だろうと思う。 「紙つぶて(全)」文春文庫 谷沢永一 書評本の中では最も愛読した。 この著者に比べれば私など読んだ内には入らん。 こんなに読める環境をどれほど羨ましく思ったことか。 「閻魔さんの休日」文藝春秋 谷沢永一 この著者に感謝しなければならないのは森銑三という埋もれかけていた人を教えてくれた事だろう。 しかし未だに森の本は買えていないが。 「読書人の壷中」「読書人の浅酌」潮出版社 谷沢永一 前者は書評、後者は読書論及び社会論。 そして後者を買ったのを最後に谷沢の本を買うことはなくなった。 近年、センセーショナルな表題で社会論らしき著書を頻繁に出しているが、全く感心しない。 書評こそ一流だとは思うが、所詮は半生を世俗から離れた大学教授で過ごした人間がどういう理由で社会論なんぞを述べ始めたのかさっぱり判らない。 いや、述べるのは勝手なのだが。 読んでいて気の毒になってしまうのでね。 編集者にだまされているのか、何か切羽詰った事情でもあるのかと勘ぐってしまう。 「風の文庫談義」「解体新著」文藝春秋 百目鬼恭三郎 前者に載っている本は借りたものもあるが殆ど読破した。 それほど見事な書評集。 しかし残念な事にこの本のあとがきはそのまま弔辞になっている。 2冊共刊行は死後。 本当にもっともっと書評を読みたかった。 「Into a Black Sun」KODANSYA INTERNATIONAL Takeshi Kaiko 邦題 輝ける闇 開高健に心酔した時期があった。 20代前半の頃で、多分刊行されているものは殆ど読んだはず。 度重なる引越しで散逸したものも多いが、大抵は自宅にも置いてある。 勿論原文(日本語)も読んだが、あまりの感動に英語版は一体どういう表現なのだろうかと思い、買い求めた。 英語版も素晴らしい出来であった。 しかし不思議なのは開高が亡くなってしまうとぱたりと読まなくなった事。 私にとってはリアリティそのものだった事と関係があるのか。 ジャンル別一覧
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