「否定は自己の抹殺、黙って聴くことが相手を生かします」 ブログNo.101
黙って聴く、受け取る ある夫婦の会話、妻:「私はカニが好き、お腹いっぱい食べたい」夫:「俺は焼き肉が好き。カニは嫌い」ありそうな会話です。しかし、夫は妻の言ったことに正しく答えていません。 妻は「カニが好きでお腹いっぱい食べたい」と欲望を語ったのですから、それを聞いた夫は「貴女はカニが食べたいんだね」とまず妻が言ったことを受け容れないと、聞いたことになりません。妻が、夫に「あなたは何が好き?」、「どう思う?」と訊ねたら、夫は自分の好みや意見を述べます。これは妻の欲望を語ったのに対し、夫の好みや欲望を語ったので、会話が成立しません。 また、旅行の話題で友人の会話、A;「私、韓国に行って来たの」B:「私は、以前ヨーロッパを回ったわ」と、かぶせて言う。これも、Aさんが「韓国に行って来た」と言っているのだから、「ああ、韓国に行ってきたのね」、「どうだった」、「何を見て来たの?」と訊くのが先です。 また、A:「沖縄に行って来たの」B:「私はもう3回行った」と言う。 こうして、他者が話している横から自分のことを話しだして、相手の話を取ってしまう。そうではなく、ただ黙って聴きます。これがなかなかできません。聴き続けたら、相手は「あなたはどう?」「何かないの?」と訊いてきます。この時初めて、自分の事を話します。人との会話では、まず黙って聴くことです。すると、人は自分の話を聞いて欲しいくて、あなたのところに寄ってくるでしょう。黙って聴けば、とても好かれます。そんな人はまず居ないからです。 自我境界 自我境界をしっかり作ります。そもそも、自我が確立しているかという問題はありますが。自分には個として自我があり、他者にも自分とは別の個として自我あります。ここに自我境界があって、「私は私、あなたはあなた」の区別がついていること。 互いを尊重し、自分とは別個の人として向き合います。親子、夫婦の間など対人間に個の尊重が必要です。 親子の場合、親が子供を下と見做せば、子供の言うことを受け容れず、子供は親の意見や考えに反抗したり逆らうことを許しません。子供は自分のしたいことを言いますが、それが親の意に添わないと、「うちの子ではない」と言われ、排除されます。もうこの家には居られません。この家に居て生きるには、子供は自分を殺すしかありません。子供は自らの自我を排除しなければなりません。生きるためには死ぬことです。心を殺して生きることは、未成熟な子供にとっては特に過酷なことです。これが高じると、思春期以降、人を殺める行為になる可能性があり、そういう事件が実際に起きています。この事件の動機は何年も前のことで、本人も親も辿ることが難しくなっています。裁判でもこの動機の解明はできません。親は、まさか自分たちが子供を否定し抹殺したとは思っていません。子供もそのことを意識できず、根底に流れている抹殺された怒りや攻撃性をコントロールする精神の構造が脆いか無いために、衝動的に破壊に向かいます。養われる立場である子供の存在が親より下であるのではなく、対等でなければなりません。 夫婦関係でも、対等・平等で尊重がなければ、同じことが起こります。力を持つ者こそ、他者を尊重し、自分との違いを認めることが必要です。 人間は人間が恐い 例えば、ペットが人間の言葉を喋ったなら、人はペットを飼わないと思います。今、日中関係が悪化した中、パンダが中国に返還され、日本にパンダが居なくなります。動物園にいるパンダに、「かわいいね」と言って、「ありがとう」とか、「いや、私はかわいくないよ」とか、ただ「うん」と頷いたとしたら、どうなるでしょう。おそらく、行列をなしてパンダを見に行く人はいないと思います。 人間が何を言ってもしても、パンダは何のリアクションもしない。言語と意味を持っていないので、パンダは意味で返してきません。ここに安心感があるから動物園に見に行きます。それは、パンダは私を「否定」しないという安心感です。これで人は生きられます。人間は自分に肯定的言語も言いますが、否定もします。否定は、個の抹殺に値します。 人間は何を言い出すかわからない。だから、人間は人間が一番恐いのです。基本的に人間は皆、対人恐怖です。何を言われるかわからないから、言えなくなり、言わない。言えない事が全ての病理の基にあります。 ただ黙って聴いて、受け容れられれば人は話します。カウンセリングやセラピーを「お喋り療法」と言い、有効な理由です。子供の話を親が黙って聴けば、子供は何でも話してくれます。親がカウンセラーのように話を聴ければ、子供の心は健全に育ちます。 ライト.a精神科学研究所 登張豊実 (LAFAERO1 大澤秀行 「ラカンの基礎の基礎」講座 2025.12月 より筆者まとめ) ライト.a精神科学研究所では、毎月一回メールマガジンを発行しています。2025年12月メルマガNo.189 のテーマは、「エディプス期:ついている・ついていないから積極性へ父の言語が導く」です。興味・関心のあるか方はこちら http://www.mag2.com/m/0001106260.html から登録してください。 *我が師、大澤秀行氏 LAFAERO1では個人セラピー、各種講座があります。著書:大澤秀行 著 『病気は心がつくる』論創社『令和の徒然草』論創社『こころの科学』講座 テキスト1~3『メタ言語』講座 テキスト1~9『夢分析』講座 テキスト1~9『蝉成阿縷』講座 テキスト1~8詳しくは、LAFAERO1ホームページ:https://lafaero1.com/ をご覧ください。 *ライト.a精神科学研究所、登張豊実へのセラピー、講座、その他の問い合わせや依頼は下記までください。メアド:laito.a.msl☆gmail.com ☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパム対策) セラピーの他に、『オールOK』子育て法等、個人講座もあります。 メールの件名に「セラピー・講座の問い合わせ、依頼」と入れてください。