2008/08/21(木)14:51
君に届け 一巻~四巻 by 椎名 軽穂
陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしちゃう爽子。爽子に分けへだてなく接してくれる風早に憧れている。風早の言葉をきっかけに変わっていけるみたい…。夏休み前、爽子は肝試しでお化け役をやることに!?
歴史やらアクション、最近は妖がらみだったり
非現実的な舞台のものなら少女マンガも読んでいるのですが
学校生活やら恋心、などいわゆる王道と言われる少女漫画とは
とんと縁がうすくなっている 昨今
もう夢見るお年頃じゃなく 苦手とか 読みたくない
はては もう読めないんじゃないかと 思っていたのですが、
そこはかとなく感じる距離感は
良い作品に対する
アンテナの張り具合も方向も よく分かっていないのだなと
「君に届け」 を読んでしみじみと思いました。
最新刊もランキングトップにあがる人気作なんですね~
貸してくれたお友達は
道行く女子高校生達が「ただの少女漫画じゃないんだよ~」
という会話を耳にして 即買いしたそうです!
Wonderfulな決心
物語は まっすぐなが~い黒髪で陰気そうな雰囲気
某映画の重要人物を彷彿とさせる容姿と
人付き合いがちょっと苦手で誤解を生みやすい
反応から
クラスどころか学校中から「貞子」と呼ばれ
目が合ったら呪われるだの好き勝手言われて
遠巻きにされている 黒沼爽子
そんな彼女の実像は すこしだけいじいじしているけれど
朝の挨拶を気持ちよくできたろうかとか
廻りの雰囲気を悪くしないように嫌な役目も
嫌なことと思わず(ここがポイント)すすんで
引き受けるけなげな女の子
そんな爽子にくったくなく
声をかけてくれる同級生の風早君!
彼は名前の響きにこれ以上ないくらいの
爽やかさ満載の男の子
クラスで浮いている子はほっとけないタイプと
言われていますが、、
むしろうわさ話などの先入観をもたない
くったくのないタイプ
もう~爽やかで嫌みがなくて
一クラスに風早君一人配置したら
いじめなんか ぶっとんでしまうという
説得力があるキャラクター
そんな風早君と少しずつ話す機会を持つ中
爽子自身や 彼女の廻りも少しずつ
変化を遂げていきます。
すごいな~と思ったのが
風早君は爽子を憎からずおもってくるのですが
これまで友人関係すらうまく築いてこれて
いなかった爽子は
もう 挨拶してくれる
→こんな私に 話しかけてくれるなんて
→ なんて いい人 → じぶんもこんな人になりたい
といった気持ちでいっぱいいっぱい
自分の中の恋心に きづくのはまだ先となります。
ものごとが性急にすすむのではなく
ゆっくりゆっくりと
初々しいエピソードを重ねていき
爽子は 真摯に 物事にむかっていき
一歩一歩 高校生活を 日常を
楽しみ 傷つき 悩み 歩みをすすめていきます。
主人公爽子と 風早君だけをとりあげるのではなく
女友達との交流や 恋のライバルの鞘当てなど
決して一方的で乱暴なあつかいをせず
それぞれの登場人物がもつ 感情のゆれを
丁寧に描いていくところがとても魅力的です。
い~や もう古くさいいいかたですが
胸がキュンキュンしてくるどころが
心が潤されます。