2009/05/13(水)22:28
夜光の階段 上・下巻 by 松本 清張
現在放映中のドラマはちらっと観ただけで
火花散らす 女同士の闘いが
怖いって言うか 痛いっていうか、、、
視聴するのはやめたんですが
気になったのが原作!
1969~70年発表で
むか~し 確か風間杜夫主演で観たのと
他にも2時間スペシャルかなんかでドラマ化
そんな40年も昔の作品がどうしてこうも
ドラマ化されるのかと 興味が湧き
図書館予約いれると そく借り出しOKでした。
女は利用するのみ、そう心に決め、富と名声を求めて
犯罪を重ねる青年美容師佐山道夫。
男の野心と女の打算を描くサスペンス長編。
どろどろのラブサスペンスと思いきや
ひょんなことで昔の殺人事件(主人公道夫の最初の犯罪)に
関心を持った検事の視点からも語られていき
物語に客観性と 検事の仕事への興味も
膨らんできました。
そして 話が全然古くさくない!
逆に言うと淡白とも思えますが
2~3の表現を変えれば現代でも
十二分に通用する だから
こう何度もドラマ化されるんだと納得
とりたてて姿形が優れているわけではない
道夫の 最大の武器は 美容師としての腕!
女の髪を美しく飾ることにかけて天分をもつ彼が
求めた道は 伸し上がるために
言葉巧みに女たちから 金、コネをひきだして
利用し尽くし 利用価値がなくなったら
ころしてしまう。
それも回数を重ねるごとにより狡猾に
完全犯罪へと進む様子が
該当する事件の担当ではない検事の目を
通して語られていきます。
対する女性達も 欲に、エゴに、嫉妬にと
生々しい存在感をはなっていますが
愛憎渦巻くドラマよりも
一端 自殺や事故死と扱われた場合
疑問を覚えても担当でなければ
表立って調査も助言もできず
冤罪だとしても検察側が 有罪の方向に
向いていた場合 上告しても検察は
有罪の線で審議をすすめるなど
犯罪捜査や司法制度のあり方に
深く考えさせられました。