2005/08/29(月)10:10
40歳VS森瑤子、40歳VSピア・アンジェリ、40歳VSグレース・ケリー
森瑤子さんが亡くなられてから、もう10年以上が経つのですね。もうそんなに?って感じで、月日の流れの速さに一瞬眩暈を感じるような・・・。
都会(もしくは海外)に生きる「おとなの」男と女の恋愛模様。サガンを思わせる洒落たスタイルが、森さんの持ち味でした。
小説も良いですが、エッセイもやはり素晴らしく、私も生意気に中学の頃から森さんのエッセイを貪り読んでいました。
そんな中で、彼女がストレートに自分の中の弱さをぶつけた言葉があります。
「私は40歳になることが、どうしても受け容れられない・・・」
この言葉を目にした時、私はハッとしました。
ピア・アンジェリ、イタリア産の清純アイドルスター。ジェームス・ディーンの恋人であった事でも有名。彼女はイタリア産にしては珍しく、ボリュームで勝負!の他のグラマー女優(双葉十三郎氏流に言えば「マカロニ族」)とは一線を画す、妖精型の美女。地元イタリアで注目を浴びるアイドルスターは、やがてハリウッドに招かれ、幾つかの良作を残します。その間J・ディーンとのロマンスが注目されましたが、色々周りの妨害もあり、やがて破局。仕事にも恵まれなくなったピアは、傷心のままイタリアに戻ります。
二度の結婚・離婚を繰り返し、その間に二人の子供にも恵まれますが、ピアの精神状態は不安定になってきます。
彼女は39歳の時に、アメリカの友人宅で自殺を遂げますが、それより前に「40歳になる事が怖い、40歳は女性にとってはもう終わりを意味するから」と語っていたそうです。彼女の死亡後、亡きジェームス・ディーンとの悲恋が彼女の死の原因・・なる説が実しやかに流れましたが、全く外れている・・とは言わないまでも、本当の原因は彼女が40歳になるこを受け容れられなかった・・ことにあるのでしょう。
変わって銀幕のプリンセスから本物のプリンセスになったグレース・ケリー。彼女も40歳を迎えた際のインタビューで、「私にはどうする事もできない・・私は40歳になることに耐えられないのです」と述べたそうです。
みんながみんな、彼女達のように「40歳」に苦しむ訳ではないでしょうけれど、同じ苦しみを味わう女性は、案外多い様です。
40歳・・決して若くはないけれど、まだまだ若さの残る年齢。何故そんな年齢で悩む事があるのでしょう・・・?
人はある年齢から、「10年先の自分」を見通しながら生きていくからなのでしょうか?
結局39歳で限界に達したピアは自殺を選びますが、今回取り上げた他の二名は、「時間の流れ」に問題の解決を求めたようです。
「40歳の時の自分より、41歳の自分の方が良くなってる。41歳の自分よりも42歳の自分の方が・・・」という感じで。つまり唯時間が過ぎるのを只待つのではなく、そう言える様に自分自身を成長させた!と言う事なのでしょう。若さに胡坐をかけなくなるのは淋しい事なのかもしれませんが、でも本当に「女性の」人生が始まるのは、まさにこの時なのではないでしょうか?
そう考えると、少し怖いけれど、なんだかワクワクしてきますね。
※(今回は「40歳」を取り上げましたが、勿論個人差はあります。オードリー・ヘップバーンは「50歳」を超えた時に「あー、神様。私がこんな年齢なんて!」と思うようになったそうです。現代の日本は「一億総小児化」が進んでいる様なので、「40歳」ではなく「30歳」でもう限界を感じてしまう・・なんて事になってたりして・・)