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ルキノ・ヴィスコンティ入魂の一作であり、自分の命を削って創り上げた・・・だけの価値が有る・・・そう思える作品です・・・☆
バイエルンの国王にして、ババリアの狂王と言われた謎多き人物、ルードウィヒ・・・☆ 彼が即位し、40歳で謎の死を遂げるまでの・・・その人生を辿ったドラマです・・・☆ ヴィスコンティが見せる本物の貴族趣味・・・いえ貴族そのものを、この作品では極限まで昇華させてしまった様に思います☆ 歴史の史実を背景に・・・☆ ヴィスコンティにとっては、これほど食指を動かされる材料は、他に無かったでしょう・・・☆ 国王の子として生まれた子供は、やはり国王としての将来を受け継ぐ以外、何の選択肢も無い・・・☆ ガラス細工の様に繊細な神経の持ち主、ルードウィヒ・・・☆ 自分の運命を、唯受け容れられぬほど、彼の心は繊細で、それ故に苦しむことが多い人生・・・☆ そんな彼の、唯一の慰めであり、光であるのが、従姉のエリザベート・・・☆ 彼女もまた、かなりエキセントリックな性格の持ち主で、数奇な運命に弄ばれた挙句、後に悲劇的な死を遂げます・・・☆ 彼女に対してだけ、恋慕の情を抱くことが出来るルードウィヒ・・・☆ 彼は生まれながらに、同性愛者だったのでしょう・・・☆ 演じたのがヘルムート・バーガーだから、そう感じた・・・と言うのでは無く、エリザベートと一緒になれないが故に、同性愛にのめり込む展開は、やはり理解に苦しく、ルードウィヒのエリザベートに対する想いは、親愛の情、尊敬の念、崇拝の対象・・・それ以外の何物でもなく、男が女に・・・の、極自然な欲望の感情は一切感じず、それが故にか、二人の関係は神秘的であり、純粋であり、強固・・・☆ ルードウィヒは・・・恐らくソウル・メイト・・・親友と呼んでも構いませんが、そんな存在を求めていたのでしょう・・・☆ 生まれながらに王位継承者・・・それが故のスパルタ教育・・・☆ 自由も無く、親の愛情を感じることも無く、友人を持つ権利さえ奪われ・・・☆ 彼は40歳で命を落とすまで、何を支えに生きて来たのか・・・?☆ 何に縋って、何を心から求めていたのでしょう・・・?☆ 人一倍、繊細で脆い、ルードウィヒは・・・☆ こんな特殊な状況の中で生まれ育ち、彼の生来持つ闇の部分が、ドンドンと歪められ、増長されても、一向に不思議は無いでしょう・・・☆ そして彼にとって唯一の光、エリザベートに執着することも・・・☆ 運命に弄ばれるかの如く、時代の波に呑まれるかの如く、悲劇的な人生を一直線のルードウィヒ・・・☆ その中で、ワグナーとの出逢い、デカダンス、贅沢を凝らした三つの城、戦争、狂気、裏切り・・・様々な出逢いと別れ、エリザベートの死、希望と失望・・・そして現実・・・そう言った彼の人生が、走馬灯の様に流れて行きます・・・☆ 美しく、美貌の誉れ高かったルードウィヒは、憔悴し、現実を否定し、ますますデカダンに溺れ・・・廃人の様になって行きます・・・☆ 溺死の状態で、最後を遂げるルードウィヒ・・・☆ その死は、自殺とも他殺とも言われており、未だ謎の部分が多いと言われています・・・☆ けれど・・・ルードウィヒは恐らく・・・既に死んでいたのでしょう・・・40歳になる前から・・・☆ それはエリザベートへの恋慕が実らない・・・そう悟った時から?☆ ワグナーの裏切りに逢った時から・・・?☆ いえ・・・もしかしたら彼は、物心ついたその時から、既に死んでいたのかも・・・そうも思います☆ 少なくとも監督は、その思いでルードウィヒを描いたのではないでしょうか?☆ 美しく華麗、豪華で優美・・・その裏に潜む、脆く醜悪なモノ・・・☆ 自分自身が貴族であり、その世界を充分に知り得た監督だからこそ、描くことの出来た世界・・・そう思います・・・☆ 宿命から逃れ、無残な最後を遂げたルードウィヒの姿は、辛く悲しい・・・その想いだけでなく、深い安堵の溜息が聞こえる様で、それ故に見ていて心を締めつけられる・・・そんな風に感じました・・・☆ 追記・・・ヴィスコンテは映画撮影中、健康状態の悪化から、もう撮影は断念・・・そんな状態にも陥ったとか・・・☆けれど不屈の魂を持った監督は、残りの過程を、車椅子に乗って続行させたとか・・・☆ ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、共にヴィスコンティのお気に入りですが、彼らにとっても入魂の一作になっています・・・☆特にロミーにとっては、色んな意味で感慨深い・・・そんな作品になったことでしょう・・・彼女の壮艶な美しさは、本当に素晴らしいです・・・☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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