イギリスでの出産体験~その6、入院生活&退院編~
随分このお題の更新が遅れてました。そう、入院生活追加編です。話は1ヶ月以上前に逆戻ります。私は9月27日夜中2時過ぎに緊急帝王切開でプリンセスを出産しました。そしてその当日、病棟へ。悲惨なベビーケア&院内食は記載しました。が、、、離床については書いてなかったと思います。そう離床。通常、開腹の手術をしたら術後の回復を促すために一日一日ベッドから離れるよう日本でもナースは患者さんに声をかけます。実際私も20代前半は病棟で勤務をした経験があり、その5年間、術後の患者さんに声をかけて今日はベッドに横に座る、とか今日はベッドサイドにたってみる、とか今日は~~まで歩いてみよう、とか患者さんに説明しながら離床の計画を立て進めていました。そしてそうする事の必要性はきっちり説明していた立場なので自分でも今回の手術後の離床の大事さは分かっていました。だけど。。。イギリスではそんな説明は一つもありません。医療者じゃなかったら痛いだけの酷な話です。手術後の翌日、私は痛みで座ったり歩く事すらままならない時に黒人ミッドワイフに『一人でシャワーに行け』と言われました。しかも『シャワーで自分の傷口のガーゼを自分で外して洗ってこい』と。日本では手術後かならず初めての離床ではナースが立ち会うものだし、ガーゼは出血がないか、キズのトラブルがないか観察しそれからシャワーへ行きます。ここではそんなこと、いっさいなし。日本が過保護なんだろうか?それとも慎重なだけなんだろうか?それともイギリスは適当なだけなんだろうか?そんな事を考えているうちにナースにおしっこの管を抜かれ一人で初めて起き上がり、お腹を抱えながらシャワーに行きましたとも。ほんと痛かった。しかも昨日の手術跡のガーゼをはずしてお腹を洗うの怖かった。元医療者の私が怖いんだから一般の人はもっと怖いかもしくは怖い物知らずで洗っちゃうんでしょうね。かかった時間は約40分。(たかがシャワーで)痛む傷口を押さえながら服を自分で脱ぎ、シャワーを浴び、服を着替えました。日本だったら考えられない。まずは清拭くらいで汗を拭いてくれていると思う。でもここはイギリス、言われたらやるしかなかった。そして2日半の地獄の入院生活が過ぎ退院が決定。実際ドクターは2日半の間に一度も術後診察になぞ来ず、どうやって退院を決めたかは不明。それでもいいから私は早くこの病院からベビーと出たかった。自己診断でも退院は可能!なくらいの勢いだった。退院に当たり手続き開始。ここでもまたやっぱり『イギリス』が出て来た。普通退院が決まったら日本では翌日お昼には退院出来る。ここはイギリス、そうスムーズに行かない。やれ書類があがってこないだの、薬があがってこないだのいって待つ事14時。しびれを切らした夫君が事務に声をかけると『後20分、』『30分』の繰り返し。結局退院出来る事になったのは16時半。もう一晩泊まらないと行けないの?って思うくらい長かった。(これでも早かった方らしい、私の前の人は19時退院だった)しかしまだ退院処方箋があがって来ていない。そこで私は夫君に『今いたくないし、これからはきっと痛みは楽になるだろうからペインキラーはいらない』と言ってしまった、これが間違いの元だった。もちろん退院処方が病棟へあがって来ていないのが一番の諸悪(待たなかった私も悪いけど)家にかえってからは英国人姑のもと動かない訳にも行かず痛みは増すばかり。退院後2日間はおっぱい飲んでも行けるという柔らかいペインキラーを飲んでみたがそんなの効くわけない。後に気がつくけど、だって私のお腹の傷、創部離開してたんだもの。そこで病院へ『薬はまだか?』と再三にわたり電話するけど『退院処方の行方が分からない』とか『明日電話して』とたらい回しにされたり、こちらからかけ直すと言われて待てど暮らせど電話はない。そして1ヶ月経った今も病院からの電話も私の薬の行方も分からない。ようするに準備されていたのではなく薬は出てなかったのかも。結局待ちきれない私は近所のGPにいってペインキラーを出してもらった。ほんと、このイギリスでの妊娠&出産はいい事無かった。姑にも出産後1週間以内で公園デビューさせられた。文化の違い、考え方の違いは医療の場においてはすごく大きい。いい事はなかったけど強いて言えば自分が強くなったというくらいだろうな。『母は強し』、自分もこれに当てはまると思うこの1ヶ月だった。