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センテッドゼラニウム*Scented Geranium*

センテッドゼラニウム*Scented Geranium*

FIAT500 L


      1年目   

休日はレストア。もちろん兄の助手として。
ボディーのレストアはできないので、エンジンをほんのちょこっとと
電気系統をいじる。
頼れるのはヘインズの英語版のマニュアルだけ。
英検3級レベルの私と英語が苦手な兄、思考錯誤が続く。
ヘインズのマニュアルに写真が載っていなければ、今の私のチンク
生活はなかっただろう。

数年後にマニュアルの日本語版が出た。
当然、日本語版も入手。オリジナルと日本語版のマニュアルの2冊を持って
いるFIAT500オーナーは、私だけではないことを後に知った。

ブレーキパッドはお店で付け替えてもらったけれど、他のパーツも
必要になってくる。そんなときは、通販で入手。
お店の方の親切な対応と励ましに、感動。

エンジンやブレーキは扱えないが、ネジの脱着だけで終わるようなこと
は極力自分でやった。
扱える部分は少なかったけど、やってみるとそんなに難しくなかった。
自分で工具を選んで買うことも楽しかった。そして凄い勢いで工具が増えた。

フロアーカーペットを剥ぐと古いコインが出て来たり、シャシーには
唐辛子の形のキーホルダーが付けられていたり、面白い発見がたくさんあった。

なんとか普通に乗れる状態になると、運転の練習を始める。
左ハンドル・ミッション車だが、ペーパー歴が長い私にとって、そんな
ことは関係なかった。
自動車学校に通いなおすことも考えたが、ムダな気がしたので辞めた。

家から離れたところに青空、砂利の駐車場を借りていた。
いたずらが心配だったので、ボディーカバーをかけることにする。
2970×1320、そんなボディーカバーは売っていない。
国産車で一番小さいキャロル用を購入。風が吹くと飛ばされてしまうので
ボディーカバーの上からバンパーにロープを引っ掛けて結ぶ。
天気予報で雨マークが出ると、原付に乗ってカバーを掛けに行っていた。

ボンネットを開けるワイヤーが切れたり、プラグコードが溶けたり
雨が降った次の日に運転すると、錆まじりの水が降ってきたり
友人と出掛けようと約束する度に、前日にバッテリーがあがったり
いろんな事があった。


      2年目

明るい時間に走る分には問題無い。
しかし、バッテリーがよくあがる。兄が、ダイナモのブラシが
なくなってるんじゃないか?というので、通販でダイナモを購入。

夜中まで仕事をすることがあり、仕事場まで連れていく。
バッテリーが心配で、ガソリンスタンドで充電をしてもらうことに。
指定された時間に迎えにいくと、同じ車に乗った人が来て、渡すように
頼まれたと言って、名刺を渡された。
かなり危険な感じがしたが、嬉しかった。

その当時はFIAT500に関する情報は本当に少なかった。
町で走っていても、同じ車に遭遇することもなかった。
インターネットもそんなに流行っていない時期。
情報を得るためにFIAT500がちょっとでも載っている本は
必ず買っていた。

“GT roman”というマンガがある。コレも全巻持っている。
旧車を中心にストーリーが展開する、おもしろいマンガ。
もちろん、FIAT500の話しもある。
私の知っているFIAT500オーナーの殆どがこのマンガを持って
いることを後に知る。
そして、このマンガのFIAT500の排気音“ポロポロ”に疑問を持って
いたのは私だけではなかったことも知る。

後日、名刺の方に連絡。通っているお店を教えてもらった。
車検も近かったので、早速、行ってみた。

バッテリーが上がるんです、と説明。エンジンを観察する社長。
車検費用も全く解らないので見積りをお願いしてみた。
いろいろチェックしたいと言われ、車を預けることになった。

後日、車を迎えに行くと“コレ、運転してみて”と別のFIAT500Lを
指さす社長。

自分の車以外は全く運転したことがない。びびりながらの運転。
シフトノブの高さが違うことに動揺する。私のヤツは切られていたらしい。
自分の車とは違うことを身をもって体験。加速が雲泥の差。排気音も静かだった。

お店に帰って車検の話しを切り出すと、今の車にお金をかけてもねぇ。
と言われ、買い変えを勧められた。
今の車に乗り続けたいと思っていた私。買い変えなんてこれっぽっちも
考えていなかった。

が、エンジン壊れてるし足廻りももうダメ。と宣告され、悩みに悩んで
買い変えることに。

引き取りに来てもらったとき、やっぱりバッテリーがあがっていた。
積載車に積まれる自分の車の姿に涙が止まらなかった。

1年と10ヶ月の付き合いだったけど、色んなことを勉強させてもらった。


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