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カテゴリ:現代サーカス
フランスに到着してそろそろ1週間、しか経っていないとは信じられないほどいろんなことがあった6日間。

数え切れない人々に会い、これからの動きの糸口をたくさんもらった。
じっくり時間をかけて整理しないと、折角の出会いを取りこぼしてしまいそうで、早速ファイルを買い足す。

そして昨日は…
2年前から観たいと思っていた、デザコルデというカンパニーの「雨のあと」という作品を観に、パリ郊外のアントニーに足をのばした。

アントニーのすぐそばだと勘違いしていた。
余裕の顔して劇場にいくと、
「サーカス?ここではやってないよ。」と、涼しい顔のおにーさん。
そんなっ!

慌てて他の人にも聞きまくり。
「ほら、あそこにポスターが張ってある、あのサーカスを観たいんですけど、テントはどこでしょう?」
劇場にいた一人が突然びっくり顔になってまくしたてた。
「サーカス?!それなら送迎バスがもうすぐ出ちゃうわよ。劇場を出て右。走って!」

はいっ?!

走れって言うから、とりあえず走る。ホンマかいな~。
走りながら疑ってた私の目の前にバスが「ぬっ」と顔を出して。うわっ、轢かれる~。
すばやく(?)身をかわし、運転手さんに向かって叫ぶ。
「さささ、サーカス、行きたいんですけど、これですか~?」

ちょっぴり呆れ顔の運転手さん。
「必ず間に合わない人がいるって、わかってたよ!」
へ、すみません~。

とにもかくにも、ぶぶーっとバスに乗ること5分。
見えてきた見えてきた。赤いかわいいサーカステントが2つ!

入口で私を待っていてくれたローリー。
手には、私の名前の印字されたチケットが。

「終了後はアーティストに会いたいんですよね?飲食ブースのテントに来てくださいね」
はぁい。

あー、心臓ドキドキ、どんなに待っていたことか~。

地面に近い、サーカステント。雨の日には下が少し濡れてしまったりするので、同じテントでも日本で行われるシルク・ド・ソレイユのテントとはえらい違い。
でも、この「屋外であり、屋内である」っていう感覚が、やっぱりいいのだ。

湿ったような、懐かしいようなにおい。
アーティストがブラウニーを焼いている。これって、「チャーリーとチョコレート劇場」みたいな効果があるよね。劇中にほんとに焼けたブラウニーを観客に振舞うんだけど、「香り」を漂わせるっていうのが演出であることは間違いない。にくいねっ。

白熱灯、(フランスではいまやあまり見かけない)電柱、水溜り(舞台装置)、サーカスのキャラバンワゴン、そしてさりげなく、空中ブランコと綱渡りのワイヤーが。

ノスタルジックなメロディと、歯ブラシの音や蛙の鳴き声。

それが時にコミカルに、時にリズミカルに、会場を浮き立たせる。

彼らについて初めて知ったのは、サーカスアーティストの友人と色々な作品のVTRを観ている時だった。
「ほら、デザコルデ。彼らのテクニックはほんとにすごいんだよ。」

本当に、画面で見る限り、すごかった。
だからかな。作品全体の雰囲気とかそういったことより「テクニックに強いカンパニー」というイメージがあったのだ。
それが、いい意味で覆された。

テクニックは、すごい。
でも、それを感じさせないということがもっとすごい。
つまり、観ていて「テクニックがすごいな~」と思うときは、演出や演技にどこかぎこちなさがあって技術ばかりが目につくか、単純にテクニックにばかり重点が置かれているときなんである。
彼らは違う。
テクニックは、安心して観ていられるのだ。だからこそ、そのほかの演技と演出を十二分に楽しむことができるというわけ。

公演後、早速サブテントでワインを片手にアーティストたちと言葉を交わす。
こうこう、こんなところが良かった、と一通り語った後、自分でも意識していなかった本音が漏れた。
「あぁ、私はやっぱりprogrammatriceでいたいよ。」
programmatrice、つまり、公演を現実に企画し、主催する人間。
いまはとにかく、本を出すこと。それに専念する。それだけでもやることは信じられないほど沢山あるから。

でも、本当に、本当に公演をつくりたい。
だって、彼らの、この、そのものを見せたいんだもん。日本のお客さんに。

この、サーカスの、サーカスにしかない世界、親密でちょっと秘密めいた温かさ。
テントの赤い色が室内全てを染め、ちかちかと黄色がかった小さな電球が点滅する。
皆の話し声や笑い声が、寄せては返す波のように会場に溜まっている。

たった1枚の幕で外気から遮断された、別世界。
この世界を、どうやって伝えたらいいんだろう?
生身の体と、生の空気しか、本当に伝える手段はないんじゃないか、そんなことを思ってしまう―。






Last updated  2007年04月02日 03時40分09秒
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