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カテゴリ:現代サーカス
自分のサーカス本の最終段階で、久々にサーカス資料や映像を見ているためか、少し遠ざかっていたサーカスの感覚がもどってきた。
それは嬉しいことなんだけど、思わず知らず、眉間にくぼみができていることがある。 うむー、と唸ってしまう。 フランスのサーカス関係各所から、一日に何本も「新作発表」「公演予定」みたいなお知らせメールが届く。 ほとんどは「ぽいぽい」って、何も考えずにゴミ箱に運んでしまうのだが、どうしても目に留まってしまう種類のメールがある。 それは、自分が一度見て、頭を抱えてしまうほど良くなかった作品が、いまだ有名劇場(サーカスの世界ではね)を回っているのを見るときである。 なぜそういうことが起こるか。 その原因はフランス独特の「事前買取システム」にある。 商業ベースに乗らない現代サーカスの場合、創作や公演のための資金が常に不足する。 だから、各地の劇場やフェスティバル開催者がネットワークを組んで情報交換・情報共有し、「今イチオシのアーティストは誰々」 ってな具合に決めちゃうわけである。で、制作段階から資金・会場提供などで協力する。 選抜のさいには、一発屋ではなく、過去の活動も当然重視される。 それで名前が挙がったアーティストは超ラッキーなわけで、あちこちの劇場から(作品ができる前から!)お声がかかる。 その会議で気に入られなかったアーティストは、公演先や創作場所確保に大変苦労するわけだ。 で、じっさい、モノはどうかというと… 難しいんだなー、やっぱり。 いっくら実力保証のアーティストでも、前回良いからって今回も良いとは限らない。 しかも、そういった関係者会議では、作品事前プレゼンテーションの上手い人のウケがよいのだけど、会議のプレゼンが上手い人がいいアーティストとは限らないじゃん!!! …というわけで、やっぱり、大変当たり外れがある訳である。 でも、いったん選ばれたら1年、2年先まで公演予約が入ってたりして、劇場主催者たちも 「こりゃぁ~…やっちゃったかも…」 とは言えずに、えんえん回るわけだ。 えーん。 ごめんね、こんな批判めいたことを言って。 でもそういう困ったちゃん作品が「ばばーん!」とでっかく宣伝されてて、本当は素敵な作品ははずれてたりするのを見るとね… いや、もうすぐフランスサーカス万歳の本を出すんだけど。 こういう面もあります、ってことで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年01月23日 09時43分54秒
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