■フランスの子供の学校 education maternelle et primaire
子供の教育について、とくに幼稚園と小学校がどんな風なのか知りたい!とメールを頂いたので、記しておきます。フランスでは義務教育は、6歳から16歳までです。初等教育は、幼稚園は三年間、小学校は五年間、そして中等教育では、中学校は4年、そして高校が3年間あります。働くお母さんが多いためか、ほとんどの子供たちが3歳になると幼稚園に行きます。幼稚園は三年間で、幼稚園と小学校の時間帯は市によって違いますが、同じ時間にはじまり、終わりの時間も同じです。つまり、3歳の子供も、11歳の子供も通学時間は同じ。数年前から、週5になりました。私たちの住んでいる街では、学校は朝8時に始まり、終了は午後3時15分。その間、11時30分から午後1時15分まで、昼ご飯休憩があり、昼ご飯は、望めば自宅に帰って食べることができます。(この間、学校の先生も休憩時間。近くに住んでいる先生は自宅で食事したり休憩できます。この間はsurveillantといって、先生以外のスタッフが子供が遊ぶのを見守ります。ちなみにこの間の子供の安全の責任者は学校ではなく市にあるのだそう。)幼稚園児はこの間、食事と昼寝です。幼稚園、小学校はお弁当はなく、学校の給食をたべます。お弁当を持参することは許可されていないことが多いので、ベジタリアンの家庭の子供たちはウチに帰るなど工夫が必要。(我が家では昼ご飯はウチに帰って食べています)通学は安全のため、幼稚園では保護者が同伴することが義務であり、小学校では親が同伴することが勧められています。両親が働いていて時間に迎えにこられない場合は、個人的にお願いしたシッターさんが迎えにくるか、もしくは5時までなら小学校までなら学校が託児所(garderie)として機能するので、預けることも可能です。(朝早く仕事に出かける人のため、学校は普段の生徒を迎える前にgarderieとなるため、子供を早く連れて行くこともできる)幼稚園école maternelleは、年少組、年中組、年長者の三年間。幼稚園はお絵描きや歌、工作などさまざまを時間内にしますが、年長組の最後の段階では、アルファベットの大文字、小文字を読めるようになること、そして自分の名前を筆記体で書けるようになることが小学校就学前の目標です。(幼稚園児のカバンの中には、万一”失敗しちゃった”ときのため(つまりお漏らし)の代えの服が入っています。週の最初にお昼寝のためのタオルと、食事の際のよだれかけを先生に渡します。小学生になると本格的というか、”授業”というものが始まります。授業では自由に席を立ったり発言したりできないので、最初の一ヶ月は疲れるようです。科目は、フランス語、算数、英語、科学、人文(社会、歴史)、体育、工作など。道徳、というか、一応、”倫理と社会生活”という項目があって、 ・集団生活の規律をまもる ・グループ学習の貢献度などが評価されます(笑。(ここはちょっと笑うところ。一応フランス人にも集団生活のルールがあるのです!)学校には入学式、卒業式はなく、始業式、終業式もありません。制服も決まったカバンもありません。休み明けは、突然授業がはじまります。でも、小学校までは時間割というのはあまりなく、クラスの先生が臨機応変に一週間の予定を組み立て、最終的に学年のプログラムをこなすようにしています。同じ学校でも決まった教科書というのがないようで、同じ学年でも違う教材をつかっていたりします(驚。一クラスの人数は20人から25人くらい。それ以上になると、同じ学校内に二学年編成のクラスを作るなどされます。学年は3学期に分けられ、学期ごとに成績表を渡されます。成績は科目ごとのなかで、さらに細かい区分がされていて評価されます。例えば小学校三年生に値するDE2の場合、フランス語 ・口語 (発表の仕方、議論、暗記、などこの項目だけで7つに分けられる) ・読み方 (発音、文書の区別、などこの項目だけ5つ) ・文学 ・書き方 ・作文 (2つの項目) ・単語 (単語に関する知識、2つの項目) ・文法 (4つ) ・つづり (5つ)5段階評価ですが、実質は4段階。1が”すでに理解している” 2は”もう少し” 3は”理解の途中” 4”まだ理解できていない” NEもありますが、これは欠席など評価ができない場合に使われます。フランスでは小学校でも飛び級、留年の制度があるので、理解が早い子は学年を飛び越して進級したり、理解が悪いと評価されるともう一度学年をやり直さなくてはいけません。学年に一人や二人は留年、飛び級の子がいますが、特別扱いされずおおらかに受け入れられています。(元フランス大統領サルコジも中学生のときに留年しました) また飛び級も、中高校生の思春期になると学習面というより、生活面で別の苦労があり、賛否両論があります。公立学校は無料で、保護者が負担するのは、学年の始めにリストを渡されたノートや筆記用具など。ただしこれが結構多い上に、色、形指定、(先生によってはカバーしても!)がありそろえるのは結構めんどくさい! ただしこの細かさにイラっとするのは日本人の性格故なのか、少々ちがってもちっとも問題じゃないようです。PTAの集まりというのもないので、保護者には時間的な負担はあまりありません。ヴァカンスも多く、日本と比べると、フランスの児童教育はわりとゆるく、子供たちのゆったり学校の生活を楽しんでいるような印象を受けます。ちなみに我が家の子供たちは、今9歳と6歳。日本の教育では小学校3年生と1年生にあたる学年の後半にいます。子供たちの宿題や教材などをみていると、フランス語、算数など、日本の教育とは違うなーと感じることも少なくありません。そのことはまた別の機会に!