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カテゴリ:【小説】但為君故(完)
「首領、阿大第が裏切りました」
阿大第は馬が上手だった。だからその報が届く前に、阿大第と宿含が走り去っていく姿を首領は見ていた。 「放っておけ。あの男は最後はすべてまとめる男だ」 「そうですね。女一人で命を簡単に捨てられるなんて、これも男の形ですかね」と副首領。 「無事を祈ろうじゃないか」 そう言いながら首領は皆に声をかけた。 「いいか。この和解案が容れられなければ、最後の決戦である」 おおーっという雄たけびが黒山に響いた。 その声を後ろに阿大第達は走った。 官軍は報奨金が出ているので目の前に迫っている二人になす術もなかった。 阿大第は見覚えのある鎧に向かってまっすぐ進んでいた。 黒旋風がゆっくりと出てきた。 馬上の二人はお互いの元気そうな顔を見てにやりとした。 「数日会わなかったのに、随分変わったなあ」と斧准。 「阿含も元気そうで」と斧准が言うと宿含はにっこり微笑んだ。 「お前こそ、なかなか良い手をうつ」と阿大第。 「なんだよ、気付いてたのか」 「簡単だよ。ところで和解は受けられそうか」 「大丈夫だと思う。ちっぽけな矜持で邑をなくすような人じゃないよ、陶蓋殿は」 「会いたかったな」 「会えるさ」 「無理だろう」 「どうする気だ」 「お前と阿含を守って、陶蓋殿の顔でも見に行くか」 「行くか」 「脳天気な野郎だよ、全く」 阿大第はそう言って、宿含を斧准に渡した。宿含は阿大第の馬で一緒に行くものと思っていたので少し逆らったが、阿大第の笑顔をみると逆らえなかった。 その時、阿大第に数本の矢が刺さった。 この邑の出身ではない陶蓋の部下が阿大第に襲いかかったのだ。 阿大第は馬から落ちた。 斧准は宿含を抱えそこから離れた。斧准が宿含の盾になると思って、陶蓋配下のものが矢をいってきたのだった。 阿大第は「霞棒絶断」を繰り出し、迫ってきた騎馬の馬の脚を切る。「霞棒絶断」の構えをしたところに、第一刀を浴び阿大第は左腕を失った。左腕が付いたままの青龍刀が「霞棒絶断」の弧を描いた時に槍が阿大第の左足を貫いた。 「あ、阿含!」 そう斧准が叫んだ時には宿含は走り出していた。 そうして阿大第のところに走りより、飛ぶように覆い被さった。 「阿大第、阿大第」 「阿含、重いよ」 阿大第は危うく宿含毎斬りそうな勢いの大刀を青龍刀で抑え気を失った。 斧准は怒りをぶちまけ、阿大第に斬りつけようとしている者どもへかかって言った。 陶蓋が和解案を受け入れる決意をし、騒ぎに気付いたのはこの時だった。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/01/13 07:34:04 AM
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