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カテゴリ:【小説】風来坊旅の途中にて
「これは“浦島の糸からくり”です。皆さん御存知の浦島太郎が題材になっています。太郎が亀に乗って登場すると、大きな貝の中から乙姫が出てきて、太郎に玉手箱を渡します。太郎がそれを持ちかえって箱の蓋をあけると紙吹雪が舞い上がり“面かぶり”の技法で顔が一瞬にして白髪の老人に変化します」
その他にも数体、からくり人形の実演を見せてもらった。 「実によく出来ている・・・。どんな仕掛けになっているんだろうか?」 「この時代には電気もなければ、コンピューターもありません。すべて手作りです。基本的には木で出来ています。計算されつくした設計は、ただ見事というしかありませんね。驚くのは設計から完成までを殆どひとりの人形師がこなしているということです。きっと人形師は自分の狭い世界だけに拘るだけの職人ではなく、広い分野の知識や技術を融合させる特別の才能が必要とされたんじゃないかしら・・・」 「なるほどね・・・」 「いまはもうからくり人形師はいませんが、18世紀に誕生したこれらの人形は、これからも時の流れに消えることのない永遠の生命(いのち)を授かったのです」 「永遠の生命・・・か」 からくり人形は所詮、作り物だ。しかし美子の“永遠の生命”と言い切る言葉に、そして人形のあの表情を見ていると、あながちそれも嘘ではないな、と感じてしまう。 人形は言葉を持たないが、明らかに美子との間には信頼関係、或いは愛情と言っていいのだろうか、何か強い絆で結ばれているような気がしてならなかった。 そして俺はこの時点ではそれが何なのか、知る由もなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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