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2006/09/13
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カテゴリ:風来坊の唄
ある男が死んだ。

男が生前、どんな暮らしをしていたのか、どうして死んだのか?

それはわからない。

ただ男の魂は自然の摂理に従って、あの世へ旅立った。

どのくらい時間が経ったのだろう。

眼を覚ました男が見た世界はきれいな花が咲き乱れ、

小鳥達が唄い、きれいな小川が流れる、

まさに

極楽浄土だった。

男は立ち上がり歩き出す。

「ここは・・・天国?」

大きく深呼吸をして空を見ると、紺碧の空が眩しいほどだ。

樹には美味しそうな果実がたわわに実っている。

ひとつ口に運んでみる。

甘酸っぱい果汁がのどを潤す。

「俺は天国に来たんだな」

男はそう実感した。

生ある者の宿命として死を避けることは出来ない。

死を迎えて、魂が天国に向かうのか、それとも地獄に堕ちるのか

神の裁量に委ねる他はないのだが、

男は、自分が天国に招かれたことを、素直に神に感謝した。

「神よ、ありがとう」きらきら

男は毎日花園の中で過ごした。

手を伸ばすところには美味しい果実があり、

穏やかな空を眺め、

そよそよと吹く風は男の心を和やかにさせた。

肉体的苦痛は全く無かった。

そんな日々をどのくらい送ったことだろう。

男の心にふと漫然とした不安がよぎった。

「あまりにも穏やかすぎて、退屈だな。

なにか他にすることはないのだろうか?」

毎日同じようなパターンの時間を過ごすことに、

男は苛立ちすら覚えはじめた。

「そういえば、ここには俺の以外の姿を見かけないが・・・?」

辺りを見回しても人の気配はまったくない。

ただ、そよ風に花が静かに揺れているだけだ。

男は歩き回った。そうせざるをえなかったのだ。

歩いても歩いても、きれいなお花畑が続く。

空はどこまで行っても抜けるような青が続く。

歩き出して更に時間が流れた。

何日?あるいは何年?すでに男には時間の経過の概念というものがなかった。

歩くことを止めれば、相も変わらず穏やかなお花畑の中だ。

でも男は歩き続ける。何かに取り付かれたように・・・。

そして更に時間は流れ、男はようやく一人の人物を見つける。

見るからに天使を思わせるようなその人物に声をかけた。

「ちょっと、あなた!」

声をかけられた人物は静かに振り返る。

その表情は穏やかな笑みを浮かべていた。

「どうしました?」

「わたしはもうここにはいられません」

「どうしてでしょう。

あなたが望めばこの穏やかな世界にずっといることが出来るのですよ」

「たしかに・・此処は天国ですから何の苦痛もありません。

でもわたしにはその穏やかさに、もう我慢がならないのです!」

「あなた・・・ここが天国だと思っていたのですか?」

「え?!」

「ここは・・・地獄なのですよ」

「・・・」

人は誰でも、苦痛の無い世界を求める。

使っても使っても使いきれないほどの金を欲しがる。

豪邸を建て、

高級車を乗り回し、

美酒に酔い・・・

贅の限りをつくしてもなお、人はもっと、もっと・・・と豊かな世界を求める。

その欲望に終わりは無い。

そして天国へ行くことが出来れば云う事無し。

そんな妄想を描く輩の多いのが俗世間。

天国というところが、ほんとうはどんなところなのか?

もちろん俺には判らない。

ただ人間、寝ても起きても、せいぜい畳一枚ほどの空間があれば事足りる。

多くを望むものは、その欲望に飲まれてしまう。

いま日本という国は・・・

もしかしたら地獄なのではないか?

生き地獄ほど辛いものはない。





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Last updated  2006/09/13 07:36:22 AM
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