【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

soul-eye

soul-eye

Profile

777suga

777suga

Calendar

Recent Posts

Archives

・2024/09
・2024/08
・2024/07
・2024/06
・2024/05
・2024/04
・2024/03
・2024/02
・2024/01
・2023/12

Keyword Search

▼キーワード検索

Headline News

全て | 徒然奇2 | 【小説】加藤英雄無頼控え | 【小説】但為君故(完) | 風来坊の唄 | モリの大冒険~金曜の夜と土曜の朝~(完) | Jeysomコーナー(旧ギャラリー) | 【小説】風来坊旅の途中にて | 【ドキュメント】ハムレット | 【ドキュメント】細谷十太夫 | 【小説】加藤英雄無頼控え最終章(完) | 実話控え | 【小説】恋愛小説? | 【小説】フィクションアクションハクション | 【セミフィクション】無頼控え外伝 | 市民Ken | 【小説】十太夫先生お日向日記 | 片岡さん | 片岡義男北紀行(北海道2007) | 嗚呼 先輩 | 片岡義男北紀行(北海道2009) | 【小説】不動明王 | 【小説】鴉組 | ミステリーハンター | ちゃーちん | 武術
2007/04/07
XML
複合交差点

ど真ん中

「真治。どうしたのよ。久しぶりじゃないか」

「お、お、お、お兄ちゃん

お兄ちゃん。お兄ちゃん」

真治は銃を握っていた

お兄ちゃんと呼ばれた男

馬渡涼

上下白のスーツに白のTシャツ

堅気には見えない

「お前が俺のヒットマンってか

笑わせるな」

涼はポケットから手を出すこともなく

笑った

信号が変わっても車は入ってこれない

「真治やめろ」

黒のスーツ姿が交差点に飛び出てきた

「涼さん、すまん」

「小島さん。あのね。僕ね

お兄ちゃんは撃てないよ」

真治はその図体の割に幼い言い方をする

「いい。いい

撃たなくて良いんだ」

三人は交差点の真ん中で話し出した

涼はポケットからタバコを取り出し火を点けた

「小島さん、だっけか

良いのか。熊組の月の輪会さんが銃を持ってぶらぶらしていて」

「すまねえ。涼さん

真治。銃を返せ」

「分かったよ

でも、手から外れない」

その時

パン

パパパン

乾いた音とともに真治が倒れた

「ぐっ」

小島もどこか撃たれたようだ

「真治。小島」

涼は二人に声をかけておきながら

真治と小島を撃った男達の方に走った

男たちは三人

今風の若者の格好をしている

人混みの方へ走っていった

「ヤン。見ていたな」

涼は携帯に向かって話した

「銃を持っている

だが、生かして連れて来い」

涼は二人に戻った

「真治は」

冷たい、冷たい言い方だった

「生きている」

小島はしっかりと真治を抱いて

歩道まで戻っていた

真治は意識があるのかないのか

でも

“笑っていた”

「分かった。後は任せろ

俺はふけるぞ」

涼はこのまま警察に行くのは面倒くさかった

「その方が良い。後は任せましたよ」

小島は涙目で涼を見た

涼はその白い姿を人混みとは反対の闇の中に入れた

「馬鹿どもが。真治をやる腕があったら俺を撃てっての」

つぶやいて長髪を後ろに束ねた


bunnerkuru




涼が真治と最初に会ったのが

田舎の祭りにヤンに招待されたときだった

殴られて殴られて

なお笑っている不思議な少年だった

「あっ、真治」

ヤンが声を上げた

ヤンは残留孤児3世

日本名はあるが、自分でヤンと名乗っていた

「ヤン、知り合いか」

「近所の子供だ」

「行くか、迅」

涼には連れがもう一人いた

迅・・・とだけ名があった

とにかく足が速く不思議なナイフを使う

「やめろ」

涼は声をかけた

相手は7人

「おっさん達、誰」

振り向いた少年にヤンの蹴りが飛んだ

傍らの少年が出したナイフが

迅のナイフに切断された

少年達は異様な三人に怯え、そして逃げた

「後はどこかにいる健達にやらせておけ」

涼の言葉にヤンが携帯電話を出して、何かしらの指示をした

驚くことに、涼が助けた少年、真治も

他の少年達と一緒に逃げようとしたのだ

「な、なんだ。逃げるな」

涼はその少年の腕を掴んだ

細い

しかもめくれたTシャツから見えた体には

傷跡がいっぱいあった

「飯、食いにいくか」

その少年は良いとも悪いともいわずに着いてきた

ヤンの町にいる間

涼たちはその少年、真治と毎日のように会っていた

真治は刑務所から出たばかりだった

精薄児だった真治は

自分がどこに行って、そして帰ってきたのかも

よく分かっていなかった


bunnerkuru



「小島。今度な、うちに入った真治だ

ちょっと弱いんで、お前が面倒をみろよ」

小島はこの組の中でも特に面倒見のよい男だった

体は大きいが顔はすっかり子供のようで

話すことも行動も子供のような真治の面倒をよく見た

真治は人の言う事をよく聞く

そのお陰で人の悪い仲間内にからかわれることもあったが

「何やってやがる」

と小島が庇うと

「僕ね。嬉しいの

お兄ちゃん達、優しいし。涼のお兄ちゃんやヤン兄ちゃんみたいだし

小島さん、いいの」

という位である

小島は涼とかヤンとかいう名前に?だったが



bunnerkuru




最近、どこの組ともチームとも分からない奴らが居るという

彼らは「壁」と呼ばれていた

そう命名したのはアングラ雑誌の編集者だった

その編集者も噂でしか聞いたことが無い

だが彼らは確かに壁なのだ

壁が向こうから歩いてくる

ぶつかったものはそれ以上前にいけない

ぶつかってつぶされるだけだ

彼らに目的があるわけでもない

組織だったしのぎを持っているわけでもない

ただ、

彼らの近くで

彼らの楽しみを邪魔するものは

ことごとく排除された

だから彼らの周りでは争いも犯罪もなく

街からも人気があった

リーダー格は日本人だが

多国籍な集団らしい

噂される人数も3人から30人と幅が広い


bunnerkuru



ある日

「小島さん。今度ね、岸田のおじさんが銃の撃ち方教えてくれるって

楽しみだな」

と真治は言った

小島はそのことで岸田に詰め寄った

「岸さん。あんた真治に何をさせようとしているんすか」

「コジ。真治を何で飼っていると思っているんだよ

あいつはその為にいたんだ

それにな。あいつはム所の中の方が幸せな奴なんだよ。俺もいっぱい見ている」

「そんな・・・」

ある日、真治が飛んだ事を小島は聞いた


bunnerkuru


「真治はね。親から虐待を受けていてね

殴られて泣くともっと怒られるから笑うようにしていたんですよ

だから、撃たれたときも、痛かったんだろうけど、怖かったんだろうけど

笑っていたんですよ」

結局真治は助からなかった

小島は涼とヤンとともにヤンの田舎でもある真治の田舎に行った

岸壁から海原を眺めながら

ポツリポツリと小島は話した

涼はタバコの煙を目にしみらせ

ヤンは涙をポロポロこぼした

月の輪会とのことは

「俺に任せておけ」

と迅が言うので任せた

何をどうするのかは聞かない(クリスタル 了)



bunner人気blogランキングへ
kuruくる天 ブログランキング





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007/04/12 11:02:16 PM
コメント(11) | コメントを書く
[【小説】フィクションアクションハクション] カテゴリの最新記事


PR

Category

Favorite Blog

掌の画鋲 +バナナ+さん
ブログだよっ♪ゆゆゆ… あいあいぜっとさん
yuuの一人芝居 yuu yuuさん
時にはイタリア人の… kazunorino1さん
周防 灘の凪を望んで Jeysamさん
newひめようこのワー… ひめようこさん
反抗的な娘をもつ母… 反抗的な娘を持つ母さん
  瓦斯灯ポルカ 夜野 クロコさん
あかね色の夕焼け空 あかね空78さん
ピポ子は、いきあた… ピポ子さん

Comments

ぽぽん汰@ Re[1]:母さん、柏のあの鶴亀食堂(10/23) 先のコメントに書き忘れましたが、 柏駅…
ぽぽん汰@ Re:母さん、柏のあの鶴亀食堂(10/23) 鶴亀食堂に釣られて失礼します。 鶴亀食…
Lucidus@ Looking for pad for the website Hello everyone! Tell dear buddies<a…
Lucidus@ Looking for hosting for the website Hello! Recommend dear amigos<a href…
MilaBisa@ Looking for engine for service site with documentation. Hello everybody. Need CMS for service …

© Rakuten Group, Inc.