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カテゴリ:徒然奇2
十太夫先生が先生と呼ばれ始めた頃 いつも寄道する饅頭屋があった そこの娘がとにかく可愛い (イメージは深田恭子で良い。こう書くと、斧が反省する) 「先生。色気づいたようだな」 宿の連中の大方の見解だ だが先生、本当にそこの饅頭が好きだった 今でこそ酒を飲むが、そんなに飲まなかった当時 寺子屋もまだ人が少なかったので剣の道場にも通いながらだったので 甘いものが好きだったのだ 本当に色気が無い その娘が今の奥方、千恵であった(じゃ、色気?) 「十太夫先生、お饅頭が本当に好きなのですね」 年は先生よりちょっと若いくらいだったか(年の差は変わらないって) 「千恵殿は好きじゃないのかね」 「好きですけど、毎日は食べないわ」 「そんなもんかね」 会話は饅頭の話ばかりだ 十太夫先生、ある日道場帰りにまたまた饅頭屋へ寄ると 立派な商人が縁台に座っていた 「千恵、今日は一緒に帰ろう」 「ちょっと待っててお父さん あら先生、お帰り、じゃなくていらっしゃいませ」 十太夫先生、太刀をおいてその商人の前に座った 「お父さんです、先生」 「はじめまして、岩瀬十太夫と申します。寺子屋をやっています」 その商人もニコヤカに 「西遊屋吉衛門と申します。ご贔屓にどうもありがとうございます」 と深々と頭を下げた 西遊屋は大店だ。問屋から小売まで、商いものは何でも 何でもと言っても専門は薬であった 「はい先生、どうぞ」 茶と饅頭が出てきた 「西遊屋さんは饅頭屋もやっていたのですか」 十太夫先生は聞いた 「いえいえ。千恵が商いというものを肌で感じてみたいと申しましてね 読み書き音曲だけでもやっておれば良いのですがねえ で、うちの店ではなくてということで、姉の饅頭屋に出させているんですよ」 「そうなんですか。こちらは西遊屋さんのお姉さんの」 「千恵は、お転婆でしてね。先生にもご迷惑をおかけしていませんか」 「別段。茶の温かさも饅頭の具合も一番良い感じに出してくれますが」 「そうですか。それこそ商人道ですが、うんうん・・・おっと親ばかでしたかね」 吉衛門父さん、ちょっと照れた 「跡取りなのですか」 「いえ。うちには長男がおりますので」 そこへ千恵がやってきて吉衛門の横に座った 「お父さん、先生とお話が弾んでいるようですね」 「うん。商人道という話を聞いた」 十太夫先生が答えた 吉衛門父さん、頬をかいた 「西遊屋さん、今度ゆっくり商人道を教えて下さい」 「いえいえ」 西遊屋吉衛門は手を振った 「なぜかこれから重要なものになるような気がするのですよ」 十太夫先生、頭を深々と下げた そして、小銭を置いて道に出た 「千恵殿、また」 「明日ね、先生」 千恵は先生の小皿と茶碗、小銭を持って答えた 「先生はどこの寺子屋の先生なのかね」 西遊屋は長男の時も千恵の時も江戸中の良い寺子屋を探したことがあったが 岩瀬十太夫という先生は知らなかった しかもまだ若い先生だ そうそう、正確に言うと寺子屋とは主に上方で用いられており 江戸では手習指南所や手跡指南などと言われていた 千恵は 「弾左衛門の宿とかって言ってたけど」 と答えた 西遊屋はちょっと困った顔をした 人気blogランキングへ くる天 ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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