soul-eye

2008/12/08(月)23:23

【鴉組32】返す刀

【小説】鴉組(68)

退却戦でいち早く逃げてきた仙台藩兵だった。 「なんでえ、なんでえ」 ヒデ公が見ているうちに逃げる最中に近くの家に入り農民の扮装をするものも居た。 また略奪するものも見えた。 「いくぞ、ヒデさん」 「へい」 やっとこ西軍を斬り伏せたと思ったら今度は列藩同盟軍である。 「やめろ。やめぬか」 十太夫先生、向かってくるものは容赦なく斬った。人数が多いので加減ができないのだ。 ヒデ公は西軍から奪った銃を振り回して暴れていた。 「こりゃあ、いかん」 「何です?もう終わりやすが」 十太夫先生に近寄ってヒデ公が訊いた。粗方片付いていた。というか、敵は皆逃走を始めたのだ。 「大きな戦争があったのだな。人数が多い。場合によってはここが通り道か宿営になるぞ」 「いけやせんね。皆に逃げるように言いましょうか」 「それが良いかもしれん。あの焼け寺(自分で焼いておいて)付近で良いだろう」 「分かりやした」 この二人、旅は進まなかった。美和姉さん達はとっくに追い越していた。 人気ブログランキングへ くる天 人気ブログランキング

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