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2010/04/15
カテゴリ：徒然奇２
先日、85歳になるという元看護婦長さんに会った。
というのも、いつも会うＫ林さんのお母さんなのだ。 「いつもどこで呑んだくれているか教えてあげようと思ってさ」 Ｋ林さんは小鳥沢ビートルズバンドのレノンだ。 「俺は小学校の頃よく入院していて、看護婦さんには本当におせわになったんですよ」 「あらそうでしたの」 「それが勉強はほとんど看護婦さんに教わっていたんだけど、 ある看護婦さんは俺の学年を間違えて、買ってきてくれた参考書が一学年上で  知らないうちに終わっていて・・・」 俺はかなり長期に入院していた。 「復学したら何やら様子が可笑しかったなあ。問題の解き方が学年上のやり方でビックリされた」 「あははは。ところで・・・喘息でしょう」 「そうですね」 「小児？」 「多分。でも２０歳過ぎても時々起こしたなあ」 「で、今は丈夫なのね」 「今はレスラーです」 「あははは。でも、大変でしたね。ひーっつひーって本当に可哀想だったわ。 そんなに長い入院だとかなり大変だったのですね  」「何かモルヒネも使ったみたいですよ。そのせいか、神経がおかしい。 それにステロイドだったかな。多分このレスラー体型はそのお陰」 「本当かよ」  Ｋ林さんが言った。 「そうなのよ。喘息の子はステロイドのせいで丸顔になるの モルヒネは最後の手段で、眠らせるためにね、する」 「そうそう。目が覚めるのは運しだい、てなものでね」（テケテンテンテン） 「sugaちゃんは何でも落語みたいに話すなあ」 「Ｋ林さん、これで俺が意外な苦労人だって分かったでしょう」 「あはははは」 しかしお母さん、頻りに可哀想だ、大変だったよね、と言うものだから、 段々と俺は思い出し涙が出てきた。 「そう。忘れた頃に発作の野郎が出てくる。風が吹いたら怖くてしようがない。春と秋は地獄の季節だ。 どこか俺は自棄気味で、明日のことや長い目で考えることができないみたい。 仕事で長い目で考える時には俺は不在の状況だし。 そうそう、いざとなるとヤクザなんかも全然怖くなくなる。 それにもし自分の子供が同じ目にあったらどうしようかと想像しただけで死にたくなった」 と堰を切ったように話し出した。 「そうでしょ、そうでしょ」 お母さんは理解してくれた。 俺は気付いた。 初めて遭ったお母さんのお陰で気付いた。 俺は理解して欲しかったのだ、あの昭和の時代の俺を。 ずっと深層意識に眠っていた俺の本音が出たのだった。 Ｋ林さんのお母さんはまさに観音様だ。 俺の心を救いに俺の前に現れたのであった。 百人の敵に出会っても平気な男は、実は理解して欲しいと泣いているそれだけの男であった。 あんな良い気分は久しぶりだった。 人気ブログランキングへ くる天 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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