2007/08/05(日)15:54
コピー商品じゃないのよ
無心になるとき。
頭の中に、なんとなく「好ましい」ものがあって
手を動かしてスケッチをすると
それがきれいな曲線だったり、
タックを寄せた形だったり、
小さな紐結びだったり、する。
自分のイメージする「何か」と実際に出来上がる「何か」が
近ければ近いほど、良いモノになる わけだが、
バッグについては、頭に浮かんだものが、形になってゆく過程は、
わりあいすっきりとしている。
プロですからね。
ところで、ファッションデザインの世界で
「小野さんは、芸術家だからね~」
と言われたら、それはあまりほめ言葉ともいえないのね。
次々にあふれ出す「流行」のモノたち。
それを、ちゃちゃちゃっ、とアレンジして、
さっさとモノを作ることが利益をうむしくみ だったりする。
悲しいことに。
頭に何にも浮かばない人でも、
現実のヴィトンやグッチや、もろもろの良い商品を見れば、
その力は感じられる。
そこで、それを持って、ちょっとだけ、素材を変えて、ハンドルの形を変えれば、
誰も文句は言わないし、安くてトレンドで売れる商品 がすぐ、出来る。
直接それを求められる仕事もある。
良いデザインのバッグが一つあれば、3つも4つもデザインを出せるのも、
また「プロ」なんである。
時間と、コストと、デザイン。
その中で食べている。
でも、
ゆっくり、ああでもないこうでもない、と
小学生の工作のようなことをして、
自分の頭の中からモノを吐き出してゆくことの満足感は
何ものにも変え難い。
コピー商品じゃ、ないんだよっ。